---------------------------
----N----023----------------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(なつ)「その家族が もし争いごとに巻き込まれて命を落とすようなことになったら私は その悲しみに耐えられない…。だから 私が 家族を守るんです!」。
♪~
(門倉)「よく言った ペチカよ。それでこそ わしの娘じゃ!」。
(倉田)えっ? おいおいおい…ちょちょちょ… ちょっと待て。
ちょっと待て。
何で 門倉が村長やってんだよ?
ああ… あの…高木君がどうしても代わってくれと言うもので。
えっ?(倉田)はっ?高木 どこ行った?
あの 後ろ…。
わっ! びっくりした!何 お前 そんなこと言ったのか?
(高木)あっ…。
言ったべ?
はい…。なしてだ?
僕には 門倉さんのような貫禄は出せないので…門倉さんが やった方がいいと思います。
高木… 困ったやつだ。
そうか。
まあ お前には 来年もある。次は頑張れ。
はい…。(倉田)よし。
おい 俺たちにとっては 最後の夏だ。
今 頑張るしかねえぞ!
(一同)よし!(門倉)やるべ。 先生 やるべ!
(雪次郎)何か 番長 やっぱり すげえな。
どっからやるべ?(倉田)一回静かにしろ 一回静かにしろ…。
(門倉)よし。(倉田)やる気は分かった。
(良子)余計な人まで目覚めちゃったわ。
そして 天陽君の中でも何かが動き出したようです。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(雪之助)演劇の大会にアイスクリームかい?
(富士子)はい。ちょうど夏だし 喜ばれると思うんです。
(とよ)いいんでないかい。そりゃ喜ばれるよ。
飛ぶように売れるよ。
いえ あの…売るんじゃなくて 配るんです。
タダでかい?
十勝の酪農を発展させようと頑張ってるあの子たちを応援するためなんです。
材料の牛乳は あの子たちが学校で育ててる牛の牛乳を使ってもいいと思うんです。
あ~ なるほど。農業高校のアイスクリームか。
したけどね それだって 氷や何だってお金はかかるんだよ。
(妙子)お義母さん 大会にはうちの雪次郎だって出るんですよ。
うちが協力しないで どうすんですか。
なるほどね。 アイスクリームで優勝を勝ち取りたいわけかい。
(妙子 富士子)違いますよ!違うよ!
だったら 何の得があんだい?
(妙子)得がなくても やるんです。応援って そういうことでしょ。
(とよ)分かんないね。分かんなかったらちょっと黙ってて下さい。
あ~ 平和って やだね~。
食うや食わずの苦労も忘れて親を邪魔にしだすんだから。
私は 平和に感謝しますけど。
やめてくれよ 2人とも。話が大きく ずれてってんじゃないの。
何でも言い合える仲になったんですね。
もう困っちゃってるよ。だけどね 器は どうするんだい?
うん? 器?うちにも そんなにないよ。
いちいち 洗って使うのかい?あ~ アイスクリームの器か…。
はい。それ 私 ずっと考えてたんですけど器に もなかを使ったらどうでしょう?
もなか?もなかの皮です。
それなら 食べればなくなっちゃうし。
アイスクリームのもなかか…。
あっ そういえば あの~東京に 修業に行ってた頃にね小倉を アイスにしてもなかを作ったっていう和菓子屋の話を聞いたことがある。
それは いいかもしんない!それなら うちでも売れるね。
そこで試せばいいのか!うん!
いい考えでしょう?よ~し それでいこう!
いいですね!うん ハハハ…。
いや~ 腕が鳴るなあ。鳴らしてみれ。
と あっちこっちで盛り上がっています。
♪~
もうちょっと 上じゃないのか?
よし ちょっと見せて… うん。
そして 瞬く間に 月日は過ぎて大会当日の朝を迎えました。
行ってきま~す!(剛男 富士子)行ってらっしゃい。
♪~
(泰樹)ほれ。
じいちゃん。おう。
行ってきます。おう 行ってこい。
見に来てくれるよね?ああ 行くさ。
行くからには 必ず勝て。
うん…。
じいちゃんに何も感じてもらえんかったら私の負けだから。
ん?
