株式会社マーケティングジャーナル

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諸岡 代表取締役社長 諸岡 正美氏

常に自分に刺激を与える
 

 諸岡は昨年60周年を迎え、今、100周年に向けての新たな歩みを始めている。ゴムクローラとHSTシステムを強みに、建設機械、農林業機械、環境機械を展開し、国内に北米、欧州を加えて急速なグローバル化を推進中だ。諸岡社長に、60周年後の課題、これからの取り組みなどについて聞いた。
 
Q)昨年は60周年という記念の年となりました。どのような年だったのでしょうか。
諸岡)一つのけじめになったと思います。60年間続けてこられたのは、地域の皆様を始め、協力会社様、販売店様、お客様のおかげです。改めて皆様に感謝を申し上げることができた良い機会でした。これまで協力会社の方々とは、諸岡協力会という組織があり、正月や総会で毎年お会いできるのですが、販売会社の方々とは定期的な集まりがなく、大手取引先様だけではなく、古くからの取引先様、海外の取引様にも来て頂け、非常に良かったと思っています。販売会社の方々との定期的な交流の必要性を痛感しました。
Q)節目の年でしたが業績はどのような状態ですか。
諸岡)まず2018年3月期から申しますと、グループ全体の連結売上が約140億です。グループの内訳は国内の㈱諸岡と、北米で製造・販売を行うMorooka America,LLC(モロオカアメリカ)、ヨーロッパでの販売を行うMorooka Europe GmbH(モロオカヨーロッパ)。内訳は日本の諸岡が113億円。それ以外が海外です。アメリカを買収したのは2016年7月、ヨーロッパを買収したのが2017年4月ですので、昨年はグローバル化が本格的にスタートした年でした。
Q)それはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
諸岡)諸岡全体の部門が、アメリカ、ヨーロッパと関わりを持つことになり、より社員の意識がグローバルな考え方になりました。社員がアメリカの生産工場に行って日本の物作りを伝授したり、物の調達を日本とアメリカで共有化したりしていますが、それに関わった人間の意識が変わり、国内外のグループ全体を考えながら、自分の仕事を見直し、世界で最適生産を目指すように変わってきました。それがちょうど60周年目の変化です。
Q)今期の業績は如何ですか。
諸岡)好調に推移しています。国内は自然災害の復旧が続き10数%の伸長。アメリカはシェールガス関連の工事などが続き成長しています。ヨーロッパは精力的に代理店を構築し、まだまだ伸ばせると思っています。2019年3月期の予測は、グループ全体で175億円。諸岡単体では130億円です。
Q)60周年が過ぎ、新たな一歩を踏み出されたわけですが、どのような方針でしょうか。
諸岡)一つのテーマとして、“共創”を掲げています。英語で言うとCo-Creation。製品を売って頂く販売店様と、サプライヤーである協力会社様と、物を形作る諸岡という会社があって、この3者が一方通行の関係ではなく互いにうまく知恵を出し合って今までにないようなものを作っていきたいと思っています。また私たちと実際に機械を使うお客様との間でも、実際に図面をかいている者が機械が動く現場に行って、自分の目で見てお客様のご意見を聞くということを始めています。お客様と一緒に作るというイメージです。これからそういう方向で物作りを進め、100周年を目指します。Co-CreationV2058がキャッチフレーズです。
Q)今年は働き方改革や人手不足など“人の問題”が注目されています。
諸岡)中期経営計画の大きなテーマとして、“次なる成長のための土台をしっかり築く”というのがあります。その中の一つに“会社の規定を作る”というものがあり、それに取り組んできました。組織が段々大きくなると、様々なルールが無いと統制がとれなくなります。コンプライアンス上の問題や会社の経営に大きく影響する問題が発生しないとも限りません。昨年1年間かけて作ってきた様々な規定を今年の4月から運用します。ルールがあるとそれに縛られるということもありますが、まずは全員でそれを遵守しながら、どうやったら効率の良い、間違いのない仕事ができるかを考え、働き方改革に繋げていきたいと思っています。皆が自己流の考え方に従ってそれぞれのペースで仕事をしていたのでは、残業をしないようにと、号令をかけても効果はありません。ルールに従って、仕事の効率化・均等な分散が全体的に進んで初めて、働き方改革は進むのだと思います。
Q)今、産業の仕組みが大きく変わろうとしていますが、それに対してはどのように対応されていきますか。
諸岡)「アースクリエイター」を目指すと言っています。トヨタ自動車とソフトバンクが昨年10月に提携すると発表しましたが、これはそれに触発された考えです。巨大製造業と通信会社の提携から出てきたことは、トヨタは車を作って売る会社ではなく、移動の手段を提供するモビリティーカンパニーになるということでした。それから思うことは、我々諸岡の製品を作って売るという仕事も変わるかもしれないということです。例えば物を作っても売るのではなく、借りて頂く、またはシェアリングをしてもらう。あるいは、自ら使って作業そのものを行うこともあり得ます。そういう意味で、物作りだけではなく、地球上で行われる大地における仕事を行っていく会社になるということを「アースクリエイター」という言葉でイメージしています。
Q)農業に対してはどのような事業展開をお考えでしょうか。
諸岡)ガットのウルグアイ・ラウンド交渉で農産物の自由化が始まろうとする頃、外国に敗けない足腰の強い日本農業を作るため、規模拡大に対応する国産の農業機械が必要だと先代社長の父親が、平成元年に苫小牧に工場を作り、250馬力のクローラ式トラクタを作りました。当時、ホイール式の大型トラクタは耕盤を固め、土地が痩せるという弊害があり、それを防ぐためには接地圧の低い方が良いという事でゴムクローラの発想に至りました。それは水田でも有効で秋田県の大潟村で注目され、水田で使えるように100馬力にダウンサイズして導入されました。しかし1000台以上の販売となったものの、バブルの崩壊や利益率の悪化もあり撤退しました。ただ、農業は国の重要な産業であり、また未だに私たちのトラクタは外国も含めて使って下さる方がいて、良いとも仰って頂いている。TPP11というこのタイミングの時に、今から30年前の基本に戻って、非常にシンプルだけど耐久性もあり、しっかり仕事ができる農業用の機械に再チャレンジするタイミングではないかなと思っています。
Q)どのような機械をお考えですか。
諸岡)トラクタもその一つですが、それに限っているわけではありません。今現在でも私たちのゴムクローラフォークリフトは、収穫作業の現場などで使って頂いています。またヨーロッパではハーベスタの横を私たちの10t運搬車が併走しています。今既にある商品群を農業用にアレンジすることで活用できるのではないかと思っています。また、私たちの運搬車の後ろに、ディスクハローを取り付けて動かすということもできるのでは無いでしょうか。
Q)農業生産そのものへの参画もご検討中だとか。
諸岡)私たちが農業に取り組むということになれば、ありとあらゆるものを使って効率化を図っていきたいと思っています。どんなことができるのか非常に楽しみです。
Q)変化を楽しんで積極的に対応されているように見えます。
諸岡)社長たるもの、常に自分自身に刺激を与えなければならないと思っています。そうやって私自身が変わることを、一人一人の社員に意識して欲しい。そして今度はそれを見た人が自分に刺激を与えていけばその人も変わり、上司が変われば部下も変わっていく。それが連鎖的なものになり、一人一人が自らを変え会社を良くしていこうというムードが出てくれば一番良い。そういう雰囲気になってくれば、自ずと100年続く会社へと繋がっていくのでは無いでしょうか。結局、会社は人です。
Q)100年に続く挑戦に期待しています。

