秘書が書類をばらまく理由
小金持ち以上の男性をターゲットにした雑誌『GOETHE』では、毎年必ず秘書特集を組み、その号の表紙+巻頭グラビアでは旬のアイドルや女優が秘書に扮して登場するのだが、その中で、やたらと秘書が書類を床にばらまいている。毎号記憶しているわけではないが、2014年の深田恭子、2016年の山本彩の登場回では、秘書役の彼女たちが書類を床にばらまいていた。かがんで書類を拾う様子を少々エロチックに切り取る、という算段なのだろうが、果たして私たちはそこまで頻繁に書類を床にばらまくだろうか。
『GOETHE』という雑誌名の由来がウェブサイトに載っている。文豪ゲーテが、政治家・自然科学者・劇場監督に加え、「旅と女性を愛する人(73歳の時に18歳の少女にひと目ぼれするも失恋!)」であったことが理由としてあげられ、「そんなゲーテのような熱い生き方を理想」とする、と宣言されている。オジさんがいつまでも若い子にアタックする姿勢までもが雑誌名に含まれていたのかと知ると、秘書特集の意味合いも変わってくる。確かに今年の秘書特集には「秘書との恋愛擬似すごろく」なる記事がある。社長は書類をばらまかない。秘書だけが書類をばらまく。その理由とはなんだろう。疑問にとどめておく。
渡辺謙が読むシェイクスピア
「ハズキルーペ」のCMを見て、多くの人が不快になるのは、ミニスカートの若い女性にルーペを踏ませる場面だろうが、その前に注視しておくべきは、渡辺謙が「新聞も企画書も、(文字が)小さすぎて読めない!」とブチ切れて書類をばらまく場面である。その直後に「ハズキルーペをかけると世界は変わる」と続くのだから、書類をばらまかずにその書類を読めばいいのに、と思うのだが、プリントをばらまいた後で渡辺が読んでいるのは、シェイクスピア『マクベス』である。ルーペで拡大している箇所を必死に探すと、第3幕、「Whole as the marble, founded as the rock,」と、大理石の硬さについて触れている場面だとわかる。衝撃に強いことを売りにしているハズキルーペだが、大理石の硬さには負けるはず。なぜ、わざわざ大理石(marble)の箇所をズームしたのだろうか。
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