変大佐の備忘録

「こころのなか」

同人作家がイラスト担当と付き合った話

これは決意表明であり、同時にひとりの同人作家としての独り言です。興味のある方は、どうか読んでいってください。

さてこの度、同人小説作家であるぼくはイラストを担当されているとある方と真剣にお付き合いすることになりました。その辺りの件について嬉しくってついうっかりTwitterに書いてしまったところ、予想をはるかに上回る祝福の言葉を頂戴しました。

ところで皆さん、マジメに何かに取り組むって恥ずかしいと思いませんか?

技量の低いうちからマジメに何かに取り組んで完成度の低い作品をネットにあげている奴はダサい。
なんの評価も得られないのに、なんの実益もないのに、誰も見ていないのにひたすら何かに打ち込んで頑張る奴はダサい。
ネットでなんか出会ってTwitterでお付き合いの報告をする奴はダサい。
もっとラクに生きればいい。省エネモードでこの人生を駆け抜けた奴が勝者だ。
誰かをけなして、誰かの足を引っ張って、自分と同じレベルにまで落としてからつるむ人間関係は楽しい。

まあ、気持ちは分かります。

こういう風潮って、たぶん今の日本には溢れてると思います。ぼくも、この肌で感じて生きてきました。この気持ち自体は、みんな持っていることだと思っています。でもきっと、恥じることはありません。ぼくも、恥ずかしながら思ったことがあります。

だけどな。
真面目に生きるって、案外とっても大切なことだぜ。

真面目に生きることは、今の日本では揶揄されがちです。真面目に頑張ってもどうにもならない環境に、みんなが諦めてしまっているせいです。
真面目に生きていてもちっとも報われなくて、心を病んでしまう人が居ます。
真面目に生きるだなんて馬鹿らしくて、人としての道を踏み外してしまう人が居ます。
真面目に頑張ることの意義なんて見失ってしまう人が、世の中にはたくさんたくさん居ます。
それは仕方のないことです。ぼくだって、自分一人で社会を変えてしまうことなんてできません。

でも、それでも、自分の心を自分で叱咤して、逆境のなか真面目に生きることはぼくにだってできます。実際、ぼくはそうして生きてきました。
そして幸いなことに、そんな人たちが報われる場所があります。

そう、同人イベントです。

彼らはオタクです。そんなこと当たり前? いえいえ、あなた方はオタクの本当の恐ろしさを分かっていない。

オタクたちは、自分の好きなモノのためには本気で頑張ります。さも当然のように。当たり前のような顔して同じ作品を2回以上楽しめるし、当たり前のような顔して財産をオタクグッズに擲つし、果ては一つの作品が好きすぎて本まで出しちゃうし、もう常軌を逸してます。世の中、ここまで何かを好きになって本気で頑張る人たちを、ぼくはオタクたち以外に知りません。

そして、ぼくらはその場所で出会いました。こんな福音を、昔のぼくはきっと知りません。

たくさんの祝福を貰いました。両手に持ちきれないくらいの祝福で、こぼれた祝福は涙になってぼくの枕を三日間濡らし続けました。

実はオタクコンテンツだけじゃなくて、世の中のあらゆることは、きっと真面目にやると面白いことばっかりです。
ぼくはオタクコンテンツ以外に、ラグビーとか、居合道とか、いろんなことを好きになって本気で取り組んだら、それなりの幸せを得ることができました。別に全国一になったとかMVPになったとかじゃないけど、とっても楽しかったんです。
みんなが恐らく嫌いであろう勉強さえ好きなところを頑張って探して本気で取り組んだし、その結果としてこうしてぼくは自分の言葉を余さず書き表すことができるし、進路も拓けています。これにしたってぼくは別に有名大に合格したとかじゃないし、全然面白くなかった数学がイヤでセンター試験さえ受けてないし、この喜びに見合う結果さえまだ不明瞭です。

でも、ぼくは楽しかったんです。あのときぼくをいじめていたあいつらよりも、うんと楽しい人生を過ごしてきた自覚があります。
真面目に何かに取り組むことは、楽しいんです。

「お前何マジになってんだよw」とか言ってくる輩を全無視できる器量をぼくに与えてくれた両親や家族、ぼくの周りにいて励ましてくれた人たち、ぼくらを祝福してくれた人たちに、ぼくは最大限の感謝を送ります。本当にありがとうございました。あなたたちのおかげで、ぼくはこうして今ここで胸を張れています。あなたたちの好意に見合うりっぱな人間に、ぼくはきっとなってみせます。まだぼくは経済的に自立もしてないし中途半端だし半人前だけど、待っていてください。真面目に頑張ったらいつか報われるんだってことを、ぼく自身で証明してみせます。それがぼくにできるせいいっぱいの恩返しで、義理です。

最後に、一緒に同人活動を頑張っているたくさんの方々。ぼくの幸せがみなさんの幸せに繋がれば幸いです。
この記事で元気が出た、とかなら本望です。
どうか、同人活動を続けてください。これはきっとこのくだらない世界に差し込んだ一筋の光です。ぼくは、これに縋って幸せを掴むことができました。
ぼくはきっと同人活動をやめることができません。好きなモノを好きだと叫んで居られる世界は、ぼくの知っている中であそこだけです。
どうか、皆さんもそれぞれの幸せを掴めますよう。
では、終わりの言葉に代えて、ぼくが一番好きな作品、Rewriteからとある一文を抜き出したいと思います。

「最高の祝福をもらったんだから、ぜったい幸せにならんとな」
――Rewrite Harvest festa!『この良き日に』より

ありがとうございました。

2019年4月25日 変大佐 世界で一番幸せなオタクより