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2019-04-28

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ぼくが、ノブレス・オブリージュ(nobulesse oblige)
ということばがあるのを知ったのは、
 けっこう年を取ってからだったと思います。
 精選版日本国語大辞典によると、
 「身分の高い者はそれに応じて果たさなければならぬ
 社会的責任と義務があるという、
 欧米社会における基本的な道徳観」ということです。
 ほんとに、たくさん耳にするし目にすることばです。

 これ、そうすることに気持ちよさがあるから、
 身分の高い人たちは、そうするのだと思うのです。
 そして、身分とかには関係なくても、
 たくさんお金を持っている人だとかも、
 それに倣ったほうがいいなと考えて、
 「ノブレス・オブリージュ」を言ったりもしますし、
 これも、やっぱり気持ちがいいからだと思います。
 さらにさらに、身分や地位にもお金にも関係なくても、
 その考えはいいのではないかと思って、
 小さくそれを実行している人だって、たくさんいます。
 それもやっぱり、そうありたいものだと思っていて、
 じぶんの気持ちがいいからなのでしょう。

 ぼく自身のなかにも、できるだけでも「そうありたい」
 という考えはあるようです。
 これも、やっぱり、気持ちがいいからなのだと思います。
 貴族でもないのに、身分不相応な考えを持っている、
 と言われたらそうなのかもしれません。
 フランス貴族御用達だったバッグや洋服を、
 たくさんの人がほしがっているようなものでしょうが、
 ノブレス・オブリージュが大衆化して困ることよりも、
 よいことのほうが多いでしょうから、
 それでいいんじゃないかと、ぼくも考えています。
 で、今日の文章の、言いたいことはこの後に言う
 たった数行なのです。
 「ノブレス・オブリージュを組み込んだ人工知能」
 のようなものをつくったらいいと思うのです。
 「ノブ」とか名前つけちゃって、いろんなものごとを、
 「ノブ」だったらどう考えるかどうするかを、問う? 
 これは、あんがい可能なんじゃないかと思うのです。
 企業なんかも、なにかと「ノブ」に訊いてみたりしてね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
おそらく「ブランド」のためにもなるのが、「ノブ」です。


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