さっきの続きである。 この文章を読んで、もう一つ気がついたことがある。 この文章では「ファインスケール」なる用語を使っていないのである。先にカッコつきで紹介した「真縮尺模型」、 TMS風に言えばフルスケールゲージモデルという用語を使用している。 徒にファインスケールなる用語を使用しないあたり趣味人としての最後の良心かと思う。 さて、この時点で旗揚げしたメーカーは6社で、順番に、花園製作所、カツミ模型店、珊瑚模型店、 乗工社、日光モデル、篠原模型店となっている。 だが花園は何もしないまま撤退し、日光も何かしたという話は聞かない。 カツミは20系客車の製造を担当したが、恐らくこれだけだろう。 このほか、遠藤(近鉄ビスタ)と中村精密(PEMP台車群)が製造に参加しているが、 普及の役に立ったという話は聞かない。珊瑚は今のところ細々とやっているだけで、乗工社は結局潰えた。 この後参加したワムは未だ細々と続けているのだが、今製造しているメーカと合わせていつまで続くのだろうか。 これが松本の始めたことの結果である。30年にして達成したことは終わりなきゲージ論と、 16番と比べてもむやみやたらと高価なキットとパーツ、 そして車輪や台車といった基本部品すら満足に供給されない現状である。 特に今出ている台車が高いのが最も致命的である。そしてその種類は少ない。 誰ぞがTR40が16番では出ていないと言っていたが、 12mmの場合、出しているものを挙げる方がはるかに速いのである。 さてこの後外国の車両と日本の車両を比較している。 比較は次の通りで、日本型は同一縮尺になるように大きさを調節している。 アメリカ PRR GG-1 EF58 ドイツ 国鉄 01 C62 アメリカ D&LG K28 D51 スイス RhB G4/5 C56 ドイツ 国鉄 215(DL) DD54 松本は日本の機関車が小さいと思っているが、これらの写真を比べるとそうには見えない。 まずDB01とC62, 215とDD54の大きさだが、同じくらいか、少し小さめにしか見えない。 これがデンバー&リオ・グランデK28とD51との比較になると、D51の方が大きく見え、 レーティッシュ・バーンG4/5でもC56の方が大きく見える。 流石にGG1はEF58より大きいが、基本的にアメリカの車両は上下方向の寸法については 制限がないに等しいのか、それともかの国の人間が大きい物好きかは知らないが、 世界レベルで見ても、巨大車両を作っているようなもので、これは仕方がない。 この有様だから、16番を採用した場合、寸法で8.75%増しの日本型が大きくなるというのも頷ける。 要するに世界レベルで見ても、日本の車両は決して小さくないと思われる。 ってこれ何のギャグですか。 多分日本の車両が小さいという思い込みは次のプロセスを経ていると思われる。 明治時代のように自力で機関車を作れなかった時代であれば正しかった。 そして昭和にはいるが、この時車両限界が幅方向で2800mmに拡大された。欧米では3048mm(10ft)である。 差は幅方向で200しかない。つまり「一回り以上小さい」。 DB01とD51を比較したらD51の方が確実に小さく見えるだろう。 戦後になると車両限界一杯に車体を作るようになった。確かJR東日本の連接通勤車は2940mmだったはずだが こうなると差などないに等しい。これは極端にしても2900mmはざらに採用している。 C62とDB01の大きさが一回りというかちょっと小さいのはこの為と思われる。 そして日本の車両は欧米と比べてせいぜい一回り小さいという風になっているはずである。 尤も長さについてはどうしようもなく、高さ制限のないアメリカの鉄道と比較したらうんと小さく見るのだが。 ここいら辺を誰か図面で広範囲に比較して欲しいものです。 ちなみに12mmをインターナショナルと書いているが、それを言うなら16番はもっとインターナショナルである。 何しろ16.5mmの主要鉄道模型を一堂に走らせられるのだから。これ以上国際的なものはなかろう。 そして、これも日本だけの現象と思うが、 世界中とは言わないが、欧米の鉄道模型を趣味とする人口は少なくないだろう。 これが欧米であれば、外国の模型を買い集めるということはあまりしないものである。 尤もヨーロッパの場合は他国の列車が乗り入れてくるから勢い多国籍になるだろうが、 それでもアメリカ型や日本型を合わせて行う層がどれだけいるものやら。 また基本的に自国を走る車両が最も多かろう。 同じことはアメリカにも言える。 縮尺が同じだから国際的というのは短絡の極みという謗りを免れない。 |
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