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続き。
難度についてだが、これまでのゼルダシリーズで一番「難しい」部分だったダンジョンに関してはどうか。
これは先に書いたが、そもそものダンジョン数が大幅に減り、その分「祠」の小規模謎解きが多く存在するという構成になっている。
そしてゼル当だった「多数の謎解きアイテム」を思い切り見直し、僅か5種に絞られた。しかも序盤でそれら全てを入手できる。
御馴染みの「爆弾(2種)」、磁力で磁性のある物を操作できる「マグネキャッチ」、少し時を止められる「ビタロック」、
水場に氷の塊を作れる「アイスメーカー」だ。ついでに言うと滑空用のアイテム「パラセール」もあるかな。
これらを序盤で手に入れれば、ある意味リンクは最終形態となる。ゲーム開始から、早ければ2~3時間ってとこか?
この時点で全てのダンジョンや祠を突破可能だし、何ならラスボス倒してゲームクリアーも可能だ。実際やってる人もいる。
従来型の順繰りにアイテムを手に入れる方式を完全にひて……見直し、最初に全ての、しかし数は少なめのアイテムを入手させる。
この見直しは功を奏していたのか。……俺としては「数が減った分簡素になったな」と、何とも当たり前のことを感じた。はぁ。
祠の謎解きは非常に多彩で、「少ないアイテムからよくこれだけネタを考えるものだ」と感心した。何十とあるのにな。
……しかしやはりアイテム数の少なさは、単純明快に寂しい。よく出来てるし、考えるのは面白いけど、微妙な退屈感がある。
なんちゅーか「広がり」がないのだ。最序盤を終えれば、もう新アイテムは登場しない。その事はアイテム入手後にすぐ想像できた。
となれば今後どれだけ祠を見つけても、出てくる謎解きに「あっと驚く」ようなものがない。それが実感できてしまったのだ。
祠の謎解き自体は楽しいが、ワクワク感が希薄というのかな。ここでもゼル当の功罪がよく出ている。決して最高の改革ではない。
外で持ち歩かれるのが不都合なら、祠の中限定のアイテムなんてものを用意できなかったのか。実際祠の中は隔離空間なんだから。
ビタロックは「時間停止中に物体を殴ると運動エネルギーを溜められる」という特性があるが、その為には物体を殴る必要がある。
殴るには得物が必要。そして今作の武器は消耗品。……これじゃ思う存分ビタロックで遊べないよ。仕様としておかしくないか。
ゴルフ的な「ビタロックを使って巨大な玉を殴って穴に落とせ」な祠では、力加減の調整が難しく、何度も失敗した。
失敗しても再挑戦は幾らでも可能だが、もう1回やるにはもう1回玉を殴る必要がある。手持ちの武器で。……痛むだろう。嫌だよ俺。
ビタロック使用時は、専用の棒(耐久無限、敵を殴ってもダメージ0)みたいなものを自動で持つような仕様にすべきだったと思う。
マグネットは便利だが、当然磁性オブジェクトにしか使えないんで、出番が少なかった印象だ。もっと使うべきだったか。
アイテムは「切り替えが面倒」という根本的な欠点が俺には最後まで重かった。アイテムだけじゃなく武器や盾もあるからなぁ……。
それから、俺は青沼氏の発売前対談で「小さな謎解き祠を100以上用意した」て記述を読んだが、これは誇大広告である。
実際には謎解きじゃない「小ボス戦」な祠も多数ある。今調べたら、20個あった。全てが謎解き祠ではない。ガッカリである。
まぁ彩りとして戦闘祠があってもいいが、20は多すぎであろう。……そして困ったことに、この小ボス戦闘が非常につまらんのだ。
一応今作のボス枠なのに矢鱈と弱い。楽に勝てるから緊張感がない。更に戦闘祠ではどこもほぼ同じ奴が相手になる。つまりコピペ。
コピペをなるべく避け、膨大な要素をキッチリ「作ってる」のが今作の美徳だと思っていたが、戦闘祠だけは露骨にコピペで萎えた。
作れる謎解きの数が足りなかったから、穴埋めのためにやったのだろう。実にカッコ悪かった。しかもつまらんのだからダメダメだ。
クリア後の祠探しでは、戦闘祠ばっか見付かって気持ちが萎えちまった。そのせいでプレーを終えてしまったかもしれん。はぁ。
では4つあるダンジョンの謎解きはと言うと……こちらはさすがにガチ、ガッチガチだ。初見では皆目分からず、途方に暮れた。
4ダンジョンはどれも「神獣」という巨大動物ロボの体内で、「特定部位を任意で動かし、ダンジョンを変化させる」ギミックがある。
例えば象の神獣だと、鼻を操作することで鼻水(違う)の射出角度が変わり、それが謎解きに絡んでくるのだ。
最初はマジでさっぱり分からんが、何度も鼻操作をしているうちに、ダンジョン内の変化、「法則」が徐々に見えてくる。
ダンジョン全体が広いわけではないが、非常に入り組んでいて、そこに変化ギミックが加わるから、複雑さはかなりのものだ。
ちなみに「何処でも行ける」今作だが、神獣と祠内の壁は例外としてしがみ付けない。不自然ではあるが、仕方あるまい。
ここでは存分に「ゼルダ的謎解き」を楽しむことができる。……それが今作では寧ろ浮いてる要素なんだから、面白いもんだな。
残念だったのは、謎解きの目的が全て「ボタンを押す」だったことだな。4ダンジョンどこでも「5つのボタンを押す」が目的だ。
それ以外に、例えば中ボスを倒すといったネタが登場することはない。もちろん手持ち以外の新アイテムが登場することもない。
ゼルダでは「部屋に入る→入った扉が閉まる→!?」てのがお約束だが、今作にそれはない。ボタンの存在は殆どが見えている。
「あのボタンを押すにはどうすればいいか?」を考える謎解きだ。もちろんそれはそれで面白いが、やや単調だった。
神獣を動かすギミックも、4つ全てに登場するから後半は慣れてしまったしな。気合は感じるが、豪華さは見られない。
やはり今作において、ダンジョンは「異質」なのか。チロリロリロリンは無論続投しているが、どこか音色が寂しかった。はぁ。
4ダンジョンにはそれぞれ「カースガノン」というボスキャラがいる。前述のように、雷のカースガノンは非常に強い。
が、それ以外は何とかなるレベルである。そしてボスを倒すと、従来と同様(珍しい!)ハートの器が貰え、更に必殺技を会得する。
必殺技は4神獣に対応した英傑の魂を借りた技で、非常に有用。充電制(?)で、使ってもしばらく待てば再使用可能となっている。
必殺技を計算に入れ、厄介な神獣は後に回すといい。……一番有用な「ウルボザの怒り」は雷カース討伐後に会得、なのが残念だ。
ウルボザの怒りは非常に強力で、これがあれば厄介な雑魚どもも一網打尽に出来る。強力すぎて通常攻撃が虚しくなるほどだ。
……な~んか、リンクの立つ瀬がないよね。俺の力じゃねーし。はぁ。次点でミファーの祈りが好き。キザ男の風はイマイチか。
ゼルダと言えば多彩なアイテムで、それを入っているのは宝箱で、だったら宝箱を開ける楽しみだった。……以前までは。
「重要アイテム」を徹底的に削った今作では、当然それを入手する楽しみも減った。豪華な宝箱ご開帳の曲もない。多分。
ただ、宝箱自体は非常に多く用意されている。これはダンジョンを減らし多数の祠を用意したことと似たような調整だと思われる。
祠や4ダンジョンにはもちろん、フィールド上でも色んなところに宝箱が隠されている。また雑魚集団を倒すと、ご褒美で貰える。
……が、正直全然嬉しくない。多少良い武器や高く売れる宝石なんかが入っていても、「それで?」でしかない。所詮汎用品だ。
武器や盾はどんな良いものでも使っていればすぐ壊れる。今作においては愛着なんて生まれるはずもない。100円屋の商品て感じだ。
製作者としては、大きな喜びが消失したから「ちょっとした嬉しさ」で埋めようというのだろうが、正直ちょっとも嬉しくない。
ああそうだ、今作の納得行かないことに「武器や盾を売却できない」がある。そう、買い取ってもらえないのだ。何だよそりゃ。
消耗品であるため各所で大量に入手出来るから、売却可能だと金儲けが簡単になりすぎるという判断なんだろうが……納得いかん。
持てる武器の数には限りがある。売却は不可能。じゃあ余ったらどうすれば? ……捨てるしかない。勿体無いの極みである。
前述のように俺はコログの実交換をやれなかったんで、所持上限は初期状態だった。何度も何度も、不本意に武器を諦めたよ。
売れないにしても、「余った武具を生かす」手段は絶対に用意すべきだった。この点はかなりのストレスだったなぁ。はぁ。
今作はOW……OAだから、メインシナリオとは別に、所謂クエストこと「サブチャレンジ」が多数用意されている。基本だな。
一般人から依頼されるお使い等の頼まれごとだ。世界の危機になんとも呑気なこったが、まぁパンピーなんぞこんなもんである。
このサブチャレ、数は意外なほどに少なく、全部で76しかない。この異常ボリュームゲームには似つかわしくないと思った。
だがその分、どれもサブなりに凝っている、と思う。他のOWにありがちな、水増しのためだけのような課題はなかった。多分。
そして……今作の方針に則り、難しい。何をすればいいかは無論提示されるが、何処へ行けばいいかは千尋の谷に突き落とされる。
緩いOWでは目的地にマーカーが入るものもあるが、今作では依頼人の位置が示されるのみ。まぁこれは当然かもしれんが。
例えばゾーラ族の男の妻を探してくれと言われ、「今はハイラル湖辺りにいるんじゃないか」とヒントを貰う。で、行ってみる。
ハイラル湖、アホほど広い。俺、頑張って探す。探す。探す。ちなみに雑魚の邪魔が超ウザい。今作、水場の調整失敗してると思う。
結果を言えば、このクエストは達成できなかった。嫁さん、逃げたんじゃねーっすか。はぁ。随分探したのになぁ。
もちろんあっさり達成できたクエストもあるが、全体的には今作らしく「ちょっとしんどい」バランスになっていると思う。
うーん。俺はOWでのクエスト埋めが好きだと自分で思っていたが、今作のチャレンジはその気が起きなかった。達成率50%くらい。
数が少ない分質を高めているのは確かだし、ここは単純に俺の好みに合わなかったってことかな。期待していただけに、残念である。
クエストといえば……今作には祠やアイテムを探す際、それが近付くとセンサーが音を出して知らせてくれるというシステムがある。
しかしこれが、使えないことこの上ない。「遠ければ小さい音、近付くほど大きい音」という分かり易い仕様なのに、超役立たず。
単純に、「超近い」のピコピコ音が鳴っていても、全然発見出来ない。祠は80くらい発見したが、センサーが役立ったことは皆無。
あれなんなんマジで。寧ろ期待だけさせる厄介者だったぞ。アイテムセンサーは使ってないが、多分同じだろうなぁ。
「あんまり便利だと探索が楽になりすぎる」という判断なんだろうが……それにしても、あれほど使えなくていいものなのか。
自由って、大変だねぇ。快楽は全部自力で調達しろってか。……俺は、籠の中の鳥でいいや。誰か飼って下さい。はぁ。
物語はどうか。これは非常にシンプルな作りだった。が、OAというジャンルに合う様よく考えられていたとも言える。
ハイラル国には昔から「厄災」に度々襲われていた。その名はガノン。その度に勇者の魂を持つ者と女神の血を引く者が封じてきた。
約1万年前、文明が高度に発達したハイラルでは、ガノン討伐に役立てようと、4神獣とガーディアンを開発した。
その時は新戦力が見事に機能し、勇者と姫がしっかりガノンを封印した。そして再びガノンが姿を現したのは、100年前。
当然その時も1万年前と同様の戦力で挑んだが、復活したガノンはまず神獣ら兵器を乗っ取るという行為に出た。
大戦力が失われたばかりか敵戦力にされてしまい、ハイラル側は為す術無く敗退。4英傑と王は死に、勇者リンクも瀕死の状態に。
リンクは治癒機能のある祠に連れて行かれ、ゼルダ姫は単身ガノンに挑み、一時的に力を抑えることに成功した。
それから一時的な小康状態に入り、100年の時が経過。遂に目覚めた勇者リンクは、全ての記憶を失っていた……。
OWと言えば寄り道要素だが、それは「世界の危機に何呑気に遊んでんだ」という設定矛盾を生むこともあった。「FF15」とか特に。