キャニコム 常務執行役員 西村 峰利氏

ホリゾンタルで経営をデザイン
 

 今年5月にホリゾンタル執行役員体制を導入したキャニコム。その中で常務執行役員・フックライン本部長、プロジェクトライン、財務ICTライン副本部長を務める西村峰利氏に、ものづくりメーカーの指揮官としての想いを話してもらった。
 
 キャニコムに入社することになったのは、もともと機械が好きで、地元のメーカーで仕事をしたいと考えていたこともあった。
 今年5月からホリゾンタル体制ということで、横軸を通した組織になった。フックライン(日本・ヨーロッパ・アメリカ)の営業・開発を担当し、財務ICTライン、プロジェクトラインも兼務する。1部門だけでなく他部門の事も理解し事業展開しようというもの。そして営業と開発がペアで現場に行き、その場で問題の解決を図っている。セクト主義ではなく、広く会社の状況を把握し、経営をデザインしていくための体制。
 また、個人の品質・レベルの向上にも力を入れている。個人がスキルを上げ成長することで商品の品質も上がる。そして現在は、個人の力を集約して、より会社として活力を高めようと、社長が「IからWeへ」の方針を出している。
 個人にフォーカスしているのは、社員が幸せでなければ、顧客が満足する商品がつくれないから。そして新しい商品を考える際にも営業・開発が一緒にアイデアを出し合い進める。
 営業戦略として力を入れているのは「プロムナードコンサート」つまり実演。一軒でも一人のお客でも実演している。そこで我々もヒントを得ている。これが基本。ここで、「この前ヒヤッとした」等の声を受け、ではどうしようとなる。営業が、帰って開発の意見を聞いてきます、ではなく開発も一緒にいることで、解決への具体案が出せる。これが「ウォンツ商品」につながっていく。こうした事は海外でも実行しており、特にアジアでは成果を上げている。
 プロジェクトで取り組んでいるもので、造林作業の軽労化に向けての多目的造林機械の開発、改良がある。北海道の造林協会から相談があり、下刈は、伐根があり、人力作業で重労働、これをなんとかできないかというものだった。
 そこで何度も北海道に行き、現場での試験を繰り返し、伐根や残材によるスリップや脱輪、乗り上げによる走行困難などを解決し、ハンドガイド式草刈り機を造林地での使用に耐える機械に開発・改良している。これは平成30年度林野庁の事業となり、現在も進行中。
 日本の7割は山林であり、防災や山を守る、人手の軽減を図るといったことからも重要なプロジェクトだと考えている。
 これまでの中で、若い時に東京勤務を命じられ、新規事業に取り組んだことが思い出深い。キャニコムの名も知らない相手と何かできないかと尋ねて歩いた。アポが取れただけでもうれしかった。こうした中で生まれたのがジョイントベンチャーで開発した救出ロボ。災害現場などで使用するもの。人命を救うことに貢献できるのは誇りともなることだった。
 この様な経験ができる社内環境づくりとバックアップに努め、新しいことにチャレンジすることで「個」を成長させ、その集約で社会に貢献していきたい。
 これからも、ICT、IT、AI、電動化、無人化といった課題もあるが、各方面と協力し他社とのコラボも含め、一層の高度な事業展開に取り組んでいきたい。

