【羽ばたけ中部勢】二刀流社会人プロボクサー藤田裕崇 ロッキー憧れ大学から始めた2019年4月24日 紙面から
ボクシングの藤田裕崇(24)=愛知県一宮市出身、名古屋大橋=が、プロデビューから2戦連続1回KO勝ちと最高の滑り出しを見せた。早大で未経験からボクシングを始め、現在はリクルート社で営業として勤務してスーツのままジムに駆け込む日々。「どちらも妥協せず、最強を目指したい」と、まずは全日本スーパーライト級新人王を目指す。 パリッとしたオーダースーツに身を包み、ジムにやってくる姿がとにかく目立つ。営業の仕事柄、さわやかな印象の藤田だが、リングに上がるとパワフルそのものだ。3月末の中日本新人王トーナメント初戦では、開始10秒弱に左フックでダウンを奪うと、続けざまに右ストレートをたたき込み1回37秒でKO勝ち。会場をどよめかせた。 昨年11月のプロデビュー戦に続き、初回KO劇の主役となったが、振り返る口ぶりは慎重そのものだった。「チャンスが最初だったというだけ。全日本新人王になるには、2段階はスケールアップ、進化しないと。むしろ時間がないくらい」。最初の目標へ、満足するつもりはない。 少年時代は野球に打ち込み、愛知・清林館高では留学のために英語の勉強。ボクシングとは無縁だったが、格闘技好きだったこともあり、映画・ロッキーから刺激を受けて「自分自身を本気で試したくなった」。一念発起して早大入学と同時に、ボクシング部へ。その思いは4年間、闘い抜いても変わらなかった。 入社したリクルート社での名古屋配属が決まってからは、元東洋太平洋スーパーバンタム級王者の大橋弘政会長(39)と出会い、名古屋大橋ジムの門をたたいた。昨年秋にプロになったとはいえ、ボクシングだけで生計を立てられるのは、世界王者らほんの一握り。ゆえに会社員を続けることを選んだ藤田は、スーツ姿で夜のジムに急ぎ、終電で帰宅する日々を過ごしている。 「ボクシングと仕事の割合は、5対5じゃなくて10対10。いずれ、どちらか一つを選ぶ日も覚悟しているけど、自分で選んだ道。まだ妥協するつもりはない」 大橋会長が「とにかく練習量が必要。アマチュア時代の貯金はすぐなくなる」と話すように、真価が問われるのはこれから。「ボクシングといえばチャンピオン。天才じゃないから、道筋をとにかく考えるしかない」。まずは次戦の8月4日、中日本新人王の称号で藤田なりの“二刀流”の答えを出す。 (志村拓) ▼藤田裕崇(ふじた・やすたか) 1994(平成6)年12月26日生まれ、愛知県一宮市出身の24歳。174センチ。早大でのアマチュア成績は10戦7勝3敗。昨年11月にプロデビューし、戦績は2戦全勝(2KO)。右ボクサーファイター。
PR情報
|