まぁ「プレーヤー」という予測不可能要素が介入するゲームというジャンルでは昔からこの問題はあったが、OWはそれが顕著だった。
今作の物語はその辺がよく考えられていると思う。序盤→4神獣→ラスボス という極めてシンプルな作りがその答えだ。
あまりに頻繁に事態を動かすと、プレーヤーが寄り道に集中(なんじゃそら!)できない。なるべく静かに、落ち着いた世界に。
それでいて、危機の存在は厳然と知らせる。「危険と隣り合わせの仮初の平穏」というか、そういう空気を上手く作っている。
もちろん真面目に見れば「ゼルダ姫が頑張ってるのに何遊んでんねん」だが、そこが割と緩く、気になりにくいゲームである。
リンクは記憶喪失だし、ガノン討伐の前に様々な準備が必要ってのも間違いじゃないしね。寄り道も立派にその一部なのだ。
シンプルにした分、物語の面白さは殆ど皆無だが、まぁしゃーない。凝った話にしたら面白くなるとも限らんしね……。
ゼルダの伝説と言えば、ゼルダ姫・リンク・ガノン3人(?)の因縁を描く作品だ。前作スカウォでその辺が語られていたはず。
今作でもそれを踏襲、というかシリーズで一番そのエッセンスを凝縮している。厄災ガノン、封じる者ゼルダ、そして勇者リンク。
厄災ガノンは文字通りの意味でハイラルに知られる巨悪、対してハイラル王族はそれを封じる力を、勇者は倒す力を持つ。
……この中で、プレー中ずっと違和感があったのが、他ならぬプレーヤーキャラ・ハイラルの勇者ことリンクである。
ガノンを封じるには、まず倒さねばならない。それが可能な、マスターソードを扱えるハイラル唯一の男。リンクはそう評される。
「リンクにしか出来ない」から、周囲の人間も当然リンクを特別扱いする(パンピは別)。100年の延命もリンクがリンクだから、だ。
しかし。実際俺が分身として操るリンクには、そういった特別さ、際立った能力が感じられない。そこに非常に強い違和感がある。
高所から落ちれば死ぬ。爆弾で大怪我。剣技には長けているが、化物を瞬殺できるわけではない。……どれも当然ちゃ当然だが。
他2人には「唯一無二」の凄みがあるのに、リンクだけが普通。強いて言えば何度死んでも生き返られるのが凄みか。……凄すぎか。
マスターソードも結局「ガノンに少々有効」なだけで、さして強力ではない。前述のように壊れるし。自動復元するけど。凄いな。
もちろんリンクが「優れた戦士」であることは確かだろう。でもハイラルの全てを背負う、唯一無二の伝説の勇者、なのか?
フィクション的な「選ばれし者」、俺がやらなきゃという感覚が今作には薄い。俺はそれが非常に不満で、また違和感があった。
ガノン討伐を目指すなら、集団戦で挑むべきだろう。その隊長がリンクってなら分かるんだが。はぁ。
リンクが「特別な人間」には見えない。それ以外の外的要因においても、今作が「無理」であることは強く感じられる。
今作のガノンは化物と言うより概念的な存在(多分)で、最終決戦時にこそ実体化するが、それまでは紫の悪意として漂っている。
ハイラル城全域を覆うその悪意は尋常ではない。実際ガノンは復活する度に厄災っぷりが強くなっているようだ。人ではないからな。
歴代の姫や勇者は、どんなに有能であっても人間だから、当然死んでいってる。しかしガノンは復活する。積み重ねがある。
そんなガノンの在り様は、「個人がどうこう出来る」レベルとは到底思えん。あれを勇者一人で討伐とか、漫画もいい加減にしろ。
他の人間達も傍観してたわけじゃなく、1万年前に少しでも勇者の手助けをすべく「神獣」を中心に様々な兵器を開発した。
そう、4ダンジョンの神獣は、元はガノン討伐兵器だったのだ。それぞれ超絶ビームを発射可能で、リアルだと戦車みたいなもんか。
4ダンジョンを攻略済みだと、最終決戦時に各神獣が援護ビームを撃ってくれる。……そういう戦いでしょ? 剣技とか? え?
神獣以外にも、フィールドの至る所にかつての対ガノン兵器がいて、リンクを攻撃してくる。連中はガノンに乗っ取られたのだ。
そいつらの放つビームが、超正確な上に超ダメージ。俺は何度も一撃で殺された。攻撃だけならライネル以上。それがゴロゴロいる。
……もうね、ホント無理。どんなに優れた人間だろうと、歩兵が光学兵器乱れ舞う戦場で何するねん。フィクションちゃうんやぞ。
やはり、リンクには理屈を越えた才能の描写が欲しかった。ゼルダ姫には封印能力がある。だから彼女は「特別な個人」だった。
マスターソードをリンクが使えば、秘められた能力を引き出せるとか。常時それを使われるとマズイなら、最後の一撃演出だけでも。
これはゼル当により武器を消耗品にしたことが遠因にあると思う。それに縛られた結果というか。凄い武器を全否定したりするから。
変なところで「いい子ちゃん」になった結果、拭いきれない違和感が残ってしまった。ここは残念と言うしかない。
「伝説の勇者」なリンクが見たかった。マスターソードから極太ビーム出しちゃまずいんですか!? ……まずいですか、そですか。
そういうのが嫌いなんですね青沼さん。他の軟派二次元と一線を画したシリーズ、ゼルダの伝説。それがゼルダの当たり前。はぁ。
ついでに言うと、本来味方だった兵器を完璧に乗っ取られ、思い切り敵戦力にされてる事実が何とも虚しい。将棋ちゃうんやぞ。
ガノンさんの恐ろしさと有能さだけはビンビンに伝わってくる物語であった。少なくともヒロイック気分には浸れんかったな……。
キャラ評。
・インパ
御馴染みの乳母だが、今回は老婆設定。見た目が「うる星やつら」の錯乱坊にそっくり。けど意外とネットじゃ同意見が少なかった。
もううる星を知る人なんてあんまいないってことか。まぁ俺も詳しいわけじゃないが。あとお孫さんを僕に下さい。
・ミファー
ゾーラ族の美少女姫。4英傑になるほどの力を持つが、内面はただの恋する少女。お相手は? もちろん無口青年リンクに決まってる。
いやぁ、超萌えでしょ。実際今作のリンクは歴代NO.1のイケメンなのに、目立つ惚れた設定はこの子のみ。ヒト族女は見る目無しか。
……が、この子は見た目が。正確には髪の毛が。いや正確には髪じゃないんだけど……髪に該当する部分が魚の尾になってるのが。
「デザイン的にああした方がスッキリする」という判断なのかもしれんが、俺は初見で「ないわ」と思った。あれはないやろマジで。
もちろんゾーラ族、要するに半魚人であることは承知している。でも他がヒトっぽいから、余計尾髪(?)の違和感が凄まじかった。
時オカのゾーラ姫くらい「全くヒトではない」なら、それはそれでオッケーなんだけどね、個人的に。ゾーラ姫可愛かったなぁ。
それ以外は文句ない。ゼルダ姫の手前求愛はしにくかったんかな。姫は当時その気なさそうだし、早めに唾付けときゃよかったのに。
ゼルダの日録によると、どうも彼女に「トロそう」て印象を持っていた模様。少しはバチバチあったのかな? 妄想を膨らませよう。
・ダルケル
ゴロン族の英傑。種族的にお間抜けキャラを想像してしまうが、全然そうではなく、一番英傑らしい感じの豪傑だった。
恐らく年齢も最年長だから、一行のリーダーだったのではなかろうか。神獣操作なんかじゃなく、武器持って戦ってほしかったな。
……いや、彼はそれじゃガノンは倒せないと知っていたのだろう。倒すのが目的なんだから、自力に拘る必要なんてない。正しい。
それをリンクにも言ってやってほしかったな。英傑能力は便利だけど、自動発動な点は使い難かった。
・リーバル
風の英傑。気障ったらしい言動でリンクに絡む。あくまで補佐役である自分と勇者リンクの立場の違いに苛立っていたらしい。
……なら、一緒に生身でガノンと戦ってくださいよマジで。あんなのに原始戦闘を挑まされる身にもなって下さいよお願いだから。
嫌味なことを言うが嫌な奴ではなさそうだから嫌いではない。こういう奴にも無口対応してるなら、リンクの方が悪いと思う。
英傑能力は戦闘より移動で役立った。一から高いとこいくの面倒だからね。……ンな用途で使うな? いいじゃん俺とお前の仲だし。
・ウルボザ
ゲルド族の英傑。ゲルド族は時オカので「女だけの種族」「数百年ぶりに生まれた男がガノン」というわけの分からない設定だった。
それじゃ交配はどうやってんねんとかずっと疑問に思ってる。あとナボールの「イイこと」が未遂なことも一生根に持つ。
んで今作では、男女間で子を成す普通の種族であるようだが、登場する町を「男子禁制」にしていやがって、リンクは入れない。
任天堂はFEでホモレズ婚をさせたりして「そういうのに理解がある」態度を見せる会社なのに、こんな露骨な差別描写はOKなんだな。
俺はこれ、単純明快にムカついたわ。建物一つとかならともかく町全体て。女装で入れるってのが余計屈辱的で不愉快だった。
せめて神獣解放後は素で出入り可にすべきだろうが。誰のお陰で平穏な生活出来てんだと思ってんだテメーら。しね。チッ。はぁ。
現在の長・ルージュは常識人で、リンクが男でも普通に対応していたが、だったらお前が上の人間として下々に指示せぇってな。
雷のカースガノン、めっちゃ強いねんぞ分かってんか。自分らさえよければいいのか。……いいのか。人間らしい種族だな……。
そんな腐れ種族代表のウルボザだが、さっぱりした気性の姉御さんで好感度は高かった。正直ミファーより良かったかも。
つっても彼女はリンクなどまるで眼中になく、「おひいさま」と呼ぶゼルダ姫のことをいつも考えている。従者ではないはずだが。
立ち位置的には今作のインパだな。実際彼女をインパにして、錯乱坊を別の名前にした方が収まりがよかったように思う。
彼女で一番特筆すべきは「英傑技『ウルボザの怒り』が超使える」ことであろう。便利すぎて泣きそうなくらい使えた。
広範囲に大威力の雷撃。直接ダメージはもちろん、痺れボッ立ち状態を誘発。雑魚集団戦でもガーディアン戦でもボス戦でも大活躍。
今作の戦闘面にはちょっと辟易していたので、この技には本当に救われた。ありがとうウルボザさん、ユーは俺の英雄だよ。
4英傑はEDにて、ハイラル王と共に成仏できた模様。100年も待たせて悪かったなぁ。まぁ連帯責任だけどな……。
・リンク
主人公。世界の期待を背負ったハイラルの勇者にして全ての記憶を失った男。何処にでも行って何でも食って死んでも死なない男。
従来のゼルダでは常に名前入力が可能(多分)で、「リンク」は便宜上の主役名に過ぎなかったが、今回は正真正銘のリンクである。
更にお約束の緑服・尖がり垂れ帽子も排除し、精悍なイケメン剣士となった。当然と言うか、ゼル当方針がガンガン適用されている。
……それでいて、俺が切望してた「喋ってくれ」はガン無視され、今回も掛け声以外は一切会話に参加しないコミュ障勇者。
こんだけ表現がリアルになったのに無口のままじゃいい加減無理があるっつってんだろうが。無論今作でも違和感ありあり。はぁ。
「無味無臭主人公」の方針で作られているから、性格とかはよう分からん。ゼルダ日録によれば、色々考えてはいるみたいだが。
料理と食事、行動力から、見た目に反して「豪胆」であることは間違いなかろう。ある意味剣技よりそっちが勇者の能力かもな。
俺は彼にも「望み」があって、それを叶えるような描写がほしかった。もちろん世界を救うのとは別でね。あってもいいでしょ。
ED後は、どうなったんかね。料理研究家にでもなって、斬新なレシピをいっぱい考えて幸せになってほしい。はぁ。
・ガノン
悪。だが悪役として格上げされたことで「意思」のようなものは見られなくなった。そういう意味ではあんまし怖くない。
散々述べたが、リンク個人で倒せるのような存在じゃない。なのに最終決戦では「倒されるために」体を小さくし、白けちまった。
ラストがほぼイベント戦になってることも含め、最終戦の描写は失敗した気がしてならない。100年の悪夢がどうしてこうなった。
ハイラル城全域を支配してるんだから、そのまま城全体がボスだったらよかったのに。どう纏めるのか、って? 知らんがな。
・ゼルダ
裏主人公。このシリーズは、タイトルがおかしい。正しくは「リンクの伝説」もしくは「ハイラルの伝説」であろう、と。
単純な話、まだゲーム製作が緩くて少人数で短期間だった初代当時、うっかり間違えたんだと思う。他に原因があるだろうか?
