第15回 中村憲剛さんインタビュー 〜夢をつかみとるまでの道のり〜

第15回 中村憲剛さんインタビュー ~夢をつかみとるまでの道のり~

サッカー少年たちのあこがれの選手のひとり、川崎フロンターレの中村憲剛選手は、小学校時代に身長が140cmにも満たなかったとか。決して体力的に恵まれた子ども時代ではなかった選手が、その後、弱点をどのように乗り越え、プロサッカー選手という夢をつかんだのか。お話を伺いました。

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小学校時代、人より小柄だった僕が取り組んだこと

スポーツは体格のよさもメリットになると思われがちですが、「小さくても対抗できるのがサッカーのよさ」だと中村選手。小学生6年生で136cmだったという中村選手は、どのようなお子さんだったのでしょうか?

川崎フロンターレ 中村憲剛選手

1980年東京都生まれ。小学校1年生から府ロクサッカークラブでサッカーを始める。
小学校5年生のときに全日本少年サッカー大会でベスト16に。
東京都立久留米高校(現在は東久留米総合高校)では、キャプテンを務め、高校選手権東京大会ベスト4。その後、スポーツ推薦で中央大学に進学。キャプテンとして臨んで4年生のときに、関東リーグ2部で優勝、1部復帰を果たす。
2003年に川崎フロンターレに入団。入団当初はミッドフィルダーだったが2004年よりボランチへコンバート。以来、チームの攻守の要として活躍。2006年から2013年は日本代表選手としてワールドカップにも出場。2017年、2018年の川崎フロンターレ連覇に貢献。
2017年優秀選手賞受賞。175cm、66kg。

小さい子のほうがのちのち伸びる可能性が大きい

小さいときから気がつけばボールを蹴って遊んでいて、小学校1年生で府ロクサッカークラブに入ったのは自然な流れでした。身長は高校生くらいまでずっと低くて、小学校6年生で136cm。だけど、小さくても大きい子に対抗できるのがサッカーのよさ。大きい子は足も速いし空中戦でも勝てる。小さい子はそういう子にどうやったら勝てるかを考え続けるので、高校生や大学生になって身長が追いつくと、能力的に追い越せることが多いのです。どうやったら勝てるかを考え続けた選手とそうでない選手とでは、考え続けた選手のほうが絶対に伸びる。だから、小さい子のほうがのちのち伸びると僕は思っています。もちろん大きい子が考えていたらすごいこと。どんどん先に行けるでしょう。

子どものころから考えてきたことが今に生きている

僕は小学生のころから、ずっと考え続けてきました。技術的には自信があったので、その技術をどう発揮するかがポイント。それには、試合の中でフリーな瞬間を作らないといけない。相手にマークされているときにどう動くのか。大きい子に当たられると負けるので、当たられる前にどう勝負をつけるか。だから、相手チームのディフェンダーの視線を見て、逆に動いたり、別の方向へ走るなど、相手の裏をかくことばかりを考えてプレイしてきました。そうしないとボールに触れないし、触ってからもプレイができないからです。そうやって考えて続けてきたことが今に生きていると僕は思います。
※写真は幼少時代の中村選手。(C)KENP

日々の練習の積み重ねの先に道が開ける

中学校、高校、大学とずっとサッカーを続けてきた中村選手ですが、その道は「挫折だらけだった」と言います。どうやって、挫折を乗り越え、プロのポジションを手に入れたのでしょうか?

1つ1つ目標をクリアしてポジションを得る

中学1年生のときにJリーグが始まりました。プロにはずっとなりたいと思っていましたが、中学校、高校、大学と挫折だらけでした。高校入学時は身長がまだ154cmくらいと小さかったのですが、同級生の中には1年生のときからレギュラーになる子もいました。だけど、自分はどうしたらいいか?と考えて練習を続けるうちに、レギュラーになることができました。
大学入学時も、フロンターレ加入時も、最初は自分の実力とまわりの実力の差にがくぜんとしました。でも、入った以上は、その差を埋めていくしかない。自分には何ができて、何ができなくて、試合に出るためにはどうしたらいいかを考えて練習を続けました。そして、試合に出られるようになったら、今度はチームの中心になるにはどうしたらいいかを考え、さらに、チームが勝つにはどうしたらいいかを考えていく。そうやっていくうちに、自分の立ち位置が変わっていました。

その他大勢に慣れないで、レギュラーをめざす!

