今回は、サントリーのワールドウイスキー「碧<Ao>」を飲んでみます。

5つの産地のウイスキーをブレンドした多国籍ウイスキー

ao_碧は、ウイスキーの産地として代表的な、スコットランド、アメリカ、アイルランド、カナダ、そして日本の5つの産地のウイスキーをブレンドしたものになります。

これが実現したのも、サントリーが、ジム・ビームで有名なアメリカのビーム社を傘下に入れたことが大きいです。

かつては「世界の名酒」というコーポレートスローガンを掲げたサントリーですが、ウイスキーにおいては世界のウイスキーの主要な場所を手に入れたと言っても過言では無いでしょう。

一方で、日本の他、スコットランドでもウイスキーの原酒不足、特に長期熟成の原酒は不足しており、年数表記のボトルからノンエイジに切り替えるところも少なくありません。

その状況の中で、複数の地域の原酒をブレンドした碧は、原酒不足対策として、今後のウイスキー販売における実験作とも言えるでしょう。

5つの個性が奏でる絶妙なハーモニー

では、ストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々淡い琥珀色、香りは青リンゴ、マスカット、メロンなど、複雑に絡み合って香ってきます。

口に含むと、アーモンド、バニラの甘い香りが先立ち、続いてブドウや青リンゴへと続きます。
味わいは、アルコールからの辛みがとても強く、チェイサーが無いと舌が焼けるような刺激で厳しいものがあります。それを過ぎると、ほのかに酸味と甘みが交錯してきます。

ロックにすると、ライムの爽やかな香りが揮発し、バニラやアーモンドの甘い香り、ブドウなどのフルーティさと絡み合っていきます。その奥からは、白檀、シナモンの芳しい香り、そしてヨード、ピートがやってきます。
味わいは、苦味が少々目立つものの、ストレートでのアルコールの辛みは消え、穏やかな甘みと酸味が支配します。

ハイボールでは、アーモンドの香ばしい香りが先行し、バニラの甘い香り、そしてピートがアクセントを与えます。
味わいは、甘みが中心となり、軽い酸味を伴いつつも、飲みやすいものとなります。

5つの地域のウイスキーの特徴を端々に感じながらもバランス良く調和されていて、ワールドウイスキーの名前に恥じないブレンドになっていると思います。
ただ、調和がとれすぎて突出した特徴が無いので、癖のあるウイスキーを求める人には物足りなく感じるでしょう。

また、若い原酒を主体にしていると思われ、ストレートではアルコールの刺激が強く、ロックや加水した方がいいでしょう。

700mL、アルコール度数43度、価格は5000円。ただ、数量限定もあってかすでにプレミアがついており、発売当初でも1万円以上の値段がついています。
もっとも、個人的には5000円でも高いかな、という印象です。

<個人的評価>

  • 香り A: アーモンド、バニラが先行し、青リンゴ、ブドウが追いかける。加水でライムが揮発し、ヨード、スモーキーさも現れる。
  • 味わい C: 柔らかい酸味と甘さが主体。ストレートではアルコールからの辛みが強い。ロックではビターが顔を出す。
  • 総評 C: 調和のとれた穏やかさが感じられるが、飲み方を選ぶ。1万円の価値には届かない。


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