で、製作者は2作目にして修正を図った。……が、それもあまりしっくり来ず、「ええい!」と開き直ったのであろう。全部想像。
そして定着した「ゼルダの伝説」は、毎度毎度俺から突っ込まれることになる。姫が何してん、最後の美味しいとこ取りか、と。
……けど! 今作は、違う。もちろん主人公はリンクだし、ゼルダの出番が多いわけじゃないが、非常にしっかりと仕事をしている。
彼女がいたからガノンの一時停止とリンクの延命が可能だったのだ。その期間100年。あまりにも立派な功績である。
そして本来の役目「封印」もキッチリこなした。実戦のリンクに対して裏方のゼルダ、双方が助け合った結果の完全勝利である。
いや、良かった。今作はシリーズで初めて「タイトル負けしていない」と言える。ずっとプレッシャー感じてただろうからな……。
そんな今作のゼルダ姫は、しかし100年前は割と拗ねっ子でダメっ子だったようだ。コンプレックスの塊だったように見える。
一子相伝のガノン封印術を授けてくれるはずの母が、修行開始直前に死去。母親と師匠を同時に失う悲劇に襲われてしまった。
その後は一人で修行を頑張るが、成果は芳しくない。好きでやってた遺跡研究は順調だったが、それは父親に咎められたり。
自分と違い「完璧な勇者」に見えるリンクが護衛の任に就くと、彼への嫉妬も強くなった。……分かる、分かるぞぉ姫!!
まぁ結局「彼も悩みのある普通の人間」と気付き、そんなことも分からなかった己を恥じるんだけどね。いい成長したな。
そういうったゼルダとリンクのエピソードは、「写し絵」に記録された場所を探し出すことで、ムービーとして閲覧可能だ。
写し絵は要は写真で、それを撮影するカメラは今作の重要お遊びアイテムだ。謎解きに絡んだりすることはないが、出番は多い。
今風にSNSにアップすることも可能。俺も何度か楽しんだ。……けどま、「めっちゃ楽しい!」もんじゃない。有り触れてるし。
自分で図鑑を作っていくというお遊びもあったが、さほどハマれなかった。消耗品の武具を記録してもなんか虚しいしな。
んで写し絵の思い出だが、それ自体から場所を特定するのは至難の業。旅の絵描きに見せてヒントを貰うのが基本となる。
……うーん。ちょっと破綻を感じる。出来れば自力で発見可能な範囲の難度に入れてほしかった。一枚じゃなく連続写真ならなぁ。
写し絵の場所を全て訪れていると、所謂真のEDを見るフラグが立つ。俺は知らんかったから、クリア後にコンプを頑張った。
2つだけ、自分じゃ発見できんかった。絵描きを発見出来なかったと言うべきか。まぁ13番目は自力だったからいいや。
今作のゼルダ姫はかなり良いキャラになっているが、それだけにリンクとのラブコメがないのは残念である。一体何故なのか。
(本筋に限れば)2人の関係は非常に濃密である。それでいて同年代の男女、身分的にも問題なし。寧ろならない方が不自然だろう。
最初はそうでなくても、リンクのことを理解してからは徐々に……てな描写があれば、物語は一層盛り上がったと思うのだが。
今作の作りでそれを嫌うプレーヤーがいるとも思えん。何でここまで「不自然」にするんかなぁ。……おかしいのは俺の方か?
前作スカウォでは、ゼルダが「私はただ、リンクとずっと一緒にいたかっただけなのに……」と口にする。俺は、燃え上がったよ。
ぶっちゃけ世界とかどうでもいいんだ。それは言い過ぎだが、一人の人間が本当に頑張れるのは、顔の見える仲間達のためである。
それが男であり、仲間が惚れた女なら、これ以上の動機はない。それでこそ世界を覆う脅威に挑む勇気が湧くってもんだろう。
ゼルダ姫とは生身では最後まで会えず、声が一方的に届くだけだ。……もし「早く貴方に会いたい、リンク……」とか言われたら?
物凄く強い「本筋を進める動機付け」になったと断言出来る。そうか、今作に足りてないのは、こんな単純なことだったんだな。
青沼氏はこういうの嫌いなのかねぇ。真のED後、二人旅をしている間に、今度こそ……! と想像したい。はぁ。
ガノンに乗っ取られ滅茶苦茶な状態のハイラル城では、ゼルダ姫の日録と研究録を読むことが出来る。もちろん盗み見になるが。
それを記録したのでここに残しておこう。ちなみにハイラル王のそれもあったが、そっちは面倒だからパスした。姫だけでいい。
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ゼルダの日録
英傑達との会合の後遺物調査に向かうも 今日の発掘では大きな成果を得られなかった
厄災が復活を迎える迄に 遺物の全てを理解し迎撃の準備を整えねばならない
占い師の予言が現実になるのならあまり時間は残されていない筈だ……
考えを廻らせていると不安ばかり襲ってくる 今夜はもう休もう
追記:明日御父様の指名で彼が私付の騎士に着任する……
神獣ヴァ・ルーダニア調整の為ゴロンシティへ ……背後にずっと彼の視線を感じ疲労を覚えた
初めて会った時から感じてはいたけれど 彼は本当に無口で何を考えているか分からない
お蔭で余計な想像をしてしまう……退魔の剣に選ばれた彼は私の事をどう思っているのだろう
ハイラル王家の娘に生まれながら封印の力を使えない私を……彼は蔑んでいないだろうか?
今日彼に酷い事を言ってしまった
調査の成果が上がらず滅入っていた時に何度も同行を断った彼が現れ思わず叫んでしまった
でも私が何故怒っているか分からない様子だった 申し訳無いけれどそういう処は苛立ちを覚える
今日は日録をどう書いていいのか判らない 自分の気持ちが上手く文章にならない
彼が私を助けてくれた イーガ団の刃から私を護ってくれた
私は散々彼を邪険にしてきたのに 自分勝手な苛立ちを彼にぶつけてきたのに
明日今までの事を謝ろうと思う そして彼と……リンクと少し話をしてみよう
リンクと少しずつ話が出来る様になってきた 実は彼は健啖家で何でも美味しく食べるそうだ
思い切ってなぜ普段は無口なのか尋ねるとリンクは言い難そうにしていたが答えてくれた
何かと他人に注目される彼は常に模範足れと意識し やがて感情を表に出さなくなったという
私は彼を才能に恵まれ苦悩とは縁が無い人だと思い込んでいたがそんな事は無かったのだ
どんな人にも他人からは見えない悩みがある……私は自分に精一杯でそんな事も分からなかった
もっとリンクと話をしてもっと想いを聞きたい そして私の悩みを彼に打ち明けられたらと思う
御父様にもう遺物研究に関わるなと厳命された 封印の力を得る為の修行に専念しろと
悔しくて情けなくて言葉が出なかった 幼い頃からずっと……私はやってきたのに
修行を始める前年 御母様が急逝した……私は母と師を同時に失ってしまった
御母様は笑顔で言っていた……大丈夫ゼルダ貴女なら直ぐに出来る様になる……と
でも私は出来なかった……何度やっても何時まで経っても……封印の力を宿している筈なのに
明日はリンクと力の泉へ修行に赴く予定だ でもまた徒労に終わるのだろう……きっと……
昨晩夢を見た……闇に覆われた場所で光に包まれた一人の女性が私を見つめていた
彼女は人ではない……私はそう直感した 精霊か女神かよく判らないがとても美しかった
彼女の唇は動いていたが声は届いて来なかった 聖なる力を持っていれば聞く事が出来たのか
それともあれは私の悩みが生み出した只の夢か ……答えは直否応無しに出る筈だ……
今日私は17歳になった 知恵の泉での修行が許される日を迎えたのだ
リンクが迎えに来たらラネール山へ出立する 他の英傑達は麓まで同道してくれるそうだ
あれ以来御父様とは顔を合わせていないが……まだ気まずい……ここへ戻った時 会いに行こう
…… ……
実はあの夢を見てから感じている事がある 無才の姫の言葉など誰も信じないだろうが
私は今 途方も無く 強い胸騒ぎを覚えている
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「初めて会った時から感じてはいたけれど 彼は本当に無口で何を考えているか分からない」が最高ですね。本音、晒していこう。
続いて研究録。
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ゼルダの研究録
シーカー族のインパ引退 私は今日から本格的に遺物の研究に関わる
インパからプルアとロベリーを紹介された 共にインパ同様シーカー族との事
明日は彼等と発掘調査に赴く予定 勇導石を操作する為の遺物発見が急務だ
遺跡より勇導石操作用と思われる石状の遺物が出土した
両手で持つサイズのそれは長方形の物体で 全面に古代シーカー族の紋様が確認出来る
素材は不明だがおそらく各地に点在する祠と同じ物質で造られていると推察している
インパの進言により私が預かることとなった これが研究の進展に繋がれば良いのだが
発見された石版状の遺物をシーカーストーンと呼称する事になった
出土した記録の中にはこの遺物の名を示す資料は発見されず プルアの命名案が採択された
シーカー族の造った石状の遺物だからシーカーストーン……少し安直な気もする……
シーカーストーンの機能を一部回復出来た この石版は写し絵を作成出来る事が判明
通常の写し絵の様に人間の描き手を必要とせず対象物をありのままの姿で写せるのだ
今更ながら古代シーカー族の技術の高さに驚かされる……
シーカーストーンは勇導石を操作する為の機能も有していると推測される……研究を急ごう
英傑による神獣の操作訓練を行った
意外と言うと失礼だがミファーがソツ無く熟し ダルケルが最初少しだけ苦戦していた
ウルボザやリーバルも神獣との相性は良い様だ 厄災に対する光明が見えてきた
ロベリーが発掘したガーディアンを次々に可動状態まで持って行ってくれている
だがガーディアンは全て発見された訳では無い 記録によれば更に多くの数や種類があるという
そしてそれらはハイラル城の地下に眠る5本の巨大な柱に格納されているらしいが……
城の地下をいくら捜索しても柱は発見出来ない 恐らく相当深い位置に埋まっているのだろう
その柱は厄災ガノンの出現を感知して出現する仕組みになっているのだろうか?