一般社団法人日本農業機械工業会 新会長 木股 昌俊氏

智恵を結集して課題を乗り越える
 

 去る5月29日、東京都港区の八芳園において、一般社団法人日本農業機械工業会の定時総会、理事会が開かれ、新会長として㈱クボタ代表取締役社長の木股昌俊氏が新会長に選任された。日本農業にとって厳しい状況が続き、克服すべき課題も多々あるが、“壁がある。だから、行く。”を心情に、関係者の智恵を結集して、様々な方法で壁を越える方法を探る。軽妙な話し口は人を惹きつけ、その明るさと強いリーダシップに、業界の期待が集まる。就任の抱負について聞いた。

 農機は重労働からの解放、労働生産性の向上、収量・品質の確保・向上に大きく貢献してきている。また、高齢化により農業の担い手が急速に減少する中、世界的には人口増加による食料危機が懸念されており、国内外の諸問題に対して貢献が期待されている。日農工の役割もますます、重要となってきている。関係者の協力を得て、日本農業の競争力向上と農機業界の発展のため努力していきたい。
 課題は、「適切な農業生産の維持、発展」であり、具体的には、一つ目が担い手の確保と労働生産性の向上、二つ目が生産コストの低減と適切な設備投資の実施、三つ目は輸出を含めた農業生産物の販路の確保。こういった点に、農機業界が貢献していけることは、たくさんある。これからも農業者の頼れるパートナーであり続けることがきると確信している。
 今後、日農工が力を入れていく取り組みは、一つは農作業の安全対策。最も大事な課題だと思っており、より安全な機械開発を目指した勉強会などを開催すると共に、農機展示会など農業者の方々と接する場において、機械の安全な使い方を周知する。実のある効果が期待できる取り組みを模索していきたい。二つ目はロボットを始めスマート農業等の推進。日農工では「ロボット農機関係ガイドライン等」を制定。引き続き官民に協力して推進していく。三つ目は生産資材費低減への貢献。農機のシンプル化、低コストな栽培技術、情報技術など、新しい技術を駆使して、営農コストの低減に業界として取り組む。また部品の標準化、部品供給の円滑化など、コスト低減に繋がる活動にも取り組んでいく。四つ目は海外展開支援。官民共同によるグローバル・フードバリューチェーンへ参画し、これを活用して日本の農機が普及する環境作りを進めてはどうかと思っている。また欧米等の業界団体とのネットワーク作りに努め、グローバルな課題解決に向けた日本の地位向上を図っていきたい。合わせて会員企業の海外展開も支援する。
 業界が直面する課題は個々の企業努力では限界があり、業界全体として取り組むことが重要で、各社の協力が必要。また業界は、担い手営農者の良きパートナーとして、日本農業を支えていくことが求められている。今後もさらに関係各位の活動に対するご理解、ご協力を期待したい。
 趣味は読書と旅行。様々な本を平行して5、6冊読んでいる。旅行は海外出張を兼ねている。朝は4時に起床。運動はウォーキングとジョギング。
 心がけているのは“壁がある。だから、行く。”壁を越える方法は一つでは無い。皆さんの智恵を結集して、様々な方法で課題を乗り越えていきたいと思う。厳しい状況にあるが、私達と繋がりのある様々な方々を大事にして、現場主義で公益に貢献できるように取り組み、明るくやっていきたい。

