パッフインボイラーの製作


二つ作るのも三つ作るのも

 オープンランチ「ヴィクトリア&アルバートⅡ」に載せたボイラーは、英国チェダーモデルズ社の材料キットで作ったパッフィンバーチカルボイラーなのですが、その図を利用してもう1台作ることにしました。
 今、アーノットボイラーとアルコール焚きボイラーとを平行して製作中ですが、どうせ作るのなら2台作るも3台作るも手間は同じようなものではないかというわけです。
 なお図では横向きに描かれていますが、このボイラーは縦型です。


おもなパーツ

 ボイラー胴の材料は直径3.5インチ肉厚2ミリ長さ140ミリの銅パイプで、アーノットボイラー用のものと一緒に福原金属に注文したものです。鏡板はアルコール焚きボイラー用に買った1.5ミリ厚の銅板で、16本の炎管は直径10ミリ肉厚1ミリの銅パイプです。ホームセンターなどで売られている直径10ミリの銅パイプは肉厚0.5ミリしかなく少々心もとないので、肉厚のものを秋葉原で探してきました。


銀ロウ付けは手こずった

 このボイラーは縦に置いて銀ロウ付けをするのですが、その際気をつけるべきことは16本の炎管が下に抜け落ちないようにすることです。
 炎管の一端を軽くフレアリングして少し広げるという抜け落ち防止策もあるのですが、少々面倒なので簡易策をとりました。
 それは、下の炎管板の裏に押し込んだ厚手の断熱材(カオウール)の円盤で炎管群を支えるという方法です。
 これは最初のパッフィンボイラーやイマーラ用ボイラー作りのときはうまくいったのですが、今回は素材節約ということで、その時使った断熱材円盤を再利用したのが間違いのもとでした。
 もともと脆くて軟らかい断熱材なので、3回目ともなるとすっかり腰が弱っていたために炎管をしっかり支えられず、ロウ付け中に何本もずり落ちて危うく炎管板から外れかかるという無様な仕上がりになってしまいました。
 右に置いてあるボイラー覆いは銀ロウ付けにはせず、あとでボイラー胴へネジ止めします。


セラミックバーナー

 このブタンガスバーナーは直径5センチで、オープンランチ「アンナ」に載せたボイラー用のものと同じ仕組みです。
 ガスマントルは、ホームセンターなどのロウ付け用具売り場にある耐火作業台セラミックボードというものを利用しましたが、右から2番目の写真のように丸いガスマントル全体で均等に燃えてくれません。
 しかし、写真には写っていませんが実際には青白い大きな炎を上げて燃えていますから、まあこれでも実用上差し支えはないし、ほかに作るべきものがたくさん溜まっているので、これでよしとしますが、残った問題はこれに点火するためのスパークプラグをどうするかです。
 なお、このバーナーのガスノズルの直径は0.2ミリですが、既製品にはなさそうなので自分であけて作りました。
 
 追記
 その後、ガスマントルをチェダーモデルのものに取り替えてみましたら、さすが専用品、右端の画像のようにたいへん良い燃えかたになりました。
 このガスマントルの入手については「オープンスチームランチ「アンナ」の製作」の頁の「チェダーモデルのガスバーナー用セラミック」の項をご覧ください。

注 0.2ミリの穴あけについては「お答えと参考資料の画像」のページをご覧ください。


バーナーの点火装置

 装置と言うほど大げさなものではありませんが、このバーナーはボイラーの中に組み込んでしまうのでマッチやライターで火をつけることは出来ませんから、何らかの点火の仕掛けが必要なのです。
 オープンランチ「ヴィクトリア&アルバートⅡ」に載せたボイラーも同じ構造なのですが、それには専用の点火装置を買って取り付けました。しかしそれはその後販売されなくなりましたので、代替品を作らなければなりません。
 仕組みは簡単で、圧電素子によるスパークで点火するだけのことなのですが、実際に作るとなると簡単ではありません。
 最大の問題点は高温に耐える絶縁体をどうするかです。これはもう陶磁器しかないだろうとあれこれ思い巡らせ探し回り、ガスコンロの魚焼きグリルの奥に潜んでいる点火プラグに目をつけました。
 そこでガスコンロメーカーの営業所に電話して送ってもらったのがご覧の白い棒です。
 圧電素子は秋葉原のジャンク屋で買いましたが新品です。
 なお、このバーナーやボイラー台が銅製なのは、ちょうどよい真鍮板がなかったので余っていた銅板を使っただけで、銅でなければならないというわけではありません。


出来上がりました

 これまでのボイラーの塗装には自動車用品店で買ったホルツ耐熱ペイントというものを使っていましたが、使い切ったので今度はホームセンターでアメリカ製のZYNOLYTEというブランドのものを買ってみました。ホルツのものは艶ありでベトつかなくなるまで乾くのにかなりの日数を要しましたが、今度のものは艶消しで早く乾燥します。
 塗装の次は例によってマホガニーでのラギングなのですが、これまた手持ちがなくなりましたので東京銀座の伊東屋の帆船模型売り場へ買いに出かけました。ところがマホガニー材は全く置かなくなっているのです。だからといって、ほかの帆船模型店を探すのも億劫なので、和材にマホガニー色のニスを塗って代用しようとしましたが、当然ながら色調や風合いは本物に遠く及びません。しかしWEBで探したところ、マイクロクラフトという通販店を見つけ、入手することが出来ました。

 なお伊東屋からの帰り道、久しぶりに天賞堂を覗いてみたところ、以前にはあった船舶模型コーナーがきれいさっぱりなくなっているではありませんか!聞いてみたら需要があるのはせいぜい戦艦のウォーターラインモデルぐらいなものなので撤退したのだそうです。日本の船舶模型界は衰退の一途をたどっているのでしょうかねぇ・・・
 そう言う私は、模型船のキットを天賞堂で買ったことは一度もなく、もっぱらイギリスから取り寄せているのですから、あまり偉そうなことは言えませんが・・・  

追記
 その後2カ月ほどたってから、また伊東屋の帆船模型売り場へ行ってみましたら、従前どおりマホガニー材が置かれていました。お客さんが何人もいましたが皆さん中高年でした。
 この伊東屋の帆船模型売り場は2008年6月末をもって閉店することになったそうです。



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