大学はスポーツ推薦で入学しましたが、それは高校時代のサッカーと勉強の両方の成績が水準に達していたからですし、川崎フロンターレに入団できたのも、大学時代に実力を積み上げていった結果です。
僕自身もそうですが、その他大勢というポジションからスタートする子はたくさんいると思います。そこに慣れないことが大事です。まずはレギュラーをめざして練習する。その過程で何をやらなければいけないかを考えてやっていれば、いつかやれるようになります。「(プロになる)器じゃない」と自分が思ったら終わり。僕はプロになるのは難しいかなとは思っていたけど、なれないとは思っていなかった。無理だとか、なれないと思ったらそこまで。可能性に自分でフタをしたら終わりです。僕はあきらめきれずに続けて道が開けました。どういう花の咲き方をするかはわからないので、続けていくことが大事だと思います。

やるかやらないかは自分しだい!

いわゆるエリートコースを走ってきたわけではない中村選手。昔も今もずっと「サッカーが上手になりたい」という気持ちは変わらず、そのモチベーションこそが大事だと言います。

自分がやれることを、100%やりきるだけ

背も大きくないし、細いし、そんな僕が38才になってもサッカーを続けられるのは、「サッカーが好き」という気持ちもありますが、常に考え方とやり方を突き詰めてきたからです。自分がダメなところも受け入れ、その上で何をしなければいけないかを常に考えてきました。すべては自分しだいです。
ただ僕は猛練習をするタイプではありません。やりすぎると疲れが残るから、長くやればいいものでもない。短く濃密にやるためには、やはり考えないといけません。パス交換をするにしても、ただボケッと何も考えずにやるのと、左右の足のどちらに出すかまで考えてやるのでは同じ3分間でも中身はかなり変わります。監督の意図をくみ取り、試合に出るためには、自分が何をどう練習すべきかを考えながらやる必要があります。
※写真左から4人目が小学6年生の中村選手。(C)KENP

お母さん・お父さんは、「考える」ことを導く言葉がけを

お母さん・お父さんにはお子さんに、練習をただやるのでなく、どんなねらいをもってやったらいいのか、自分は何ができて、何ができていないのかを考えることができるように、言葉かけをしてほしいと思います。「これをやりなさい」ではなく、一緒に考えて、本人に気づかせることも大切です。
保護者の中には、自分はサッカー経験者でないから、何もアドバイスできないと思う方もいるかもしれませんが、その日のお子さんの調子がいいか悪いかくらいはわかりますね。そうしたら、「今日よかったね。どうして?」と聞いてみてください。聞かれると、子どもたちは「今日はこうしたからよかった」「今日はここができなかった」と、自分自身のプレイを振り返ることができます。親子でサッカー感を共有し、子ども自身が理解して前へ進めるように導いてあげてほしいです。

中村選手は、数々の社会貢献にも積極的に参加されています。病気と闘う子どもとその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を支援するチャリティオークションにご自身のスパイクを提供したり、実際に施設を訪れたり。「プロのサッカー選手としてやれることはやりたい。喜んでくれる子どもたちがいるのなら行きたいし、役に立ちたいと思っています。僕らが行って励ますことや勇気を与えることができるのであれば、これからも力になりたいと思います」

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公益財団法人全日本軟式野球連盟では、小学生チームのクラスを「学童部」としています。登録しているチームは全国で約1万2000チーム。一般に「学童野球」とよばれ、日本マクドナルド株式会社協賛のもと、毎年全国規模の大会「マクドナルド・トーナメント」が開催されています。各地区予選を勝ち抜いてきた強豪が出場する大会は、「小学生の甲子園」として全国の野球少年のあこがれの大会となっています。

小学生にとって国内最高峰のサッカー大会「JFA 全日本U-12サッカー選手権大会」都道府県大会がただ今開催中。12月25日(火)~29日(土)、鹿児島県で開催される全国大会出場をかけて、各地で熱い戦いが繰り広げられています。この大会をマクドナルドは2011年からサポート。大会支援だけでなく、選手児童へオリジナルサッカー手帳をプレゼントしたり、全国大会出場チームを店舗に招待して団結式を開催したり、幅広く支援しています。
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