池田氏が10年に表舞台から姿を消して久しい。脳梗塞説がささやかれるが、90歳となった池田氏の死期はそう遠くない将来に訪れる。ある会員は「名誉会長の存在があったからこそ学会はここまで大きくなれた。今後は一気に求心力が落ちる」とみる。

 原田稔会長ら現在の執行部はもちろん、自分たちの置かれた状況は百も承知だろう。そのため、ポスト池田時代を見据えた手を次々に打っているわけだ。

 毎年のように会則(教義)の変更を重ね、日蓮正宗の総本山「大石寺」(静岡県富士宮市)の本尊を信仰の対象にするのをやめた。17年には会憲を制定し、組織から教義に至る全権を会長に集中させる。

 この間、池田家に近いとされた創価大学派閥ら幹部の“粛清”も進め、政治的には官邸とのパイプを強化。今や学会-官邸の決定に、公明党が従う図式が完全に成立した。集団的自衛権行使容認の閣議決定、安保関連法案や「共謀罪」法案への賛成。多少の会員の離反を招いても、政権与党の座に固執する姿がそこにはある。