レスリングのアジア選手権(23日開幕・中国)に出場する女子日本代表が22日、羽田空港から出発した。五輪4連覇を果たした2016年リオデジャネイロ五輪以来の国際大会となる57キロ級の伊調馨(34)=ALSOK=は、10個もの「宿題」のクリアをテーマに掲げた。
「わくわくした感情もあるし、不安もある」。出国ゲートを前に、伊調は心中をこう表現した。ブランクを経ての国際舞台復帰戦。百戦錬磨のレスラーにも、やや緊張感が漂った。
今回、指導を受ける日体大の田南部力コーチ(44)は同行しない。代わりに「宿題」を課されていた。本番までの減量やコンディションの合わせ方、試合の進め方-。「10個もあるんです。覚えられない」と伊調は笑った。
6月には東京五輪の代表選考に関わる全日本選抜選手権が控えている。同じ階級のライバル・川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)には昨年12月の全日本選手権決勝で勝っているとはいえ、代表争いはこれからが佳境だ。
「外国人との試合は久々。試したいこともあるし、試合で何を感じるか。確認することに意味がある」。伊調が求めるのは優勝という目先の結果だけではない。ハードルを一つ一つ越えていくことが、5度目の五輪へとつながっていく。 (木村尚公)