★10月に予定している消費税率引き上げは既に半年を切っているにもかかわらず、延期を示唆するような政治のぶれをぶち上げれば、財界も国民も動揺する。なぜなら税率引き上げは必要と頭では理解しながら、税金は安い方がいいに決まっているという心理も働くからだ。本来この時期は消費税引き上げの直前の駆け込み需要の時期。また軽減税率対策で中小企業はキャッシュレス化対策などの設備投資をこの時期に済ませようとしている。つまり、政府がぶれることは既に迷惑でもあるのだ。

★22日、ネットで元経企庁長官・船田元が「消費税アップ3度目の正直」と記している。「安倍政権はこれまで15年、17年と2回にわたり消費税を10%に上げることを延期してきた。(今回)増税による落ち込みを防ぐためのポイント還元、軽減税率の導入に伴う複数税率に対応するレジシステムの更新、さらには増収の一部を幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化に充てるための法的・制度的な整備を着実に進めてきた」。

★「仮に延期となると、これまで官民挙(こぞ)って進めてきた努力も水泡に帰すことになり得るばかりか、教育・保育負担の軽減を待ち望んでいる多くの保護者を落胆させることは間違いない。また国内外のエコノミストや投資家には『増税出来ないほど日本経済の足元が弱っているのか』という負のイメージを与えかねない。長い目で見ると、増税延期は子供たちに借金のツケをさらに回すことになり、財政再建の旗印も捨て去ることになる。増税延期はメリットよりもデメリットの方がはるかに大きい」。予算に消費税アップ分を盛り込んでいながら直前の延期はもう政策として失敗、中止とみなされてもおかしくない。参院選挙前に国民の心を揺さぶる手法も税制の在り方としては不適当だろう。税制と選挙を結び付けた罪も重い。(K)※敬称略