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航研機(読み)こうけんき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

航研機
こうけんき

周回航続距離の世界記録を樹立した日本の研究機。東京帝国大学航空研究所が試作し,1938年の記録飛行で国際航空連盟 FAIから公認証書を贈られた。設計が始まったのは 1933年。縦横比の大きな主翼と細長い胴体をもつ単発単葉機で,総重量 9216kgの半分近くが燃料であった。自重は 4225kg。脚は引込脚。操縦者も離着陸のときだけ開放操縦席から顔を出し,水平飛行中は座席を下げて胴体内に引き込み,ガラスのふたを閉めるようになっていた。無線機は重量を軽減するため搭載していなかった。 1937年5月 25日羽田空港で初飛行,同年秋と翌 1938年春の記録飛行には失敗したが,1938年5月 13日木更津-銚子-太田-平塚の4地点を結ぶ区間を 29周して1万 1651kmの飛行に成功した。所要時間は 62時間 23分。平均速度時速 186.2kmであった。この航研機には正式の名前がなく,関係者は初めのうち試作長距離機などと呼んでいたが,新聞紙上でいつの間にか航研機と呼ばれるようになって,それが定着した。

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百科事典マイペディアの解説

航研機【こうけんき】

東京大学航空研究所(航研)が設計,東京瓦斯電気工業が製作した長距離飛行用の研究機。1938年5月,関東上空を3日間にわたり周回,飛行距離1万1651.011kmの周回飛行世界記録を樹立。低翼単葉,単発700馬力,全長15.06m,翼幅27.93m。
→関連項目藤田雄蔵

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世界大百科事典 第2版の解説

こうけんき【航研機】

東京大学航空研究所(航研)が設計,東京瓦斯電気工業が製作を担当した長距離飛行用の研究機。試作を具体化したのは1933年で,日本陸軍の支援のもと,37年3月末に完成,同年5月25日初飛行した。翼幅27.93m,全長15.06m,液冷700馬力のエンジン1基,プロペラは木製2枚羽根固定ピッチである。38年5月13日千葉県木更津の海軍飛行場を離陸,木更津,銚子,太田,平塚を結ぶ1周約400kmのコースを29周,距離1万1651.011kmを飛んで周回飛行世界記録を樹立,15日夕刻木更津に着陸した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

航研機
こうけんき

1937年(昭和12)東京帝国大学航空研究所が約6年間を費やして設計した長距離飛行記録用機。設計は同所の機体部と発動機部とがあたり、機体製作は東京瓦斯(ガス)電気工業社が担当した。37年3月31日に完成。5月25日初飛行を行い、その後テストや改修を加えて38年5月13日から15日にかけて、木更津―太田―平塚の3地点を結ぶ周回飛行で1万1651.01キロメートルの公認世界記録と、1万キロメートルでの平均速度記録186.192キロメートル/時の国際公認記録を樹立した。これは日本の航空史上ただ一つの世界記録であるが、1年2か月後に破られている。操縦には藤田雄蔵陸軍大尉ほか2名があたった。翼幅28メートル、全長15メートル、翼面積87.3平方メートル、最大重量9トン、乗員2~3名、最大水平速度240キロメートル/時。なお、航空研究所では、この後A26という長距離機を設計し、44年7月に当時の満州国(現中国東北)の新京(現長春)―白城子(はくじょうし)―ハルビンを結ぶ三角コースで1万6455キロメートルの周回飛行記録をつくったが、第二次世界大戦中のため公認されていない。[落合一夫]
『富塚清著『航研機 世界記録樹立への軌跡』(1998・三樹書房)』

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世界大百科事典内の航研機の言及

【航空】より

…このような状態を続けている間にしだいに独自の技術が育成され,35年ころには陸海軍の各種の軍用機で,欧米の水準に劣らぬ性能をもち,しかも操縦性が優れているなど,日本独特の長所をもった国産機が次々に出現した。37年,神風号が東京~ロンドン間を途中11着陸,94時間17分56秒で飛び国際記録を樹立したり,38年,航研機が1万1651kmを無着陸で飛び,周回航続距離の世界記録を樹立したのも,当時の技術水準の高さを物語っている。 一方,航空輸送の面では,1922年に大阪~徳島,大阪~高松間の運航を始めた日本航空輸送研究所などの先駆的活動に続いて,29年,日本航空輸送株式会社が政府の補助を受けて東京・大阪・福岡・蔚山・京城・平壌・大連間に本格的な旅客,貨物,郵便物の定期輸送を開始した。…

※「航研機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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