諸岡 取締役・国内営業本部長 今井 博史氏

オールラウンドプレーヤーを育てる
 

 6月1日付で、㈱諸岡の取締役に選任され、国内営業本部長の任に当たるのが今井博史氏。同社ではここ数年の間に急激な成長を見せ、2010年に40億だった売上が2014年には106億円と規模が倍。同氏は、入社して15年目を迎え、そんな大きな成長が始まる助走期間、そしてダイナミックに変化する跳躍期間を共にしてきた。しかし、規模が拡大する速度に、社内体制の整備が追いつかないという現状もあり、更なる躍進を図るための基盤作りが大きなテーマとなっている。どのように取り組んでいくのか。就任の抱負について聞いた。
 
 諸岡という会社との出会いがあって約15年前に入社した。こちらに来た時から、新しいものに挑戦していこうという気持ちをもって仕事に取り組み、合わせて上司、同僚、部下との良い出会いもあって、今の私に繋がっている。部品・サービス部を担当していたときは「同じ方向を向いてやっていきましょう」と言った。心を一つにすることはなかなか難しいが、これならば実践しやすい。その結果、数字が上がっていった。しかし人数、売上、扱う点数が増える中で、内部体制を整備していかなければならないと感じている。そのため、ルールや内部規定をしっかり定めていくことが必要。ともすればルールを息苦しく感じる向きもあるが、それは逆。ルールは物事をスムーズに流していくもの。現状を自分の目で把握し、部下や他部署とのコミュニケーションを図り、部下を信頼し、良い所を見つけ出して、より良い方向へ進んでいければと思っている。
 今年還暦を迎えたが、社会人になってから営業畑一本でやってきた。その中で感じるのは人間対人間の付き合いが大切だということ。それが巡り巡って自分に返ってくる。その大切な人と人との関係をより良くしていくことに関心がある。同じ人間として共感を持ちながら、どうすれば「よし、やろう!」という気持ちになってもらえるのかを考え、その導火線を探し、着火の火種となりたい。そうやってあちらこちらを燃え上がらせていき、その集合体を企業の力としたい。そのような環境作りに努める。
 当社は今年60周年を迎えた。これを機に脱皮して、名実ともなった新しい諸岡を目指し、100年続く企業に向かって、その基礎作りに貢献したい。今、建設、農林、環境の各分野で機械を展開している。それぞれで枝葉を伸ばし、バランスの取れた事業展開をしていかなければならないと思っている。そのためには営業マンもオールラウンドプレーヤーになってもらいたいし、育てていきたい。オールラウンドに展開できることがお客様の満足度を上げていく事にもなる。単にものを売るだけでは無く、人と人とのパイプ役にもなり、課題解決の相談役にもなる。「諸岡に聞けばうまくいく」と言われるような体制作りを進めていきたい。
 ストレス解消法は仕事終わりの一杯やカラオケ。健康法は熟睡。布団に入ったら仕事のことは一切考えない。起床は5時頃で7時には会社に来ている。週2回ほどは運動のために会社の前の歩道を掃除する。綺麗にすると気分も良く、気持ち良く1日のスタートが切れる。
 これから出張も精力的に行い、現場の声を聞いていきたい。また営業マンにも、現場を大切にして欲しい。取締役になり物事を判断する上での逃げ道がなくなった。責任の重さを感じている。後に続くものにとって、目標となれるように頑張っていきたい。

株式会社デリカ 代表取締役社長 金子 孝彦氏

従業員の幸せが一番重要
 

 平成26年に、将来経営を担う人材として、松本商工会議所から転職してきたのが、金子孝彦氏。経営企画部長、総務部長を経て、平成28年12月に株式会社デリカの代表取締役社長に就任した。自身は中小企業診断士でもあり、農業が大きな変革を迎える中、豊富な経営の知識を駆使しながら、変化に対応した事業展開を図る。現在の取り組みを聞いた。