ハイラルの各地で無数に発見されている遺物……あの中に入る為の研究が行き詰まっている
記録によればあれは厄災を打ち倒す勇者の為に作られた施設なのだが 肝心の起動方法が不明だ
シーカーストーンが起動の鍵なのでは? というプルアの推測に私も賛成だが……反応は全く無い
厄災に対抗する手立ては全て万全を期しておきたい……諦める訳にはいかないのだ
以前発見された回生の祠についてプルアと話をした
やはりあの祠が治癒能力を備えた医療施設である事は間違いない様だ
また治療を行いながら超長期にわたる睡眠を継続させられる機能も備わっているらしい
一万年前の厄災戦ではあの遺物での治療が必要な程の重傷者が出たのだろうか……?
それに私達があれを完全な状態で稼働するところまで調整出来ていない事にも不安は残る
もし厄災ガノンが復活しても回生の祠を使う様な闘いにならない事を祈るばかりだ……
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「意外と言うと失礼だがミファーがソツ無く熟し」に、彼女のことをどう思っていたかが表れていますね。裸の心、晒していこう。
そういや古代シーカー族のことは、結局殆ど語られなかったな。彼等の残した兵器は、役に立ったと言っていいのかどうか……。
グラフィックはどうか。これは「とても美しい」と言っていいだろう。超絶微細ではないが、ゲームの雰囲気にはバッチリ合ってる。
SWITCH版をやった俺が言うのも変だが、Wii Uで最後の最後に「美しいグラフィックのゲーム」が出たことを喜ばしく思う。
景色はどこも見惚れる眺めだし、日差しや水辺の美麗さも十分だ。まぁ「OW的にはよくある」美しさだが、これでいい。
今回初めてHD機のゼルダということで、製作者達もようやく満足いく絵作りが出来たのではなかろうか。無論まだ上はあるが。
人物関係は、リンクがイケメンだったんでオッケー。ゼルダ姫は眉をもうちょい細くしてほしかった。まぁでも概ねオッケー。
音楽は、ハッキリ言って存在感皆無。ぶっちゃけ一曲も印象に残っていない。そもそも流れていたのか? というレベルだ。
ジャンルがOAになったことで、今までのような場面場面のBGMはうるさくなる。そのため、フィールドは殆ど無音だ。多分。
ここは「挑戦」してほしかった。「OAにあったフィールド曲」というものに。なんだったらオンオフ可能にしてくれればいいし。
このジャンルは、作曲家が非常に割を食うと思う。どうしてもゲームの邪魔をしないよう、オマケ的な扱いになってしまう。
しゃーないんかねぇ……。
ふぅ。ふぅ~~~~~~~ぅ…………。
いや、長かった。分量以上にめっちゃ時間がかかった。余裕でゲーム一本クリアー出来るくらいに。一体何やってんだ俺は。
こんな規模のデカいゲームに「思ったことを全て書く」なんてやるのは、無理があるんだろう。正直後悔。こんなの感想じゃない。
あ、書き忘れがあった! 雨降った時にしがみ付きが滑るようになるのは最悪のイライラ要素だったと思います。あんなん要らん。
ともあれ、やった。やりきった満足感……とか、だから感想ってそういうもんちゃうやろ! はぁ。ダメだった。ゲーム関係なしに。
基本的に楽しんだのは間違いないが、従来作との差異の不満を語れば、どうしても長くなってしまう。うう~む。
青沼氏がゼル当方針を貫いてこの傑作を生み出したことに倣い、俺も感想の当たり前を見直す時期に来ているのかもしれん。
ンな俺の事情はどうでもいいっての。面白かったです。ゼルダ姫可愛かったです。……本来はこれで十分なんだよなぁ……。
110時間プレーしたが、実は祠やサブチャレが多く残っている。本来はここから「埋め」に走るんだが、今回何故かやる気になれない。
自分でもよく分からん。今作は良くも悪くもガチで作られているから、そういう雑なことをやると虚しさを覚えそう……なのかな。
クリア後の裏ボス等の存在もないしな。せめて4カースとはクリア後にも戦えるようにしてほしかった。そういう特別な祠出現とか。
本編でそんな感じだから、配信が始まったDLCは買ってないし、買う気にもならん。その前に本編を全部埋めろってな。
うーん。結局のところ、俺は本心から今作を歓迎してないってことなのかのう。こんだけ長く付き合ったゲームなのに。はぁ。
ちなみに本編のボリュームが凄まじいから、DLCにボッタ的不満はない。「やりたい人向け」だし、あれでいいと思う。
……で、昨日。序盤のハイラル王の話をもう一回聞こうと最初から始めたら、セーブデータを上書きしてしまい、世界は滅びました。
今作のセーブシステムは、2周目をやれるようには作られていません。実践してみれば理解できるでしょう。罠としか言い様がない。
2周目をやりたいなら、ログインユーザーを新規に作る必要がある。……何で、って? 俺が訊きたいわ。何やねんこの糞仕様。
てわけで、俺の110時間は泡となって消えました。もうやる気も生きる気も失せた。お先真っ暗。世界を救った結果がこれさね……。
今後ゼルダの伝説はどうなっていくんだろう。今作の大改革は大成功だったと思うが、それでも取りこぼしもまたあるはずだ。
俺自身、ずっとゼルダファンだと思っていたが、これほどの変化を見せられると、今後もそう在り続けられるとは断言出来ん。
「面白かったならそれでいいんじゃね?」てのは正論だが、ゼルダはシリーズなのだ。それも30年ものの。そう簡単な話じゃない。
ぶっちゃけ、「面白い」だけではダメなのだ。今の時代、面白いものなんて他にも幾らでもある。今作が唯一無二ではない。
じゃあ今作の何が唯一無二なのかと言えば、もちろん「ゼルダの伝説シリーズ最新作」であるということだ。……けど、大変革。
分かっている。もし今作が従来を踏襲した作りだったら、「面白いけど、さすがにマンネリが激しいと」俺は言ったに違いない。
震えが来るほど身勝手だが、無責任な客たぁそういうものだ。そして実際、シリーズ作の継続と改革の按配に正解なんてないのだ。
今作は大改革の道を選び、大成功を収め、傑作が出来上がった。俺はそれを存分に楽しみ……同時に「ゼルダとしては」と思った。
はっは。何なんかねこれ。「変化できる者こそが強い」という自然界の絶対法則と、それに全く沿えない弱い自分を思う。
はぁ。まぁ今作が大好評で売上も絶好調なんだから、もちろん続編の製作は確定している。いつになるかは誰にも分からんが。
30年を越えてまだまだ続く比類なき任天堂の看板シリーズ「ゼルダの伝説」の更なる発展を祈って終わり。そこに偽りはない。多分。
……なんか、FEと被るとこがあるね。シリーズをV字回復させた路線と、それに違和感を覚える自分。では、今後の流れは……?
ガノンを完全に消滅させ、ハイラルに平和が戻ったところで今作は終わる。だがもちろん、あの世界の日常はこれからも続く。
壊滅した王国を復興させなきゃならんし、王家の再興も必要だ。そのためにはお世継ぎが、王婿が必要なんですぞ姫様!!
まぁそんなわけで、「物語」はめでたしめでたしで終わっても、現実はそうはいかない。ずっと続く。物語の世界であっても。
もちろん我らがこの世界でも同じだ。俺が死ぬまで続くし、死んでも続く。変化なきものを容赦なく蹴り落としていきながら。
変わらないゲームをぶつくさ文句つけながら延々やってるのが俺にはお似合いなのかもね。実際その方が幸せなのかもしれんよ。
次なるゼルダを、俺はプレーできるのか。この世界にガノンはいないけど、「怖い概念」がいつもそこらを漂っている。
はぁ。
web拍手
続き。
難度についてだが、これまでのゼルダシリーズで一番「難しい」部分だったダンジョンに関してはどうか。
これは先に書いたが、そもそものダンジョン数が大幅に減り、その分「祠」の小規模謎解きが多く存在するという構成になっている。
そしてゼル当だった「多数の謎解きアイテム」を思い切り見直し、僅か5種に絞られた。しかも序盤でそれら全てを入手できる。
御馴染みの「爆弾(2種)」、磁力で磁性のある物を操作できる「マグネキャッチ」、少し時を止められる「ビタロック」、
水場に氷の塊を作れる「アイスメーカー」だ。ついでに言うと滑空用のアイテム「パラセール」もあるかな。
これらを序盤で手に入れれば、ある意味リンクは最終形態となる。ゲーム開始から、早ければ2~3時間ってとこか?
