掲題の案件について当ブログの読者のhideさんから情報提供を頂き、債権回収の最新状況(4月25日時点)が明らかになりました。hideさん、ありがとうございます。本記事では債権回収状況について分析します。
本案件のこれまでの経緯はこちらの記事をどうぞ↓
回収状況の報告メール(4/25時点)
以下がマネオから送られてきた進捗状況の報告です。重要箇所を黒字にしました。
投資家の皆様へ
maneo株式会社より、2019年1月31日にご報告いたしました延滞発生の融資案件につきまして、回収活動状況をご報告させていただきます。
1月31日付【延滞発生に関するご報告】は、以下をご確認ください。
https://www.maneo.jp/apl/information/news?id=78351.回収活動状況について
前回のご報告以降、対象不動産の売買に係る状況変化はございません。現状を把握すべく不動産事業者DMに報告を求めているものの明確な回答が得られておらず、また、新たな登記が申請されているため対象不動産の謄本が閲覧できない状態となっております。状況の把握は登記の完了が見込まれる5月上旬以降になるものと思われます。
一方で、前回報告していた金融会社への債権譲渡はクロージングの最終段階にきておりますが、前述のとおり現在の登記内容が閲覧できない状況のため、登記の完了後に内容を確認し、最終決定がなされる見込みとなっております。
上記のとおり、事業者C社は、引き続き担保物件の売買の状況を確認いたしますが、現時点では債権譲渡の交渉を進めることが、最速の回収手段にあたるものと判断しております。
また、新たに設定される登記の内容によっては、不動産競売の申立にも着手することとなります。
2.今後の状況報告について
該当投資家の皆様には、回収状況について、引き続きメールにてご報告いたします。次回については3週間後を目途にご報告いたしますが、お伝えすべき事項がございましたら、速やかにご報告いたします。
投資家の皆様には、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。引き続き回収業務に全力を尽くしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
2019年4月25日
匿名組合契約における営業者 maneo株式会社
匿名組合出資の募集取り扱い maneoマーケット株式会社(第二種金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2011号)
勝手に深読みします
マネオの状況報告メールを勝手に深読みします。以下の2点が読み取れます。
新たな登記が申請されている
マネオのメールによれば「新たな登記が申請されているため対象不動産の謄本が閲覧できない」状態であるとのことです。日本の登記制度ですと、何か登記申請がされると、その登記が反映されるまで登記対象の不動産の不動産登記簿謄本は閲覧できなくなります。
つまり登記が閲覧できないという事は、誰かが何らかの登記を申請したということです。登記申請日から登記が完了するまで最短2-3日、法務局が忙しいと最長2週間くらいかかることもあります。
何の登記申請がされたかはわかりませんが、マネオは対象物件の抵当権第1順位を登記しているそうなので一定の安心感はあります。想定される登記内容は、他の債権者による対象物件の差押えや、後順位債権者による競売の申立があると思います。
所有権移転登記の可能性は低いと思います。マネオの抵当権が付着したままの不動産を買い受ける人はいません。売買する場合はマネオに抵当権抹消登記を求めてくるはずです。もちろんマネオは抵当権抹消の前提として融資の返済を求めるでしょう。マネオが知らない登記なので売買ではない(もちろん本件融資返済による抵当権抹消登記でもない) と判断します。
金融会社への債権譲渡交渉は大詰め
マネオが最速・最有力の債権回収手段と位置付ける債権譲渡ですが、文面から大詰めの段階にきていることが伺えます。しかしながら、債権譲渡価格に関する記載が一切ありません。
仮に債権額(融資額)以上での譲渡が有力ならばその旨を書いて投資家を安心させることも出来ますが、敢えて一切触れていないところをみると額面割れの金額での交渉になっている可能性があると思われます。
全額焦げつく位なら、いくらかでも返ってくる方が良いという考えもあると思いますが、そもそも「評価額20億円」の担保に16億円を融資したわけで、額面割れでの終結は全く許容できません。
まとめ
マネオは相変わらず借手をグリップできていないことが明らかになりました。借手から明確な状況報告は受けらていないし(借手にコケにされている?)、関知していない登記まで申請される始末です。
そしてこの状況を打破する唯一の策が債権譲渡というのは全くお粗末な話です。引き続きどのような展開になるのか予断を許さない状況です。