【ニューデリー=黒沼勇史】インド洋の島国スリランカ各地で21日朝、3つの教会と3つのホテルなど計8カ所で爆発があり、現地報道によると、少なくとも160人が死亡し、460人以上が負傷した。この日はキリストの復活を祝う復活祭(イースター)に当たり、同国で少数派のキリスト教徒や観光で訪れた外国人を狙ったテロとの見方も浮上している。
爆発が起きたのは現地時間午前8時半(日本時間同日正午)ごろ。「シャングリラホテル」など最大都市コロンボにある3つの五つ星ホテルと、東部バティカロアや西部ネゴンボなどにある3つの教会でほぼ同時刻に爆発があった。コロンボ近郊の動物園などでも爆破が確認された。
ウィクラマシンハ首相は21日、自身のツイッターで「人々に対する卑劣な襲撃を強く非難する」とする声明を出し、爆発がテロによるものだとの認識を示した。同時に「未確認の報道や観測は控えてほしい」とも書き込み、市民に平静を保つよう呼びかけた。
現地メディアによると、犠牲者のうち、外国人は少なくとも35人という。日本人が犠牲になったという情報は出ていない。
現地時間午後1時(日本時間午後4時半)時点で犯行声明は出ていない。スリランカでは1970年代に結成されたタミル人過激派組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」と、仏教徒中心の多数派シンハラ人の間で抗争が続き、90年代に大統領が爆弾テロの犠牲になるなど治安が悪化した。その後、2009年にLTTEが敗北宣言し、ラジャパクサ前大統領が内戦終結を宣言していた。
今回の爆発について、現地では「周到に準備されたテロではないか」(現地ジャーナリスト)との見方が出始めている。ただ、スリランカではキリスト教徒を狙った大規模なテロは珍しく、現地警察が爆発の背後関係を調べ始めている。
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