Q)社長に就任された経緯をお聞かせください。
金子)大学を卒業し松本商工会議所で、中小企業の支援を続けていましたが、製造業を担当し、こちらの会社とご縁ができ、転職することになりました。52歳の時。“究極の支援は自分で会社を経営することではないのか”との前社長の言葉が、すとんと腑に落ち、決意しました。
Q)社長になってどのようなことに取り組まれましたか。
金子)1年目は流れを把握するのに必死でしたが、その中でも、変化の時代に対応する革新を起こさなければならないと、社内の若手のキーマンを集めプロジェクトチームを作り初めての中期経営計画の策定に取り組みました。5年後70周年に向けたもので、毎週集まり、社内の分析、強み弱み、目標、現状とのギャップを埋める方法など、細かく議論していきました。メンバーは14名で30~40代の課長、係長クラス、タイの現地法人社長も参加しています。
Q)どのような内容になりましたか。
金子)“Challenge Innovation 70”をキーワードに、5年後第70期の経営目標を、連結売上高を現在の1.5倍、売上高総利益率の向上、ダントツシェアの獲得、健康経営・人材育成制度の構築と運用定着、としました。国内インプルや海外事業を伸ばし、新技術を獲得することも考えています。トップダウンの計画ではなく、将来デリカを担う人たちで考えた計画ですので、ワクワクして参画し、自分たちの励みになり、前向きに取り組んでいただいています。
Q)経営していく上で大切にされているのはどのような事でしょうか。
金子)従業員の幸せを一番重視しています。会社が利益を上げ社員に分配し、皆がハッピーになることが大切で、そのために何をするのかを考える。それが根底にあります。社員であることに誇りを持ってもらいたい。
Q)今後の製品展開についてお聞かせください。
金子)大型のものについては出揃いましたので、それらをより使いやすくしていきます。その他、有機農業に着目した新しいものとしては、産学官の共同で、自走式の蒸気処理防除機や表面土壌の飛散を防止するもの、匂いを防いで堆肥散布をするものなどを研究しています。
Q)これからは人材の育成、確保が大きなテーマになってくると思われます。
金子)人材採用については厳しさを実感しています。中途採用を含めて人数を確保しています。また製造現場のIT化、ロボット化を進め、生産効率のアップ、女性活用に繋げていきたい。今、会社説明などは私自らが行っています。人材育成に関しましては、技術が高度化していく中で、積極的に勉強会・研修会などに参加してもらい、知識の習得を図っています。
Q)最後にこれからの取り組みをお聞かせください。
金子)第2工場用の用地があり、これを含めた、工場全体の最適化を、若手中心に議論しています。もう一つはIT化推進プロジェクトで、情報の有効活用に取り組んでいます。全体としては、中期経営計画を愚直に実践していくことに尽きます。70周年の目標達成に向け、全社をあげて取り組んでいきます。
Q)躍進を期待しています。


キャニコム 代表取締役会長 包行 均氏

事業継続のカギは経営陣
 

 オーナー企業の経営継続は大きな問題。これをスムーズに移行したキャニコム。創業者の故包行良人氏から現会長の均氏、そして現社長の良光氏へと引き継がれたキャニコムイズム。社長の一番大事な仕事は次の社長を決めることと言われる。包行均会長にその理念、方法を聞いた。

 当社の次の社長は良光と決まっていた。社長には、マーケティング力、デザイン・ネーミング・ブランド・設計・開発力、広報力、経営力、グローバル力、経(継)続力が必要。平成26年に社長に就任した32才の良光は、少し若かったかもしれない。ただ多くの人の意見を聞き、その能力があると判断した。能力がなければ入社もさせていなかっただろう。スタートがアメリカの営業所からだったのも良かった。世界の動きを理解した上で経営に当たれた。
 リーダーシップとは、統率力、結束力、決断力がすぐれていることと言われる。もちろん社長個人が、それらを備えていることは必要だが、それだけでは完全ではない。組織としてのリーダーシップも必要。
 そこで従来、タテ組織だった執行役員をホリゾンタル(水平)体制として、全部門を的確に把握し、リーダーシップを発揮できるようにした。具体的には複数の部門を兼務し、横のつながりを持ちつつ経営をサポートする。10年間は続けてもらおうと思っている。もちろん決定は会長、社長によって行うが、常務2人と執行役員5人の役割は重大だ。
 私が考える社長の選び方は、まず安定しバランスが良いこと。チェアマン、株主、取引関係、社員が安心してまかせられる人ということ。この意味で現社長は、よくやっていると思う。当初2年ぐらいは、アドバイスもしたが、最近は、ほとんどまかせている。もちろん相談があれば、意見も言い決定している。
 BBT(ビジネス・ブレークスルー大学大学院)のMBA(経営学修士号)を取得したのも大きな自信になっているようだ。また野村総研の研修会に参加したり、何より世界のすぐれた代理店にもまれたのもいい経験となっているだろう。
 新社長には、自分の考えで事業を展開してほしいと言っている。私がそうだったように先代の良い点は引き継ぎ、新しい分野にも進出してもらいたい。新しいことに挑戦するには、知恵もエネルギーも必要だが、今まで通りでは発展がない。そのためにも経営陣の力が必要だ。
 新工場建設の計画も進めている。これまで受注に応えられなかったことも解消するし、大型機械の生産も可能となる。海外での要望の多かった5・6tの運搬車も提供できるようになる。また、企業間提携なども考えなければならないだろう。
 では、会長として私は何をするべきか。社長としては仕事ができたが、会長としての仕事ができていない人が多い。もちろん社長のサポートが一番大事な仕事だが、ほかにも役割がある。
 私は現在、取締役会の議長、役員ゴルフコンペ、役員との夕食会、社員教育などを行っているが、基本は“遊ばざる者、会長にならず”においている。
 健康で、あとの人生を楽しく遊ぶことが私の仕事だと思っている。しかし、ただ遊ぶのではなく、そのつき合い、交流から経営へのヒント、事業拡大のチャンスが生まれる。
 経営陣を中心に事業展開を図り、グローバル市場に、お客様の要望に応える製品を提供し、第一ステップとして100億円企業の目標に向かって、会社が一丸となり取り組んでいきたい。そのために私の力が必要なら、全力で向かっていきたい。