私が この芝居 見したいのはじいちゃんだけだから。
じゃ 行ってきます。
(富士子)アイスクリーム入ってますよ。
おいしいよ~。よかった。
タダだから。
♪~
オホホホホッ…。
すごい大盛況だね。
もう 用意した材料がもうすぐ なくなりそうだ。
(雪次郎)いや~ 「勝農魂」か。あれ? うちの店の名前がどこにも書いてねえな。
バ~カ 店の宣伝じゃないの。
あんたたちを応援したくてしてることなんだから。
ありがとう おばさん。頑張ってよ なっちゃん。
とよばあちゃんも ありがとう。いいんだよ。
今日は 店 休みにしたから。
これで 雪次郎が舞台で 失敗こいたりしたらうちは大損だわ。そんなことねえから安心してよ。
だけど もなかは いいアイデアだね。さすが ばあちゃん!
あ~ あのね 考えたの私!決めたのは私! ハハハ…。
どっちでもいいべ!
母さんも ありがとう。
父さんのおかげよ。
学校関係者や演劇連盟の人にいろいろ 口利いてくれたから。
(剛男)調子はどうだ? なつ。
うん 準備は万端。父さん ありがとう。
学校の牛乳も使えるようにしてくれたんでしょ。
農協として アピールすべきことだ。
農業高校は 我々の未来だからな。
ねえ じいちゃんは?ああ… 後から来るよ。
夕見子と明美と一緒に。
大丈夫さ。うん。
♪~
後は頼むぞ。
(菊介)はい! 行ってらっしゃい!(悠吉)なっちゃんに よろしく!
(照男)頑張れ~って!はい はいよ~。
(明美)みんなも行ければいいのにね。
牛も 連れていければなあ。
(夕見子)それなら なつも喜ぶわ。
(いななき)
天陽 どうした?
(天陽)泰樹さん牛の様子が おかしいんだわ!
農協に 誰もいなくて…。
なっちゃん。うん?
天陽は まだ来ねえのか?うん… どうしたんだろ。
にしても すごい絵だな。
う~ん… これ芝居より 背景の印象が強くなるんじゃないでしょうか?
いや… この前でやるからこそ争いを避けようとする人々の芝居が生きてくるんだ。
これは まさしく 彼自身の心の叫び山田天陽の魂だな。
♪~
あ~…。
鼓腸症だ。(正治)こちょうしょう?
腹に ガスがたまっとる。
抜かないと 手遅れになるぞ。えっ?
すぐに 獣医を探してきます。いや。
これなら わしが なんとかする。
(タミ)よろしくお願いします!(泰樹)みんな 水 よろしく頼む。
(正治 タミ)はい!
♪~
はい これでよし。
どうも。 よっちゃんいて 本当助かったわ。
ほとんどの衣装 作っちゃったもんね。
私は器量が悪い分 手先が器用なんだわ。
よっちゃんは かわいいよ。
それって 牛と おんなじだべさ?
いつものやるべ。
お客様に~!(一同)愛を~!大切なのは!心!
(雪次郎)揺るがす!(一同)魂!勝農演劇部!
(一同)そ~れ~!
しゃあ!(拍手)
♪~
おいおい おい… そろそろ始まるぞ。
はい。 あっ 明美 夕見子。
お母さん!あれ 遅かったね。
うん… 駅まで歩いてトテッポで来たから。
えっ? じいちゃんは?
お前ら 牛に 何をした?
何 食わしたんだ?
乳量を増やすには クローバーなどのマメ科のものがいいと言われたものでそれを たくさん…。そんなもの 大量に食わしたら病気になるに決まってるべ。
だけど… 乳量を増やさないばうちのようなところはやっていけないんです。
どれだけ努力して牛乳を おいしくしようとしたってメーカーに乳脂肪が低いと言われてしまうんです。
お前ら いくらで牛乳を メーカーに売ってるんだ?
♪~
これは 今朝 搾った牛乳です。
飲んでみて下さい。
♪~
(拍手と歓声)
泰樹さんと天陽君が来ないまま芝居の幕は上がりました。
村長 川下の村に行ったっきりまだ帰ってこないべ。
話し合いが うまくいっていねえのかな?
あっちには 乱暴者の跡取りがいるからな。
みんな 聞いてくれ。
俺は こないだ 山で 白蛇を助けたんだ。
(3人)白蛇を?おう。子どもが 取って食おうとしてるところを助けた。
そしたら 不思議なことに 川から魚があのおいしいオショロコマが飛び上がって俺の足元に転がってきたんだ。あの白蛇は きっと神様の使いだったんだ!
そだな。ポポロを信じよう。
正直 戦は嫌だったんだわ。
(雪次郎)この俺には神様がついてるんだ!だから 今度のこともきっと うまくいくさ!
ありがとうございま~す!白蛇様~!
神様~!
なつよ さあ 出番だ。
きっと うまくいくさ。
(一同)ペチカ様!
♪~