これをやっていたのは、後に有名になる在特会ではなく、主権会系の人たちだったと思います。調べてみると、会が設立されて3年程経ったころであり、そのころは多様な問題に首を突っ込んで街宣もやっていました。13年あたりに在特会と対立するようになると、この団体は街頭で見なくなりました。私が知らないだけでやっているかも知れませんが、印象としては極右のなかでの存在感が希薄になってきています。

 

 在特でも主権でも言っていることは基本的には同じです。ヘイトスピーチ、排外主義、外国人に対する差別といわれますが、街宣をしていた人たちの主張を分析すると別の面も見えてきます。

 

 韓国民団は反日団体であるから日本人の税金で作った博物館のギャラリーを貸すことは許されない、展示内容が反日的なものになるから使用を認めることはできない、と主張しているのです。逆に言えば、親日国の人たちの親日団体が親日的な催事をやるのであれば、日本人の税金で作った公的な施設を利用しても良いと言うことになります。

 

 在日韓国人だから博物館の貸しギャラリーが使えないのではなくて、反日団体で、反日的な内容だから、日本人の税金で作られた施設を貸すべきではないと言っているのです。日本国籍を持つ人の団体であっても、反日団体で反日的な内容であれば、日本人の税金で作られた公共施設は利用できないということになります。

 

 国籍に関係なく、反日団体と認定されれば、反日的内容だから貸すべきではないとされているのです。日本人の税金で作られた施設だから反日には貸せないとするのですから、いつの間にか税金を払っている日本人の意志が勝手に、反日は許されないという側であると決められてしまっています。納税者のなかには、思想信条は自由だから使用する団体の考え方や表現を問題視する必要はないと考える人もいるはずですが、街宣をやっていた人たちが、日本人の納税者は全員が反日を否定する側に立っていると決めてしまっているのです。

 

 韓国民団の方が標的にするのが楽で、在日韓国人を叩くと言うのであれば人も集まるので取り上げたのであり、街宣を主導していた人たちの狙いは、大衆に受け易いレイシズムを表に出しつつ、反日であれば日本の納税者の総意として、公共施設の使用を制限できる、表現活動を制限できる、憲法が保障する思想信条も制限できるとする、憲法よりも反日が優越するとする実績を積み上げたかったのではないかと私には思えます。

 

 そこで憲法より優先する反日を誰が決めるのかという問題が出てきます。反日を決める権利を持った人間は、この論理で言えば独裁的な権力を振るうことができるのです。

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