この時点で全てのダンジョンや祠を突破可能だし、何ならラスボス倒してゲームクリアーも可能だ。実際やってる人もいる。
従来型の順繰りにアイテムを手に入れる方式を完全にひて……見直し、最初に全ての、しかし数は少なめのアイテムを入手させる。
この見直しは功を奏していたのか。……俺としては「数が減った分簡素になったな」と、何とも当たり前のことを感じた。はぁ。
祠の謎解きは非常に多彩で、「少ないアイテムからよくこれだけネタを考えるものだ」と感心した。何十とあるのにな。
……しかしやはりアイテム数の少なさは、単純明快に寂しい。よく出来てるし、考えるのは面白いけど、微妙な退屈感がある。
なんちゅーか「広がり」がないのだ。最序盤を終えれば、もう新アイテムは登場しない。その事はアイテム入手後にすぐ想像できた。
となれば今後どれだけ祠を見つけても、出てくる謎解きに「あっと驚く」ようなものがない。それが実感できてしまったのだ。
祠の謎解き自体は楽しいが、ワクワク感が希薄というのかな。ここでもゼル当の功罪がよく出ている。決して最高の改革ではない。
外で持ち歩かれるのが不都合なら、祠の中限定のアイテムなんてものを用意できなかったのか。実際祠の中は隔離空間なんだから。
ビタロックは「時間停止中に物体を殴ると運動エネルギーを溜められる」という特性があるが、その為には物体を殴る必要がある。
殴るには得物が必要。そして今作の武器は消耗品。……これじゃ思う存分ビタロックで遊べないよ。仕様としておかしくないか。
ゴルフ的な「ビタロックを使って巨大な玉を殴って穴に落とせ」な祠では、力加減の調整が難しく、何度も失敗した。
失敗しても再挑戦は幾らでも可能だが、もう1回やるにはもう1回玉を殴る必要がある。手持ちの武器で。……痛むだろう。嫌だよ俺。
ビタロック使用時は、専用の棒(耐久無限、敵を殴ってもダメージ0)みたいなものを自動で持つような仕様にすべきだったと思う。
マグネットは便利だが、当然磁性オブジェクトにしか使えないんで、出番が少なかった印象だ。もっと使うべきだったか。
アイテムは「切り替えが面倒」という根本的な欠点が俺には最後まで重かった。アイテムだけじゃなく武器や盾もあるからなぁ……。
それから、俺は青沼氏の発売前対談で「小さな謎解き祠を100以上用意した」て記述を読んだが、これは誇大広告である。
実際には謎解きじゃない「小ボス戦」な祠も多数ある。今調べたら、20個あった。全てが謎解き祠ではない。ガッカリである。
まぁ彩りとして戦闘祠があってもいいが、20は多すぎであろう。……そして困ったことに、この小ボス戦闘が非常につまらんのだ。
一応今作のボス枠なのに矢鱈と弱い。楽に勝てるから緊張感がない。更に戦闘祠ではどこもほぼ同じ奴が相手になる。つまりコピペ。
コピペをなるべく避け、膨大な要素をキッチリ「作ってる」のが今作の美徳だと思っていたが、戦闘祠だけは露骨にコピペで萎えた。
作れる謎解きの数が足りなかったから、穴埋めのためにやったのだろう。実にカッコ悪かった。しかもつまらんのだからダメダメだ。
クリア後の祠探しでは、戦闘祠ばっか見付かって気持ちが萎えちまった。そのせいでプレーを終えてしまったかもしれん。はぁ。
では4つあるダンジョンの謎解きはと言うと……こちらはさすがにガチ、ガッチガチだ。初見では皆目分からず、途方に暮れた。
4ダンジョンはどれも「神獣」という巨大動物ロボの体内で、「特定部位を任意で動かし、ダンジョンを変化させる」ギミックがある。
例えば象の神獣だと、鼻を操作することで鼻水(違う)の射出角度が変わり、それが謎解きに絡んでくるのだ。
最初はマジでさっぱり分からんが、何度も鼻操作をしているうちに、ダンジョン内の変化、「法則」が徐々に見えてくる。
ダンジョン全体が広いわけではないが、非常に入り組んでいて、そこに変化ギミックが加わるから、複雑さはかなりのものだ。
ちなみに「何処でも行ける」今作だが、神獣と祠内の壁は例外としてしがみ付けない。不自然ではあるが、仕方あるまい。
ここでは存分に「ゼルダ的謎解き」を楽しむことができる。……それが今作では寧ろ浮いてる要素なんだから、面白いもんだな。
残念だったのは、謎解きの目的が全て「ボタンを押す」だったことだな。4ダンジョンどこでも「5つのボタンを押す」が目的だ。
それ以外に、例えば中ボスを倒すといったネタが登場することはない。もちろん手持ち以外の新アイテムが登場することもない。
ゼルダでは「部屋に入る→入った扉が閉まる→!?」てのがお約束だが、今作にそれはない。ボタンの存在は殆どが見えている。
「あのボタンを押すにはどうすればいいか?」を考える謎解きだ。もちろんそれはそれで面白いが、やや単調だった。
神獣を動かすギミックも、4つ全てに登場するから後半は慣れてしまったしな。気合は感じるが、豪華さは見られない。
やはり今作において、ダンジョンは「異質」なのか。チロリロリロリンは無論続投しているが、どこか音色が寂しかった。はぁ。
4ダンジョンにはそれぞれ「カースガノン」というボスキャラがいる。前述のように、雷のカースガノンは非常に強い。
が、それ以外は何とかなるレベルである。そしてボスを倒すと、従来と同様(珍しい!)ハートの器が貰え、更に必殺技を会得する。
必殺技は4神獣に対応した英傑の魂を借りた技で、非常に有用。充電制(?)で、使ってもしばらく待てば再使用可能となっている。
必殺技を計算に入れ、厄介な神獣は後に回すといい。……一番有用な「ウルボザの怒り」は雷カース討伐後に会得、なのが残念だ。
ウルボザの怒りは非常に強力で、これがあれば厄介な雑魚どもも一網打尽に出来る。強力すぎて通常攻撃が虚しくなるほどだ。
……な~んか、リンクの立つ瀬がないよね。俺の力じゃねーし。はぁ。次点でミファーの祈りが好き。キザ男の風はイマイチか。
ゼルダと言えば多彩なアイテムで、それを入っているのは宝箱で、だったら宝箱を開ける楽しみだった。……以前までは。
「重要アイテム」を徹底的に削った今作では、当然それを入手する楽しみも減った。豪華な宝箱ご開帳の曲もない。多分。
ただ、宝箱自体は非常に多く用意されている。これはダンジョンを減らし多数の祠を用意したことと似たような調整だと思われる。
祠や4ダンジョンにはもちろん、フィールド上でも色んなところに宝箱が隠されている。また雑魚集団を倒すと、ご褒美で貰える。
……が、正直全然嬉しくない。多少良い武器や高く売れる宝石なんかが入っていても、「それで?」でしかない。所詮汎用品だ。
武器や盾はどんな良いものでも使っていればすぐ壊れる。今作においては愛着なんて生まれるはずもない。100円屋の商品て感じだ。
製作者としては、大きな喜びが消失したから「ちょっとした嬉しさ」で埋めようというのだろうが、正直ちょっとも嬉しくない。
ああそうだ、今作の納得行かないことに「武器や盾を売却できない」がある。そう、買い取ってもらえないのだ。何だよそりゃ。
消耗品であるため各所で大量に入手出来るから、売却可能だと金儲けが簡単になりすぎるという判断なんだろうが……納得いかん。
持てる武器の数には限りがある。売却は不可能。じゃあ余ったらどうすれば? ……捨てるしかない。勿体無いの極みである。
前述のように俺はコログの実交換をやれなかったんで、所持上限は初期状態だった。何度も何度も、不本意に武器を諦めたよ。
売れないにしても、「余った武具を生かす」手段は絶対に用意すべきだった。この点はかなりのストレスだったなぁ。はぁ。
今作はOW……OAだから、メインシナリオとは別に、所謂クエストこと「サブチャレンジ」が多数用意されている。基本だな。
一般人から依頼されるお使い等の頼まれごとだ。世界の危機になんとも呑気なこったが、まぁパンピーなんぞこんなもんである。
このサブチャレ、数は意外なほどに少なく、全部で76しかない。この異常ボリュームゲームには似つかわしくないと思った。
だがその分、どれもサブなりに凝っている、と思う。他のOWにありがちな、水増しのためだけのような課題はなかった。多分。
そして……今作の方針に則り、難しい。何をすればいいかは無論提示されるが、何処へ行けばいいかは千尋の谷に突き落とされる。
緩いOWでは目的地にマーカーが入るものもあるが、今作では依頼人の位置が示されるのみ。まぁこれは当然かもしれんが。
例えばゾーラ族の男の妻を探してくれと言われ、「今はハイラル湖辺りにいるんじゃないか」とヒントを貰う。で、行ってみる。
ハイラル湖、アホほど広い。俺、頑張って探す。探す。探す。ちなみに雑魚の邪魔が超ウザい。今作、水場の調整失敗してると思う。
結果を言えば、このクエストは達成できなかった。嫁さん、逃げたんじゃねーっすか。はぁ。随分探したのになぁ。
もちろんあっさり達成できたクエストもあるが、全体的には今作らしく「ちょっとしんどい」バランスになっていると思う。
うーん。俺はOWでのクエスト埋めが好きだと自分で思っていたが、今作のチャレンジはその気が起きなかった。達成率50%くらい。
数が少ない分質を高めているのは確かだし、ここは単純に俺の好みに合わなかったってことかな。期待していただけに、残念である。
クエストといえば……今作には祠やアイテムを探す際、それが近付くとセンサーが音を出して知らせてくれるというシステムがある。
しかしこれが、使えないことこの上ない。「遠ければ小さい音、近付くほど大きい音」という分かり易い仕様なのに、超役立たず。
単純に、「超近い」のピコピコ音が鳴っていても、全然発見出来ない。祠は80くらい発見したが、センサーが役立ったことは皆無。
あれなんなんマジで。寧ろ期待だけさせる厄介者だったぞ。アイテムセンサーは使ってないが、多分同じだろうなぁ。
「あんまり便利だと探索が楽になりすぎる」という判断なんだろうが……それにしても、あれほど使えなくていいものなのか。
自由って、大変だねぇ。快楽は全部自力で調達しろってか。……俺は、籠の中の鳥でいいや。誰か飼って下さい。はぁ。
物語はどうか。これは非常にシンプルな作りだった。が、OAというジャンルに合う様よく考えられていたとも言える。
ハイラル国には昔から「厄災」に度々襲われていた。その名はガノン。その度に勇者の魂を持つ者と女神の血を引く者が封じてきた。
約1万年前、文明が高度に発達したハイラルでは、ガノン討伐に役立てようと、4神獣とガーディアンを開発した。
その時は新戦力が見事に機能し、勇者と姫がしっかりガノンを封印した。そして再びガノンが姿を現したのは、100年前。
当然その時も1万年前と同様の戦力で挑んだが、復活したガノンはまず神獣ら兵器を乗っ取るという行為に出た。
大戦力が失われたばかりか敵戦力にされてしまい、ハイラル側は為す術無く敗退。4英傑と王は死に、勇者リンクも瀕死の状態に。
リンクは治癒機能のある祠に連れて行かれ、ゼルダ姫は単身ガノンに挑み、一時的に力を抑えることに成功した。
それから一時的な小康状態に入り、100年の時が経過。遂に目覚めた勇者リンクは、全ての記憶を失っていた……。
OWと言えば寄り道要素だが、それは「世界の危機に何呑気に遊んでんだ」という設定矛盾を生むこともあった。「FF15」とか特に。
まぁ「プレーヤー」という予測不可能要素が介入するゲームというジャンルでは昔からこの問題はあったが、OWはそれが顕著だった。
今作の物語はその辺がよく考えられていると思う。序盤→4神獣→ラスボス という極めてシンプルな作りがその答えだ。
あまりに頻繁に事態を動かすと、プレーヤーが寄り道に集中(なんじゃそら!)できない。なるべく静かに、落ち着いた世界に。
それでいて、危機の存在は厳然と知らせる。「危険と隣り合わせの仮初の平穏」というか、そういう空気を上手く作っている。
もちろん真面目に見れば「ゼルダ姫が頑張ってるのに何遊んでんねん」だが、そこが割と緩く、気になりにくいゲームである。
リンクは記憶喪失だし、ガノン討伐の前に様々な準備が必要ってのも間違いじゃないしね。寄り道も立派にその一部なのだ。
シンプルにした分、物語の面白さは殆ど皆無だが、まぁしゃーない。凝った話にしたら面白くなるとも限らんしね……。
ゼルダの伝説と言えば、ゼルダ姫・リンク・ガノン3人(?)の因縁を描く作品だ。前作スカウォでその辺が語られていたはず。
今作でもそれを踏襲、というかシリーズで一番そのエッセンスを凝縮している。厄災ガノン、封じる者ゼルダ、そして勇者リンク。
厄災ガノンは文字通りの意味でハイラルに知られる巨悪、対してハイラル王族はそれを封じる力を、勇者は倒す力を持つ。
……この中で、プレー中ずっと違和感があったのが、他ならぬプレーヤーキャラ・ハイラルの勇者ことリンクである。
ガノンを封じるには、まず倒さねばならない。それが可能な、マスターソードを扱えるハイラル唯一の男。リンクはそう評される。
「リンクにしか出来ない」から、周囲の人間も当然リンクを特別扱いする(パンピは別)。100年の延命もリンクがリンクだから、だ。
しかし。実際俺が分身として操るリンクには、そういった特別さ、際立った能力が感じられない。そこに非常に強い違和感がある。
高所から落ちれば死ぬ。爆弾で大怪我。剣技には長けているが、化物を瞬殺できるわけではない。……どれも当然ちゃ当然だが。
他2人には「唯一無二」の凄みがあるのに、リンクだけが普通。強いて言えば何度死んでも生き返られるのが凄みか。……凄すぎか。
マスターソードも結局「ガノンに少々有効」なだけで、さして強力ではない。前述のように壊れるし。自動復元するけど。凄いな。
もちろんリンクが「優れた戦士」であることは確かだろう。でもハイラルの全てを背負う、唯一無二の伝説の勇者、なのか?
