消費税増税の行方などについて話す伊藤さゆりさん=4月23日、福井県福井市の福井新聞社

 福井新聞政経懇話会の第447回4月例会は4月23日、福井県福井市の福井新聞社・風の森ホールで開かれ、ニッセイ基礎研究所主席研究員の伊藤さゆり氏が「2019年度経済展望~変わる世界と日本社会~」と題して講演した。自民党の萩生田光一幹事長代行が延期に言及した10月の消費税増税について「足元を見ると(増税延期は)可能性としてはある」と指摘。景気拡大の先行きに黄色信号がともっているとし、「過去の増税の際は個人消費が落ち、なかなか以前の水準に戻らなかった。同じことが繰り返されるのは避けたいという政治判断はあり得るのではないか」との見解を示した。

 講演要旨は次の通り。

 一、5月に発表される1~3月期の実質GDP(国内総生産)の統計は、弱い成長になると予測されている。この基調が続きそうかどうかが、消費税増税の判断に影響を及ぼすと考えている。

 一、企業の好業績がアベノミクス景気の特徴だった。しかし、3月の政府の月例経済報告では景気判断が下方修正され、輸出や生産に弱さが見られるという文言が入った。これは、景気の拡大を支えてきたエンジン役が弱まっていることを意味している。

 一、18年後半から19年の初めにかけて、米中貿易摩擦や中国経済の減速などで世界同時減速という様相を呈した。ただ、我々の今後の見通しでは、基調は弱いものの世界経済の拡大が続く。日本は19年度より20年度の方が高い成長になる見込みだ。

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