株式会社 クボタ 執行役員・農機国内営業本部長 飯塚 智浩氏

農業の発展に貢献したい
 

 今年1月に執行役員・農機国内営業本部長に就任した飯塚智浩氏。農機国内総括部長、農機国内営業本部副本部長を歴任し、いよいよ国内営業の指揮を執る。マザー市場である国内農機市場にどのように挑むのか。その抱負と方針について話してもらった。

 茨城県の生まれで、祖父の代から小面積で農業を営んでいた。ほぼ自給用の米、野菜をつくっており、私も子どもの頃から田植え、稲刈りを手伝っていた。身近に農があり、大学を卒業し農機のトップ企業であるクボタで仕事がしたいと入社した。
 変化の激しい市場環境に、これまで地に足をつけ築き上げてきた力を信じ、農業、農村に近い存在として農に寄り添い、その発展に貢献したい。
 目標はズバ抜けシェアの確保。その道のりには課題も多く容易ではないが、我々の潜在能力は大きく営業本部が、それをどう引き出すかが問われていると思う。
 そして、そのために、既存事業の拡大、新規事業の拡大、経営体質の強化を3本柱として取り組む。
 既存事業拡大としては、ターゲットを明確にし、それぞれのユーザーに最適農機を提案していく。またグッドパートナーシリーズにより「つづける農業」を応援する。さらに田植機50周年等のスペシャル機についても力を入れる。
 新規事業拡大については、クボタファームの活動が中心になる。現在13ヵ所だが、これを増やしていきたい。目標は全国展開。ここで、しっかりビジネスモデルを構築し、農業の現場で広げていきたい。そして、現在、国内で米輸出のトップだが、これを拡大していく。
 経営体質の強化では、グループ内のシステム刷新に取り組んでいる。営業マンは4割を移動に費やし、事務に3割とられ、接客は3割となっている。これをITの充実で事務の時間を短縮させたい。端末によって、いつでも、どこでも事務処理ができれば、接客の時間を増やせると考えている。
 国内営業本部なのだが、台湾と韓国は担当する。いずれもその国の習慣やシステムがあり、それに合わせた営業が求められる。台湾では9割が請負などのプロ農家で大型が対象となる。田植機、コンバインはシェア50%を保持しているが、トラクタは海外メーカーが強い。ここをM7で突破していきたい。
 韓国は、日本と似た体系だが、市場規模としては小さい。地場メーカーが強いが、我々の持つノウハウを活用し拡販につなげたい。
 最近は、大雪の影響などもあり、営業マンの訪問活動がやや落ちている。雪どけ後には、耕地のぬかるみが出るので、パワクロ提案につなげられればと考えている。
 趣味はプロレス観戦。録画したものを休みなどに見るのを楽しみにしている。
 好きな言葉は「遠山の目付」。剣道用語だが、相手の向こうを見ながら相手の動きを感じ対応するといった意。
 家族は妻と学生の2人の娘。

略歴:昭和37年3月26日生まれ。千葉大学法経学部法律学科卒業。昭和59年4月、久保田鉄工株式会社(現 株式会社クボタ)入社。平成24年1月、機械営業本部副本部長 兼 機械東日本事務所長 兼 株式会社クボタアグリ東日本出向 兼 クボタ機械サービス株式会社出向 兼 クボタ農業施設株式会社出向。平成24年4月、農機国内総括部長。平成29年1月、農機国内営業本部副本部長 兼 農機国内総括部長。平成30年1月、執行役員、農機国内営業本部長、クボタアグリサービス株式会社社長。

キャニコム 代表取締役会長 包行 均氏

マーケットギャップをなくす
 

 11年連続で「ネーミング大賞」を受賞している“筑水キャニコム”。“独自・独特・独創”を経営の基本に、デザイン・ネーミング・ブランディングを企業発展の基礎にする。世界46ヵ国と取引し100ヵ国にするのが目標という包行均会長にこれからの経営方針を聞いた。

