行事
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4月11日(木)から4月13日(土)にかけて、中学1年生のオリエンテーション合宿を実施しました。入学早々行われるこの合宿には、2つの目的があります。1つは共同生活を通して仲間や教員との親睦を深め、三田国際生としての意識と姿勢を育むこと、もう1つは将来を見据えながら自分自身について考えるということです。ホテルに到着して早速行われた校長講話でこの目的が共有されると、いよいよ様々なプログラムが始まりました。
合宿初日、昼食を取ってからまず行われたのがコーチングです。コーチングは、対話をすることで話し手の可能性を引き出していく技術を指します。 今回は「自分の目標」をテーマに、生徒たちが話し手と聞き手に分かれて順に行なっていきました。
コーチングで大切なことの一つは、相手を否定しないということです。これは、三田国際生が持つべき姿勢でもあります。本校では「自己の成長は帰属集団とともにある」という考えのもと、生徒と教員が「共生」という“Soul”を共有することが求められます。さっそく、三田国際生としての第一歩を踏み出すミッションが課されました。
一方、話し手の生徒は目標を話すことで、自分自身と向き合うことになります。自分について考えることは合宿の目的でもありますが、それはこの合宿がキャリアプログラムの一環として位置付けられていることによります。生徒たちは6年間の学校生活を、この合宿で自分と向き合うことから始めるのです。
話し手は言葉で表現することで考えを整理したり、質問に答えることで新たな発見をしたりしていました。一方で、聞き手は話しやすい雰囲気を作り、可能性をできるだけ多く引き出さなければなりません。真剣なまなざしで相づちを打ったり、一つひとつの言葉の使い方に気をつけながら問いかけたりと、相手を尊重しようと努める生徒たちの姿が見られました。
コーチングを終えた初日の夜、生徒たちは個人目標と実現のためのロードマップを、一枚の紙にまとめる作業に取りかかりました。コーチングで仲間に書いてもらったアドバイスシートも参考にしながら、一人で考えを深めていく時間です。時に教員と対話をしながら、より具体的な目標・計画へと練りあげていきました。
翌日の午前中は、トレーディングゲームを行いました。このゲームは班を「国」、クラスを「世界」に見立て、資源と技術を活かして製品を売買し、国ごとの収益の多さを競うゲームです。最初に配られる資源や使える技術は班によって異なること、また製品の価格は変動することから、必要に応じて他班と交渉したり、より価値が高い製品を生産・売買しなければなりません。
終了後、各国(班)の収益を合わせた世界(クラス)ごとの収益を見ると、大きな差があることが分かりました。全体収益が多かった豊かな世界では国ごとの貧富の差が少なかったのに対し、貧しい世界では富が一部の国に偏っていました。
「自己の成長は帰属集団とともにある」とすれば、豊かな世界を実現するために、各国に「共生」する姿勢があったかどうか。一人ひとりに、国民(=班の一員)だけではなく世界市民(=クラスの一員)としての意識があったかどうか。そして、目的達成のために自らのリーダーシップを発揮できたかどうか。結果を左右した要因は、一人ひとりの意識と行動にあったようです。
方針を練る生徒、交渉する生徒、限られた資源で製品の作り方を考える生徒、短時間で製品をたくさん作る生徒…。リーダーシップは誰もが持ちうる能力ですが、発揮できる場面は様々です。振り返りの時間では、一人で考えたり仲間や教員と話し合ったりしながら、自分はどのように世界に貢献できたのかと考える生徒たちの姿がありました。
「自分の考えを他者に伝えることが、学校全体の学びへの貢献となる」という考えのもと、本校はこの「貢献」という学びの姿勢を大切にしています。この合宿で生徒全員が行う「個人目標の発表」は、この姿勢の涵養へと通じているのです。
2日目の夜、仕上げた個人目標をクラス内で一人ずつ発表し、最終日には代表者が学年全員の前でプレゼンテーションを行いました。ある生徒は農業技術者になるという目標を達成するために「中学/高校/大学/大学卒業後に何をするべきか」という長期的な展望を描きながら、中学校生活での具体的な行動計画も語りました。緊張しつつも堂々と話す仲間の姿は、普段は目にすることのないものだったことでしょう。真剣に耳を傾ける生徒たちの姿が印象的でした。
今回は個人目標だけでなく、クラス目標を決定し発表する機会もありました。2日目の夕方、目標を決めるための話し合いが各クラスで始まりました。議論では様々な意見が出されますが、最終的には一つの目標としてまとめなければなりません。あるクラスでは、出された意見を「生活面」「学習面」「クラスの特徴」などと分類して、共通する要素を持つ言葉を統合しながら、案を絞っていきました。
異なる意見を尊重する姿勢が発言しやすい空気をつくり、また新しい自由な発想が生まれる。このように循環する議論の様子からは、生徒たちには三田国際学園で学ぶ準備がすでに整っていることがうかがえました。こうして決まったクラス目標を、最終日に学年全員の前で発表しました。
今年の学年目標は「Show Your Passion‼~共に伸びよう~」です。「Passion(熱意)」は心の中にあるものですが、それを外に発していくことによって、学年全体で成長していこうという思いが込められています。
この合宿では、全員が「思いを伝える」ことを試みました。これは、これから始まる学校生活でも大切にしてほしいことです。思いを伝えることで、自分が変わり、相手が変わり、世界が変わる。一人ひとりの意識と行動は、新たな世界を切りひらく可能性を秘めています。いよいよ始まる学びの日々を、実り豊かなものにしていってください。
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