フィクション的な「選ばれし者」、俺がやらなきゃという感覚が今作には薄い。俺はそれが非常に不満で、また違和感があった。
ガノン討伐を目指すなら、集団戦で挑むべきだろう。その隊長がリンクってなら分かるんだが。はぁ。
リンクが「特別な人間」には見えない。それ以外の外的要因においても、今作が「無理」であることは強く感じられる。
今作のガノンは化物と言うより概念的な存在(多分)で、最終決戦時にこそ実体化するが、それまでは紫の悪意として漂っている。
ハイラル城全域を覆うその悪意は尋常ではない。実際ガノンは復活する度に厄災っぷりが強くなっているようだ。人ではないからな。
歴代の姫や勇者は、どんなに有能であっても人間だから、当然死んでいってる。しかしガノンは復活する。積み重ねがある。
そんなガノンの在り様は、「個人がどうこう出来る」レベルとは到底思えん。あれを勇者一人で討伐とか、漫画もいい加減にしろ。
他の人間達も傍観してたわけじゃなく、1万年前に少しでも勇者の手助けをすべく「神獣」を中心に様々な兵器を開発した。
そう、4ダンジョンの神獣は、元はガノン討伐兵器だったのだ。それぞれ超絶ビームを発射可能で、リアルだと戦車みたいなもんか。
4ダンジョンを攻略済みだと、最終決戦時に各神獣が援護ビームを撃ってくれる。……そういう戦いでしょ? 剣技とか? え?
神獣以外にも、フィールドの至る所にかつての対ガノン兵器がいて、リンクを攻撃してくる。連中はガノンに乗っ取られたのだ。
そいつらの放つビームが、超正確な上に超ダメージ。俺は何度も一撃で殺された。攻撃だけならライネル以上。それがゴロゴロいる。
……もうね、ホント無理。どんなに優れた人間だろうと、歩兵が光学兵器乱れ舞う戦場で何するねん。フィクションちゃうんやぞ。
やはり、リンクには理屈を越えた才能の描写が欲しかった。ゼルダ姫には封印能力がある。だから彼女は「特別な個人」だった。
マスターソードをリンクが使えば、秘められた能力を引き出せるとか。常時それを使われるとマズイなら、最後の一撃演出だけでも。
これはゼル当により武器を消耗品にしたことが遠因にあると思う。それに縛られた結果というか。凄い武器を全否定したりするから。
変なところで「いい子ちゃん」になった結果、拭いきれない違和感が残ってしまった。ここは残念と言うしかない。
「伝説の勇者」なリンクが見たかった。マスターソードから極太ビーム出しちゃまずいんですか!? ……まずいですか、そですか。
そういうのが嫌いなんですね青沼さん。他の軟派二次元と一線を画したシリーズ、ゼルダの伝説。それがゼルダの当たり前。はぁ。
ついでに言うと、本来味方だった兵器を完璧に乗っ取られ、思い切り敵戦力にされてる事実が何とも虚しい。将棋ちゃうんやぞ。
ガノンさんの恐ろしさと有能さだけはビンビンに伝わってくる物語であった。少なくともヒロイック気分には浸れんかったな……。
キャラ評。
・インパ
御馴染みの乳母だが、今回は老婆設定。見た目が「うる星やつら」の錯乱坊にそっくり。けど意外とネットじゃ同意見が少なかった。
もううる星を知る人なんてあんまいないってことか。まぁ俺も詳しいわけじゃないが。あとお孫さんを僕に下さい。
・ミファー
ゾーラ族の美少女姫。4英傑になるほどの力を持つが、内面はただの恋する少女。お相手は? もちろん無口青年リンクに決まってる。
いやぁ、超萌えでしょ。実際今作のリンクは歴代NO.1のイケメンなのに、目立つ惚れた設定はこの子のみ。ヒト族女は見る目無しか。
……が、この子は見た目が。正確には髪の毛が。いや正確には髪じゃないんだけど……髪に該当する部分が魚の尾になってるのが。
「デザイン的にああした方がスッキリする」という判断なのかもしれんが、俺は初見で「ないわ」と思った。あれはないやろマジで。
もちろんゾーラ族、要するに半魚人であることは承知している。でも他がヒトっぽいから、余計尾髪(?)の違和感が凄まじかった。
時オカのゾーラ姫くらい「全くヒトではない」なら、それはそれでオッケーなんだけどね、個人的に。ゾーラ姫可愛かったなぁ。
それ以外は文句ない。ゼルダ姫の手前求愛はしにくかったんかな。姫は当時その気なさそうだし、早めに唾付けときゃよかったのに。
ゼルダの日録によると、どうも彼女に「トロそう」て印象を持っていた模様。少しはバチバチあったのかな? 妄想を膨らませよう。
・ダルケル
ゴロン族の英傑。種族的にお間抜けキャラを想像してしまうが、全然そうではなく、一番英傑らしい感じの豪傑だった。
恐らく年齢も最年長だから、一行のリーダーだったのではなかろうか。神獣操作なんかじゃなく、武器持って戦ってほしかったな。
……いや、彼はそれじゃガノンは倒せないと知っていたのだろう。倒すのが目的なんだから、自力に拘る必要なんてない。正しい。
それをリンクにも言ってやってほしかったな。英傑能力は便利だけど、自動発動な点は使い難かった。
・リーバル
風の英傑。気障ったらしい言動でリンクに絡む。あくまで補佐役である自分と勇者リンクの立場の違いに苛立っていたらしい。
……なら、一緒に生身でガノンと戦ってくださいよマジで。あんなのに原始戦闘を挑まされる身にもなって下さいよお願いだから。
嫌味なことを言うが嫌な奴ではなさそうだから嫌いではない。こういう奴にも無口対応してるなら、リンクの方が悪いと思う。
英傑能力は戦闘より移動で役立った。一から高いとこいくの面倒だからね。……ンな用途で使うな? いいじゃん俺とお前の仲だし。
・ウルボザ
ゲルド族の英傑。ゲルド族は時オカので「女だけの種族」「数百年ぶりに生まれた男がガノン」というわけの分からない設定だった。
それじゃ交配はどうやってんねんとかずっと疑問に思ってる。あとナボールの「イイこと」が未遂なことも一生根に持つ。
んで今作では、男女間で子を成す普通の種族であるようだが、登場する町を「男子禁制」にしていやがって、リンクは入れない。
任天堂はFEでホモレズ婚をさせたりして「そういうのに理解がある」態度を見せる会社なのに、こんな露骨な差別描写はOKなんだな。
俺はこれ、単純明快にムカついたわ。建物一つとかならともかく町全体て。女装で入れるってのが余計屈辱的で不愉快だった。
せめて神獣解放後は素で出入り可にすべきだろうが。誰のお陰で平穏な生活出来てんだと思ってんだテメーら。しね。チッ。はぁ。
現在の長・ルージュは常識人で、リンクが男でも普通に対応していたが、だったらお前が上の人間として下々に指示せぇってな。
雷のカースガノン、めっちゃ強いねんぞ分かってんか。自分らさえよければいいのか。……いいのか。人間らしい種族だな……。
そんな腐れ種族代表のウルボザだが、さっぱりした気性の姉御さんで好感度は高かった。正直ミファーより良かったかも。
つっても彼女はリンクなどまるで眼中になく、「おひいさま」と呼ぶゼルダ姫のことをいつも考えている。従者ではないはずだが。
立ち位置的には今作のインパだな。実際彼女をインパにして、錯乱坊を別の名前にした方が収まりがよかったように思う。
彼女で一番特筆すべきは「英傑技『ウルボザの怒り』が超使える」ことであろう。便利すぎて泣きそうなくらい使えた。
広範囲に大威力の雷撃。直接ダメージはもちろん、痺れボッ立ち状態を誘発。雑魚集団戦でもガーディアン戦でもボス戦でも大活躍。
今作の戦闘面にはちょっと辟易していたので、この技には本当に救われた。ありがとうウルボザさん、ユーは俺の英雄だよ。
4英傑はEDにて、ハイラル王と共に成仏できた模様。100年も待たせて悪かったなぁ。まぁ連帯責任だけどな……。
・リンク
主人公。世界の期待を背負ったハイラルの勇者にして全ての記憶を失った男。何処にでも行って何でも食って死んでも死なない男。
従来のゼルダでは常に名前入力が可能(多分)で、「リンク」は便宜上の主役名に過ぎなかったが、今回は正真正銘のリンクである。
更にお約束の緑服・尖がり垂れ帽子も排除し、精悍なイケメン剣士となった。当然と言うか、ゼル当方針がガンガン適用されている。
……それでいて、俺が切望してた「喋ってくれ」はガン無視され、今回も掛け声以外は一切会話に参加しないコミュ障勇者。
こんだけ表現がリアルになったのに無口のままじゃいい加減無理があるっつってんだろうが。無論今作でも違和感ありあり。はぁ。
「無味無臭主人公」の方針で作られているから、性格とかはよう分からん。ゼルダ日録によれば、色々考えてはいるみたいだが。
料理と食事、行動力から、見た目に反して「豪胆」であることは間違いなかろう。ある意味剣技よりそっちが勇者の能力かもな。
俺は彼にも「望み」があって、それを叶えるような描写がほしかった。もちろん世界を救うのとは別でね。あってもいいでしょ。
ED後は、どうなったんかね。料理研究家にでもなって、斬新なレシピをいっぱい考えて幸せになってほしい。はぁ。
・ガノン
悪。だが悪役として格上げされたことで「意思」のようなものは見られなくなった。そういう意味ではあんまし怖くない。
散々述べたが、リンク個人で倒せるのような存在じゃない。なのに最終決戦では「倒されるために」体を小さくし、白けちまった。
ラストがほぼイベント戦になってることも含め、最終戦の描写は失敗した気がしてならない。100年の悪夢がどうしてこうなった。
ハイラル城全域を支配してるんだから、そのまま城全体がボスだったらよかったのに。どう纏めるのか、って? 知らんがな。
・ゼルダ
裏主人公。このシリーズは、タイトルがおかしい。正しくは「リンクの伝説」もしくは「ハイラルの伝説」であろう、と。
単純な話、まだゲーム製作が緩くて少人数で短期間だった初代当時、うっかり間違えたんだと思う。他に原因があるだろうか?
