@chablis777  
シャブリ

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(拍手と歓声)
泰樹さんと天陽君が まだ来ない中舞台の幕が上がりなつの出番がやって来ました。
(雪次郎)あっ ペチカ様!
(一同)ペチカ様!
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(なつ)皆さん 村長が たった今川下の村から戻ってきました。
(一同)村長が!?(雪次郎)戻ってこられたか!
(倉田・小声で)おい 門倉! 何してる?
出番だ! 早く行け!
(一同)はは~っ!
♪~
村長!
完全に飛んでんな…。台本… 台本…。
♪~
(門倉)♪「みのる稲穂に富士と鳩」
♪「愛と平和を表した」
♪「旗はみどりの風に鳴る」
♪「土にとりくむ若人の」
♪「意気と熱とがもりあげた」
♪「エフ エフ ジェイ エフ エフ ジェイ」
♪「われらの誇り」
(夕見子)何さ これ…。
(剛男)ここまで 農業高校をアピールするのか…。
(高木)川下の村と 話はついた!戦にはならん!
川下の村と 話はついた! 戦にはならん!
おお!よかった!
皆の衆 聞いてくれ。
向こうは 私の娘 ペチカを向こうの村長の息子の嫁にしたいと言ってきた。
私を!?そうだ。 それが条件だ。
村長! 俺は 絶対に反対だ!
(石川)お前には 家族がおらんからそんなことが言えんだべ!
(橋上)そだ! 病気の家族を抱えてみれそんなことは言えないはずだべ!
お前たちは ペチカ様を犠牲にしてまで自分たちの家族を助けたいのか!
お待ちなさい ポポロ。(雪次郎)ペチカ様!
私は 犠牲になるとは思っていません。
ペチカ様はあんなやつの嫁になりたいのか?
それを望まないことは あなたが 一番よく分かってくれているはずです。ポポロ。
だけど 自分のことだけを考えるわけにはいきません。
そもそも 私たちはその考え方が間違っていたんです!
何が間違っていたのだ? ペチカよ。
川下の村を 敵と見なすことです。すぐに争うことです。
(門倉)しかし それは向こうとて同じことじゃ。
だから 私が嫁げばその争いもなくなりましょう。
私にとって 村人は家族です。
血は つながっていなくても大事な家族なんです。
♪~
その家族が もし争いごとに巻き込まれて命を落とすようなことになったら私は その悲しみに耐えられない。
だから 私が 家族を守るんです!
(雪次郎)それじゃ 俺は どうなるんだ!本当の家族もいない俺はお前を失ったら 生きてはいけない!
ペチカよお前とポポロは どうなっておるのじゃ?
結婚の約束をしました。
だけど それは諦めなくてはなりません。
ペチカ… ペチカ!
ペチカ… ペチカ…!
(門倉)許せよ ポポロ~!(雪次郎)ペチカ~!
絶望したポポロは 山をさまよい歩きペチカそっくりの女性と出会います。
ペチカ!いいえ 私は 白蛇です。
あなたに助けてもらった白蛇です。
神様の使いか!?そうです。
さあ 私は あなたの一番望むことをかなえてあげられます。
何でも言って下さい。
それでは… ペチカをほかの誰にも嫁がせないようにして下さい!
お願いします!
本当に それでいいのですか?
(雪次郎)はい。ほかには 何も望みません。私には ペチカさえいればそれでいいのです。
分かりました。
では ペチカを嫁がせないようにしてあげましょう。
それから 間もなくしてペチカは謎の眠り病になってしまいました。
ペチカを嫁がせない代わりにサケも 手に入らなくなりペチカも ほかの病人も死を待つだけとなったのです。
ああ~!
何で 神様に村人みんなを助けてくれと言わなかったんだ…。
なぜ 自分のことだけを考えてしまったんだ…。俺は 愚か者だ…!
いいえ。 私がいけないのです。
(雪次郎)あなたは?私は 神の使いでありながらあなたに 恋をしました。
だから ペチカを眠らせたのです。
ペチカを諦めてほしかったのです。
さあ 私を焼いて下さい。
白蛇の皮を焼いて それを煎じて飲めば病気は治ります。
そして 川では オショロコマがたくさん取れるでしょう。
それを分け合って川下の村と仲よくなって下さい。
そして 平和に暮らして下さい。
どうか お幸せに。
さようなら。
待ってくれ… 待ってくれ!
♪~
(雪次郎)何だ 牛か。
(良子)牛じゃねえ! 白蛇だ! モ~!
白蛇様!? 本当に白蛇様なのか!?
どう見ても…。
白蛇!
(拍手と笑い)
♪~
(一同)お疲れさまでした~!
気持ちいかった~!緊張した…。
いや 誰かほどじゃねえべさ。
(口笛)
ま いろいろあったがこれが 俺たちの演劇だ。
うん… 心から そう言えるだろう。はい お疲れさん!
(一同)ありがとうございました!(倉田)はい。
(天陽)お疲れさまでした。
すごい絵だったな。
天陽君!おっ 天陽 見てたのか?
うん。 まあ 途中からだったけど。
何かあったの?(天陽)うん…。
(富士子)父さん!間に合ったんですか?
見てたんですか?(泰樹)途中からじゃ。
じいちゃん!(剛男)ああ なつ~!
(富士子)お疲れさん!(剛男)お疲れ!
(明美)なつ姉ちゃん かっこよかったよ!ありがとう。
みんな ありがとうございました。ありがとうございました。
じいちゃん ありがとう。
芝居 どうだった?途中からじゃ 分かんなかったしょ?
わしのためにやったのか?
わしに見せるために…。
えっ?
天陽のところの牛乳はわしの牛乳より 1升で6円も安かった。
どう考えても あれじゃ納得できん。
じいちゃん…。
わしの牛乳もこれからは 農協に預けることにする。
お義父さん…。
団結するしかないべ。
父さん…。ありがとうございます。
そうか…あの芝居を わしに見せたかったか。
このわしが 愚かだったか…。
違う… 違うよ!
じいちゃんが愚かなんてそんなこと 絶対あるはずない!
絶対ないよ!なつ どうした?
じいちゃんは 私の誇りだもん!
ずっと ずっと じいちゃんみたいになりたくて 生きてきたんだから!
私は 自分のためにやったの。
自分のためにやったんだよ。
途中からじいちゃんのことなんて考えてなかった。
自分のことだけに 夢中だった。
ごめんなさい。
じいちゃんが 愚かなはずない!
なつ…。
なつは 生まれて初めて物語を表現し人を思う気持ちを強くしたようです。
ああ なつよ その思いを抱いたまま来週に続けよ。


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