『日経ビジネス』の新年号で今年の予測を「山林や河川の管理が行き届かなくなっている。そこへ豪雨がきたらどうなるか。木やゴミが大水で一気に流され、鉄砲水が起こる」と書いたら本当に7月に豪雨で大変な被害を受けた。山や川の整備を急がねばならない。
 北海道でも、人工林資源が利用期となり、植林、下刈り、地拵えなどに迫られているが、担い手不足で進んでいない。北海道庁、造林協会などから当社に相談があり、昨年から下刈り、地拵えの機械化に向けて試験を行っている。「ブッシュカッタージョージ」などを改良し専用機を開発中だ。来春には実際の作業に使えるようにしたい。人手不足などで困っている所を助けるのが、我々の仕事だと思っている。
 こうした期待に応えるには、マーケティングが重要になる。当社では“営業マン”の名を“ウォンツマン”に変更した。ものづくり企業の営業マンはマーケティングを中心に行動すべきだ。ニーズではなくウォンツを探し出さねばならない。しかし、現実はどうか?目の前のノルマに追われ土日の展示会等の仕事が中心になっている。そのために、メーカー営業として最も重要な独創的な新商品を生み出すタネを収集する活動がおろそかになっている。今回、原点であるモノづくりに徹しようと、営業単体でなく、設計・開発・営業が三位一体となって活動を展開する組織へと新たに組織改編をした。営業マンはマーケティングに特化し、ものづくりに参加してもらう。これが、ものづくりメーカーとしての本来の姿だと考えている。
 ものづくりメーカーとしては、すばらしい商品づくりに全力を投入する。良い商品を提供することが一番の販売店への応援だと考えている。勿論、ユーザーにとっても。そのために営業マン、開発陣が一丸となって、取り組んでいく。2020年には新工場が完成する。ユーザーのウォンツを実現した想像もしなかった驚きの「超顧客満足」商品を提供できると確信している。
 インドネシアでは、営業マンと開発者がペアを組み、一緒に行動している。代理店やユーザーの声に、その場で対応し、図面まで描く。営業マンが代理店の要望を聞き、本社に戻り開発者と会議をするのでは、効率が悪すぎる。現場で解決するスピードが求められているのだ。こうしたことにより代理店もきちんとした対応をするようになってきた。この体制をまずは、ドイツ、フランス、スウェーデン等の海外で進め、いずれ国内でも実行したい。代理店には、リース、レンタルなどの新規分野、新市場の開発を期待している。
 もう一つ。事前予約、前金による取引を実現したい。海外では常識であり、国内でも昔はそうだった。商売の基本ではないだろうか。その基本に戻りたい。 我々は、お客様・販売店に対し、よい商品の提供とともに、部品即納を約束している。お客様と販売店に対してより一層のサービス向上に努めなければならない。
 いずれにしても目標は、“超一流のグローバル中小企業”。100ヵ国のボヤキを商品化し、ものづくりは演歌だを世界で実践していく。



株式会社 スズテック 取締役・営業部長 平出 武氏

情報の収集、共有化で状況に対応していく
 7月1日付で㈱スズテックの営業部長に就任したのが平出武氏。技術として入社し設計・開発に携わり、その後、営業、製造と、幅広い経験を重ね、このほど営業を統括する立場に身を置くことになった。農業にとって厳しい状況が続いているが、現況を乗り越えようとする新しい動きも出てきており、変化に対応する力が期待される。これからの営業方針などを聞いた。
 

Q)就任に当たっての抱負をお聞かせ下さい。
平出)これまで経験した、設計・開発の立場、売る立場、そして作る立場から総合して考えて、新商品の提案開発、作りやすい製品作りを進め、そしてそれらを営業部としての推進販売に繋げていきます。また新商品を投入するためにはこれまでの経験だけではなく、新しい情報を収集して、それを販売にプラスしていきたいですね。
Q)変化に対する迅速な対応が求められていますね。
平出)近年は「高密度播種」が大きく注目され、それに対応するため、弊社メイン製品の播種機を中型〜大型にかけてラインナップしていきます。また生産規模の拡大によって大型播種機にも需要があり、その部分も充実化を図ります。加えて関連商品の販売増にも繋げていきます。またポット土入機関係の施設園芸商品、セルトレイ播種機などの野菜作関連機の販売増を目指します。
Q)地域的な取り組みはありますか。
平出)今九州地区が伸びています。専任担当も置き、この部分での販売アップに取り組んでいます。九州は野菜関係も多く、セルトレイ播種機やニラ調製機、玉ねぎ調製機が出ているので、新規開拓をする上で、取りこぼしが無いようにしていければと思っています。
Q)販売・推進活動についてはどのように進めていきますか。
平出)カタログにQRコードを載せ、スマホなどで実演動画を見て貰えるようにしていきます。またパーツリストや取扱説明書などが見られるように充実化していきたいですね。
Q)営業活動はどのように展開されますか。
平出)農機情勢は日々変わっていきますので、社内の情報交換や情報の共有化を図りながら、社外に出たときには市場の情報収集を積極的に行い、新商品開発のヒントとなるものを探し、商品化に繋げていきます。野菜関連は補助金の関係、あるいは製品の横展開もありますので、販売店や農家に足を運んで情報をこまめに収集していかなければなりません。そのためには当たって砕けろで産地に行って話を聞いて、情報を集め、技術にフィードバックするなど、どんどんやっていきます。
Q)そのためには人材育成も大切ですね。
平出)私は中学、高校、大学、社会人でサッカーをやってきましたが、その中から学んだチームプレイを大切にしていきたいと思っています。互いにカバーし合うということを積み重ねていきたい。そういう人材を育てたいですね。
Q)新体制に期待しています。
平出)私は学生時代から逆境に立つと燃える部分があります。そういった部分を大切にしてやっていきます。