で、製作者は2作目にして修正を図った。……が、それもあまりしっくり来ず、「ええい!」と開き直ったのであろう。全部想像。
そして定着した「ゼルダの伝説」は、毎度毎度俺から突っ込まれることになる。姫が何してん、最後の美味しいとこ取りか、と。
……けど! 今作は、違う。もちろん主人公はリンクだし、ゼルダの出番が多いわけじゃないが、非常にしっかりと仕事をしている。
彼女がいたからガノンの一時停止とリンクの延命が可能だったのだ。その期間100年。あまりにも立派な功績である。
そして本来の役目「封印」もキッチリこなした。実戦のリンクに対して裏方のゼルダ、双方が助け合った結果の完全勝利である。
いや、良かった。今作はシリーズで初めて「タイトル負けしていない」と言える。ずっとプレッシャー感じてただろうからな……。
そんな今作のゼルダ姫は、しかし100年前は割と拗ねっ子でダメっ子だったようだ。コンプレックスの塊だったように見える。
一子相伝のガノン封印術を授けてくれるはずの母が、修行開始直前に死去。母親と師匠を同時に失う悲劇に襲われてしまった。
その後は一人で修行を頑張るが、成果は芳しくない。好きでやってた遺跡研究は順調だったが、それは父親に咎められたり。
自分と違い「完璧な勇者」に見えるリンクが護衛の任に就くと、彼への嫉妬も強くなった。……分かる、分かるぞぉ姫!!
まぁ結局「彼も悩みのある普通の人間」と気付き、そんなことも分からなかった己を恥じるんだけどね。いい成長したな。
そういうったゼルダとリンクのエピソードは、「写し絵」に記録された場所を探し出すことで、ムービーとして閲覧可能だ。
写し絵は要は写真で、それを撮影するカメラは今作の重要お遊びアイテムだ。謎解きに絡んだりすることはないが、出番は多い。
今風にSNSにアップすることも可能。俺も何度か楽しんだ。……けどま、「めっちゃ楽しい!」もんじゃない。有り触れてるし。
自分で図鑑を作っていくというお遊びもあったが、さほどハマれなかった。消耗品の武具を記録してもなんか虚しいしな。
んで写し絵の思い出だが、それ自体から場所を特定するのは至難の業。旅の絵描きに見せてヒントを貰うのが基本となる。
……うーん。ちょっと破綻を感じる。出来れば自力で発見可能な範囲の難度に入れてほしかった。一枚じゃなく連続写真ならなぁ。
写し絵の場所を全て訪れていると、所謂真のEDを見るフラグが立つ。俺は知らんかったから、クリア後にコンプを頑張った。
2つだけ、自分じゃ発見できんかった。絵描きを発見出来なかったと言うべきか。まぁ13番目は自力だったからいいや。
今作のゼルダ姫はかなり良いキャラになっているが、それだけにリンクとのラブコメがないのは残念である。一体何故なのか。
(本筋に限れば)2人の関係は非常に濃密である。それでいて同年代の男女、身分的にも問題なし。寧ろならない方が不自然だろう。
最初はそうでなくても、リンクのことを理解してからは徐々に……てな描写があれば、物語は一層盛り上がったと思うのだが。
今作の作りでそれを嫌うプレーヤーがいるとも思えん。何でここまで「不自然」にするんかなぁ。……おかしいのは俺の方か?
前作スカウォでは、ゼルダが「私はただ、リンクとずっと一緒にいたかっただけなのに……」と口にする。俺は、燃え上がったよ。
ぶっちゃけ世界とかどうでもいいんだ。それは言い過ぎだが、一人の人間が本当に頑張れるのは、顔の見える仲間達のためである。
それが男であり、仲間が惚れた女なら、これ以上の動機はない。それでこそ世界を覆う脅威に挑む勇気が湧くってもんだろう。
ゼルダ姫とは生身では最後まで会えず、声が一方的に届くだけだ。……もし「早く貴方に会いたい、リンク……」とか言われたら?
物凄く強い「本筋を進める動機付け」になったと断言出来る。そうか、今作に足りてないのは、こんな単純なことだったんだな。
青沼氏はこういうの嫌いなのかねぇ。真のED後、二人旅をしている間に、今度こそ……! と想像したい。はぁ。
ガノンに乗っ取られ滅茶苦茶な状態のハイラル城では、ゼルダ姫の日録と研究録を読むことが出来る。もちろん盗み見になるが。
それを記録したのでここに残しておこう。ちなみにハイラル王のそれもあったが、そっちは面倒だからパスした。姫だけでいい。
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ゼルダの日録
英傑達との会合の後遺物調査に向かうも 今日の発掘では大きな成果を得られなかった
厄災が復活を迎える迄に 遺物の全てを理解し迎撃の準備を整えねばならない
占い師の予言が現実になるのならあまり時間は残されていない筈だ……
考えを廻らせていると不安ばかり襲ってくる 今夜はもう休もう
追記:明日御父様の指名で彼が私付の騎士に着任する……
神獣ヴァ・ルーダニア調整の為ゴロンシティへ ……背後にずっと彼の視線を感じ疲労を覚えた
初めて会った時から感じてはいたけれど 彼は本当に無口で何を考えているか分からない
お蔭で余計な想像をしてしまう……退魔の剣に選ばれた彼は私の事をどう思っているのだろう
ハイラル王家の娘に生まれながら封印の力を使えない私を……彼は蔑んでいないだろうか?
今日彼に酷い事を言ってしまった
調査の成果が上がらず滅入っていた時に何度も同行を断った彼が現れ思わず叫んでしまった
でも私が何故怒っているか分からない様子だった 申し訳無いけれどそういう処は苛立ちを覚える
今日は日録をどう書いていいのか判らない 自分の気持ちが上手く文章にならない
彼が私を助けてくれた イーガ団の刃から私を護ってくれた
私は散々彼を邪険にしてきたのに 自分勝手な苛立ちを彼にぶつけてきたのに
明日今までの事を謝ろうと思う そして彼と……リンクと少し話をしてみよう
リンクと少しずつ話が出来る様になってきた 実は彼は健啖家で何でも美味しく食べるそうだ
思い切ってなぜ普段は無口なのか尋ねるとリンクは言い難そうにしていたが答えてくれた
何かと他人に注目される彼は常に模範足れと意識し やがて感情を表に出さなくなったという
私は彼を才能に恵まれ苦悩とは縁が無い人だと思い込んでいたがそんな事は無かったのだ
どんな人にも他人からは見えない悩みがある……私は自分に精一杯でそんな事も分からなかった
もっとリンクと話をしてもっと想いを聞きたい そして私の悩みを彼に打ち明けられたらと思う
御父様にもう遺物研究に関わるなと厳命された 封印の力を得る為の修行に専念しろと
悔しくて情けなくて言葉が出なかった 幼い頃からずっと……私はやってきたのに
修行を始める前年 御母様が急逝した……私は母と師を同時に失ってしまった
御母様は笑顔で言っていた……大丈夫ゼルダ貴女なら直ぐに出来る様になる……と
でも私は出来なかった……何度やっても何時まで経っても……封印の力を宿している筈なのに
明日はリンクと力の泉へ修行に赴く予定だ でもまた徒労に終わるのだろう……きっと……
昨晩夢を見た……闇に覆われた場所で光に包まれた一人の女性が私を見つめていた
彼女は人ではない……私はそう直感した 精霊か女神かよく判らないがとても美しかった
彼女の唇は動いていたが声は届いて来なかった 聖なる力を持っていれば聞く事が出来たのか
それともあれは私の悩みが生み出した只の夢か ……答えは直否応無しに出る筈だ……
今日私は17歳になった 知恵の泉での修行が許される日を迎えたのだ
リンクが迎えに来たらラネール山へ出立する 他の英傑達は麓まで同道してくれるそうだ
あれ以来御父様とは顔を合わせていないが……まだ気まずい……ここへ戻った時 会いに行こう
…… ……
実はあの夢を見てから感じている事がある 無才の姫の言葉など誰も信じないだろうが
私は今 途方も無く 強い胸騒ぎを覚えている
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「初めて会った時から感じてはいたけれど 彼は本当に無口で何を考えているか分からない」が最高ですね。本音、晒していこう。
続いて研究録。
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ゼルダの研究録
シーカー族のインパ引退 私は今日から本格的に遺物の研究に関わる
インパからプルアとロベリーを紹介された 共にインパ同様シーカー族との事
明日は彼等と発掘調査に赴く予定 勇導石を操作する為の遺物発見が急務だ
遺跡より勇導石操作用と思われる石状の遺物が出土した
両手で持つサイズのそれは長方形の物体で 全面に古代シーカー族の紋様が確認出来る
素材は不明だがおそらく各地に点在する祠と同じ物質で造られていると推察している
インパの進言により私が預かることとなった これが研究の進展に繋がれば良いのだが
発見された石版状の遺物をシーカーストーンと呼称する事になった
出土した記録の中にはこの遺物の名を示す資料は発見されず プルアの命名案が採択された
シーカー族の造った石状の遺物だからシーカーストーン……少し安直な気もする……
シーカーストーンの機能を一部回復出来た この石版は写し絵を作成出来る事が判明
通常の写し絵の様に人間の描き手を必要とせず対象物をありのままの姿で写せるのだ
今更ながら古代シーカー族の技術の高さに驚かされる……
シーカーストーンは勇導石を操作する為の機能も有していると推測される……研究を急ごう
英傑による神獣の操作訓練を行った
意外と言うと失礼だがミファーがソツ無く熟し ダルケルが最初少しだけ苦戦していた
ウルボザやリーバルも神獣との相性は良い様だ 厄災に対する光明が見えてきた
ロベリーが発掘したガーディアンを次々に可動状態まで持って行ってくれている
だがガーディアンは全て発見された訳では無い 記録によれば更に多くの数や種類があるという
そしてそれらはハイラル城の地下に眠る5本の巨大な柱に格納されているらしいが……
城の地下をいくら捜索しても柱は発見出来ない 恐らく相当深い位置に埋まっているのだろう
その柱は厄災ガノンの出現を感知して出現する仕組みになっているのだろうか?
