米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士
1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。
衝撃公約の実現可能性を探ってみると、ひょっとすればの道が見えてきた
問題は、この「年5%の最低賃金上昇を11年間継続する」がどのような経済的効果を生むかです。
まず、良く言われる「最低賃金を上げると国際競争に負ける。」はそれほど心配が要らないように思えます。国際比較すると(グラフ1参照)、日本の最低賃金は先進国中でかなり低い部類に属し(アメリカと同程度ではありますが、アメリカは超格差社会で例外でしょう)、いきなり70%増はともかく、日本が先進国型経済であり続けるなら、たった今50%増としてもドイツ・フランス並みの水準になるに過ぎないからです。
次にこの最低賃金の上昇がどのくらい日本全体の賃金上昇、ひいてはGDPの上昇に資するかを考えてみます。ここは推定によるしかないのですが、デービッド・アトキンソン氏が「最低賃金の引き上げが「世界の常識」な理由」という記事で作成されているグラフ2を見ても、厚労省が作成したグラフ3、グラフ4を見ても、アメリカを例外として「最低賃金と労働生産性は相関がある」は結構信ぴょう性があるように思えます。
また、カイツ指数(最低賃金/平均賃金という指数)は日本を含め0.4~0.5で余り変わらないので、この際、最低賃金アップ⇒労働生産性アップ⇒平均賃金上昇アップが同じ割合で実現するとします。
すると、最低賃金70%の上昇により労働生産性も70%上昇して、現在のノルウェー並みになり(逆に言うと、日本は現在ノルウェーの60%の労働生産性しかありません)、今後11年ということなら、毎年0.35%の人口減を加味しても、GDPは毎年4.65%上昇し、11年で65%上昇することになります。
この「れいわ成長シナリオ」は、内閣府が財政の長期見通しで用いている「政府成長シナリオ(名目3%、実質2%)」を凌駕(りょうが)しています。
政府成長シナリオでは名目でGDPが年3~3.6%で成長し、GDP1%の上昇ごとにおよそ1兆円づつ税収が増え、8年後の2026年にGDPが700兆円に達した時点で基礎的財政収支が均衡するとしているのですが、れいわ成長シナリオをここで使われている数字に当てはめると、早くも5年後の2023年にGDPが700兆円に達し、基礎的財政収支の均衡を実現できることになります。
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