河野太郎外務相(春名中撮影)

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 河野太郎外相は23日の記者会見で、韓国による福島など8県産水産物の輸入禁止措置をめぐる世界貿易機関(WTO)上級委員会の判断に関し「朝日新聞だったかが、やや正確性を欠く記事があって、日本産食品の安全性に疑念を抱かせかねないものがあった」と述べ、朝日に抗議した。

 政府は、日本産食品が科学的に安全で、韓国の安全基準を十分クリアするとの紛争処理小委員会(パネル)の認定が上級委員会の報告書で維持されていると説明している。「最終審」の上級委員会に先立つパネルは第1審にあたる。

 朝日は23日付朝刊1面に「政府説明、WTO判断と乖離(かいり)」の見出し記事を掲載し、「日本政府が第一審の判断を根拠に説明している『日本産食品の科学的安全性は認められた』との記載が第一審の判決文にあたる報告書にないことがわかった」などと報じた。

 河野氏はパネルの報告書について「わが国が適切な基準値の設定、モニタリングと適切な出荷制限管理により安全性を確保し、食品中の放射性セシウムの濃度が日本と韓国の基準値を下回ることを認めている」と反論した。

 さらに「上級委員会の報告書には、上訴されていないパネルによる事実関係の評価について意見を述べないことが明確にうたわれている」とも強調した。

 河野氏は「きちんとした報道をしてもらい、日本産食品の安全性に誤った疑念が想起されないよう厳にお願いしたい」と注文を付けた。

 これに対し、朝日記者は質問の中で「科学的に日本の食品の安全が認められた」との表現に関する認識をただしたが、河野氏は「パネルの報告書の文言を読んでもらえれば、日本産食品は科学的に安全であると、科学的な知識のある方は当然に理解できる」と譲らなかった。