ハイラルの各地で無数に発見されている遺物……あの中に入る為の研究が行き詰まっている
記録によればあれは厄災を打ち倒す勇者の為に作られた施設なのだが 肝心の起動方法が不明だ
シーカーストーンが起動の鍵なのでは? というプルアの推測に私も賛成だが……反応は全く無い
厄災に対抗する手立ては全て万全を期しておきたい……諦める訳にはいかないのだ
以前発見された回生の祠についてプルアと話をした
やはりあの祠が治癒能力を備えた医療施設である事は間違いない様だ
また治療を行いながら超長期にわたる睡眠を継続させられる機能も備わっているらしい
一万年前の厄災戦ではあの遺物での治療が必要な程の重傷者が出たのだろうか……?
それに私達があれを完全な状態で稼働するところまで調整出来ていない事にも不安は残る
もし厄災ガノンが復活しても回生の祠を使う様な闘いにならない事を祈るばかりだ……
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「意外と言うと失礼だがミファーがソツ無く熟し」に、彼女のことをどう思っていたかが表れていますね。裸の心、晒していこう。
そういや古代シーカー族のことは、結局殆ど語られなかったな。彼等の残した兵器は、役に立ったと言っていいのかどうか……。
グラフィックはどうか。これは「とても美しい」と言っていいだろう。超絶微細ではないが、ゲームの雰囲気にはバッチリ合ってる。
SWITCH版をやった俺が言うのも変だが、Wii Uで最後の最後に「美しいグラフィックのゲーム」が出たことを喜ばしく思う。
景色はどこも見惚れる眺めだし、日差しや水辺の美麗さも十分だ。まぁ「OW的にはよくある」美しさだが、これでいい。
今回初めてHD機のゼルダということで、製作者達もようやく満足いく絵作りが出来たのではなかろうか。無論まだ上はあるが。
人物関係は、リンクがイケメンだったんでオッケー。ゼルダ姫は眉をもうちょい細くしてほしかった。まぁでも概ねオッケー。
音楽は、ハッキリ言って存在感皆無。ぶっちゃけ一曲も印象に残っていない。そもそも流れていたのか? というレベルだ。
ジャンルがOAになったことで、今までのような場面場面のBGMはうるさくなる。そのため、フィールドは殆ど無音だ。多分。
ここは「挑戦」してほしかった。「OAにあったフィールド曲」というものに。なんだったらオンオフ可能にしてくれればいいし。
このジャンルは、作曲家が非常に割を食うと思う。どうしてもゲームの邪魔をしないよう、オマケ的な扱いになってしまう。
しゃーないんかねぇ……。
ふぅ。ふぅ~~~~~~~ぅ…………。
いや、長かった。分量以上にめっちゃ時間がかかった。余裕でゲーム一本クリアー出来るくらいに。一体何やってんだ俺は。
こんな規模のデカいゲームに「思ったことを全て書く」なんてやるのは、無理があるんだろう。正直後悔。こんなの感想じゃない。
あ、書き忘れがあった! 雨降った時にしがみ付きが滑るようになるのは最悪のイライラ要素だったと思います。あんなん要らん。
ともあれ、やった。やりきった満足感……とか、だから感想ってそういうもんちゃうやろ! はぁ。ダメだった。ゲーム関係なしに。
基本的に楽しんだのは間違いないが、従来作との差異の不満を語れば、どうしても長くなってしまう。うう~む。
青沼氏がゼル当方針を貫いてこの傑作を生み出したことに倣い、俺も感想の当たり前を見直す時期に来ているのかもしれん。
ンな俺の事情はどうでもいいっての。面白かったです。ゼルダ姫可愛かったです。……本来はこれで十分なんだよなぁ……。
110時間プレーしたが、実は祠やサブチャレが多く残っている。本来はここから「埋め」に走るんだが、今回何故かやる気になれない。
自分でもよく分からん。今作は良くも悪くもガチで作られているから、そういう雑なことをやると虚しさを覚えそう……なのかな。
クリア後の裏ボス等の存在もないしな。せめて4カースとはクリア後にも戦えるようにしてほしかった。そういう特別な祠出現とか。
本編でそんな感じだから、配信が始まったDLCは買ってないし、買う気にもならん。その前に本編を全部埋めろってな。
うーん。結局のところ、俺は本心から今作を歓迎してないってことなのかのう。こんだけ長く付き合ったゲームなのに。はぁ。
ちなみに本編のボリュームが凄まじいから、DLCにボッタ的不満はない。「やりたい人向け」だし、あれでいいと思う。
……で、昨日。序盤のハイラル王の話をもう一回聞こうと最初から始めたら、セーブデータを上書きしてしまい、世界は滅びました。
今作のセーブシステムは、2周目をやれるようには作られていません。実践してみれば理解できるでしょう。罠としか言い様がない。
2周目をやりたいなら、ログインユーザーを新規に作る必要がある。……何で、って? 俺が訊きたいわ。何やねんこの糞仕様。
てわけで、俺の110時間は泡となって消えました。もうやる気も生きる気も失せた。お先真っ暗。世界を救った結果がこれさね……。
今後ゼルダの伝説はどうなっていくんだろう。今作の大改革は大成功だったと思うが、それでも取りこぼしもまたあるはずだ。
俺自身、ずっとゼルダファンだと思っていたが、これほどの変化を見せられると、今後もそう在り続けられるとは断言出来ん。
「面白かったならそれでいいんじゃね?」てのは正論だが、ゼルダはシリーズなのだ。それも30年ものの。そう簡単な話じゃない。
ぶっちゃけ、「面白い」だけではダメなのだ。今の時代、面白いものなんて他にも幾らでもある。今作が唯一無二ではない。
じゃあ今作の何が唯一無二なのかと言えば、もちろん「ゼルダの伝説シリーズ最新作」であるということだ。……けど、大変革。
分かっている。もし今作が従来を踏襲した作りだったら、「面白いけど、さすがにマンネリが激しいと」俺は言ったに違いない。
震えが来るほど身勝手だが、無責任な客たぁそういうものだ。そして実際、シリーズ作の継続と改革の按配に正解なんてないのだ。
今作は大改革の道を選び、大成功を収め、傑作が出来上がった。俺はそれを存分に楽しみ……同時に「ゼルダとしては」と思った。
はっは。何なんかねこれ。「変化できる者こそが強い」という自然界の絶対法則と、それに全く沿えない弱い自分を思う。
はぁ。まぁ今作が大好評で売上も絶好調なんだから、もちろん続編の製作は確定している。いつになるかは誰にも分からんが。
30年を越えてまだまだ続く比類なき任天堂の看板シリーズ「ゼルダの伝説」の更なる発展を祈って終わり。そこに偽りはない。多分。
……なんか、FEと被るとこがあるね。シリーズをV字回復させた路線と、それに違和感を覚える自分。では、今後の流れは……?
ガノンを完全に消滅させ、ハイラルに平和が戻ったところで今作は終わる。だがもちろん、あの世界の日常はこれからも続く。
壊滅した王国を復興させなきゃならんし、王家の再興も必要だ。そのためにはお世継ぎが、王婿が必要なんですぞ姫様!!
まぁそんなわけで、「物語」はめでたしめでたしで終わっても、現実はそうはいかない。ずっと続く。物語の世界であっても。
もちろん我らがこの世界でも同じだ。俺が死ぬまで続くし、死んでも続く。変化なきものを容赦なく蹴り落としていきながら。
変わらないゲームをぶつくさ文句つけながら延々やってるのが俺にはお似合いなのかもね。実際その方が幸せなのかもしれんよ。
次なるゼルダを、俺はプレーできるのか。この世界にガノンはいないけど、「怖い概念」がいつもそこらを漂っている。
はぁ。
web拍手
以前モンハンの記事でコメントさせて頂きました
今回のゼルダ、買うか迷っていたのでこのブログを拝見させて頂きましたが、オープンワールドなのは知っていましたが、ここまで違うんですね(笑)
雑魚はスカイウォードソードでもそこそこ強かった気がしましたが今作はそれ以上っぽいですね
今作はゼルダの新作をやりたいという気分では買わない方が良いのかな?と思いました
話は変わりますが、今度PS4ででるモンハンワールドもオープンワールドっぽいですよね
これからゲームはオープンワールドが多くなってしまうんですかね?
オープンワールドではないゲームをオープンワールドにすることで失われてしまう事があるという事が今作以外でも起こると少し嫌な気分になってしまいますね
>オープンワールドなのは知っていましたが、ここまで違うんですね(笑)
全く違っていましたね。キャラや効果音といった記号も違っていたら、マジでゼルダと認識できなかったかもしれません。
またそういった変化を作り手が「今までのダメだった部分を改良した」と思っているようなので、そこも正直鼻に付きました。
レールの上を進む楽しさはそんなにダメなのか……?
>今作はゼルダの新作をやりたいという気分では買わない方が良いのかな?と思いました
まぁしかし、ゲームとしてはめっちゃ凄くて面白いのは断言します。ゼルダとしてどうこうは瑣末な問題ですよ。どっちやねんw
オープンワールドは「3Dゲームを作っていれば自然に辿り着く境地」のようなので、どの製作者もやりたかったことなんでしょうね。
でも何でもかんでもOW化することには俺もどうかと思います。そのうちこの流れも一段落するでしょうけどね。
リト族は風に乗って羽ばたくことで飛行するのでどこでも自由に飛べる訳では無いんです
そこでリーバルは「それなら自分で風を生み出そう」と考えてあの技を開発しました
ちなみにリンクの前で使った時はまだ未完成で成功率が低い技でしたがリンクに自分の力を見せつけたくて思いきって使ったのです
ああ、元来その用途でしたか。戦闘に主眼を置くと使い難いですが、移動時には活躍してくれましたね。
>ちなみにリンクの前で使った時はまだ未完成で成功率が低い技でしたがリンクに自分の力を見せつけたくて思いきって使ったのです
そんな設定が。彼のツンデレ風の捻くれは面白かったんで、もうちょっと過去エピソード見てみたかったですね。
DLCではその辺があるのかな。