レコーディングでは、尾崎の歌声がスタジオミュージシャンを巻き込んだ。「最初の歌入れから100%で歌っていた」「彼の熱い歌で“ケミストリー”(化学変化)が起きた」。ミュージシャンも言葉をそろえる。
尾崎の思いが、多くの人を巻き込み、形となったのがアルバム「十七歳の地図」だった。
そしてもう一人、登場するのが尾崎の息子、尾崎裕哉(25)だ。現在はFM局のディスクジョッキーを務める。2歳のとき、父を亡くした裕哉は今年、父の享年でもある26歳を迎える。
裕哉は語る。「尾崎豊はテレビやCDのイメージしかなかった。何を超えればいいのか分からない時期が一番つらかった。しかし、父のやろうとしていたことがふと分かったときがあって、恐怖感が消えた」と。
インタビューを受けた誰もが、尾崎豊で印象に残っていることに挙げたのは「笑っている顔」だった。
等身大の尾崎豊が見えてくる番組だ。