「薬物依存俳優」にアメリカ人が超寛容な理由

アベンジャーズ俳優も「依存症」に苦しんだ

違法なドラッグで逮捕されても、アメリカではそれほど騒がれることはない。日本とアメリカでは、なぜこれほど温度差があるのだろか?(写真:Han Myung-Gu/WireImage/GettyImages)

ピエール瀧のコカイン所持逮捕事件が、波紋を呼び続けている。CMの放映は中止され、大河ドラマも別の役者で再撮影されるとのこと。それらをめぐって損害賠償はどうなるのかという話題も聞く。

言うまでもなく、悲しいかなハリウッドは、違法ドラッグがらみのトラブルに関して経験豊かなベテランだ。有名スターがこのような事件で逮捕された場合、アメリカではどれくらいの騒ぎになるのか?

「キャリアが終わる」ことはない

答えを先に言うなら、ほとんど騒がれない。過剰摂取(OD)で命を落とした、あるいは落としそうになったとなれば、もちろん大ニュースだ。だが、逮捕されただけならば、誰も大して驚かないというのが、実際のところなのである。

薬物使用でキャリアが落ち目になったスターも、もちろんいる。しかし、それは逮捕のせいで映画やテレビから締め出されたというより、依存症の影響で職場に迷惑をかけた結果である。遅刻や無断欠勤をする、セリフを覚えてこない、などだ。

そんな人を雇うと振り回されて大変だし、何しろ保険会社が嫌う。ハリウッドでは映画の製作プロジェクトごとに保険に入るのだが、キャストにこういう人物がいると、保険代が桁外れに高くなるのだ。

「アベンジャーズ」「アイアンマン」シリーズでおなじみのロバート・ダウニー・Jr.は、過去に薬物がらみで服役し、出所してきた後、ウディ・アレンから出演をオファーされるも、出演にあたっての高額な保険代が理由で最終的に断られた。

彼の場合は、親しい友人メル・ギブソンが、「保険代は自分の懐から出す」と、自らプロデューサーも兼任する映画『The Singing Detective(日本未公開)』に出させてくれたおかげで、復活の機会を与えられている。リンジー・ローハンも、保険が高くなりすぎて「事実上雇えない人」のハンコを押された1人だ。

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  • NO NAMEbc9aaf8cf545
    アメリカでは生涯薬物経験者が50%近い
    逆に、日本は3%だ
    アメリカでは薬物経験者がマジョリティであり、日本は
    超マイノリティ
    この違いは大きい
    up138
    down33
    2019/4/22 11:51
  • NO NAMEecf17371e607
    逆に日本は酔っ払いに超絶甘いぞ。
    やっと近年になって酔っ払い運転の事故に厳罰が処される事になっただけで、単に酔っ払って駅員やタクシーの運ちゃん殴ったくらいじゃ逮捕されても不起訴だし。酔っ払ってりゃ痴漢しても許される「酒に酔っていて覚えていない」と言えば「じゃーしょうがないか!」となるのが我が日本。AAAの奴も示談して不起訴でしょうね。
    そんだけ日本じゃ酔っ払ってバカやる人間が後を絶たず、社会もそこに寛容であると。これがアメリカだと薬物ってだけでしょ。大した違いじゃない
    up130
    down31
    2019/4/22 12:40
  • NO NAMEf1b8972a744c
    昭和時代の「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」のコピーのせいだと思う。

    つまり、日本では、一度覚せい剤をやったら、もう人間扱いしない、と。
    up106
    down11
    2019/4/22 12:52
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