平出武氏略歴
昭和35年生まれ。57歳。東京電機大学工学部機械工学科卒業。昭和59年㈱スズテック入社。
技術部に13年間、営業部に16年間、製造部に4年間在籍、平成28年9月取締役製造部長、29年7月取締役営業部長。
座右の銘:泰山の高きは、一石にあらず(世の中の多くの物事は、一人の力ではなく多くの人の意志と力が結集してはじめて定まる)
家族構成:母、妻、一男、一女
趣味:サッカー(高校サッカー選手権大会で全国出場し、社会人では栃木の1部リーグでプレイ)、スキー、旅行(ドライブ)

 

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株式会社諸岡 代表取締役社長 諸岡正美氏

自分の敵は自分自身

 

 1958年に創立し、来年60周年を迎えるのが株式会社諸岡。ゴムクローラとHSTシステムによる建設機械、農林業機械、環境機械を展開し、国内に留まらないグローバルな広がりを見せている。諸岡社長に、最近の状況、課題、これからの取り組みなどについて聞いた。

Q)来年の2018年には創立60周年という節目を迎えます。その中、御社では5ヵ年の中期計画を進めていらっしゃいますが進展は如何ですか。
諸岡)ちょうど2年が経過し、今年の4月で3年目に入りました。「GO5 MOROOKA 2020」として2020年3月までの計画です。今の世界情勢や日本の状況を見ながら、最初の3年間で成長に向けた基盤整備をしっかり行い、残り2年でそれを基にして成長しようというのが元々の計画です。今年は最初の3年間の最終年。しっかりとした基盤づくりを進めていきます。
Q)具体的にはどのような事をされますか。
諸岡)例えば物づくりに関しては、私たちはメーカーですから、お客さんから注文を頂けば、なるべく早く、物を作って出していくのが使命です。当然、コストはできるだけ抑えて。そのための生産管理、原価管理、購買などの仕組みにはまだまだ弱いところがあり、そういった所を強化していきたい。また部品・サービスといった面では、海外向けの部品・サービスがまだまだですので、そういう部分の体制をしっかりする必要があります。後は、総務や営業部門など会社のルールの整備などです。
Q)事業拡大が先行してしまったという状況でしょうか。
諸岡)仰る通りです。私どもはここ5、6年の間に急激に成長し、売上が100億円を超す会社になりました。それに見合う体制にしていかなければなりません。またそこから先に行くためには、しっかりとした土台がなければなりません。基盤を作るということは、次なる高い山を作るための土台、すそ野を広げるということです。そのためには今言った細かいことが大切で、昨年は執行役員制度も設けました。
Q)成長の基盤としてはグローバルな展開にも力を入れておられますね。
諸岡)その一つとして、昨年の7月にアメリカの製造会社を100%子会社化しました。4年前から技術供与し建設用運搬車の製造委託をしていた会社です。7月以降の売上は、アメリカの景気に連動してあまり良くなかったのですが、年明けにトランプ大統領が就任し、アメリカで物を作る価値が高まる中、天然ガスやシェールガスのパイプライン工事が再開されるなどで、需要が回復し、1月から実質黒字化しました。7月から3月までで14億円ほどです。また今年の4月にはM&Aでドイツに販売会社の諸岡ヨーロッパを設立しました。
Q)今後の事業展開ではこの海外が重要になってきますね。
諸岡)次なる成長に向けて考え方を変えなければいけない時に来ています。国内の諸岡単体だけが成長するという事ではなく、グループ全体の成長を考えていかなければなりません。売上もグループ全体で見ると前期は約115億。年次目標は達成することができました。
Q)国内事業の今後はどのように展開されていきますか。
諸岡)大きく分けると建設、林業系、環境という3本の柱があります。メーカーは常に新しい商品を作り続けるのが使命だと思っていますので、既存の分野でもこれまでとは違う新しい機械を作っていきます。建設分野では不整地運搬車がメインですがそれ以外の、例えば高所作業車やクレーン、IoTを使った今までなかった新しい商品を作るなど考えられます。環境の分野では、今、タブグラインダーという木材を破砕する機械をメインに、小型チッパーやふるい機を発売していますが、それ以外にも石を砕いたり、鉄板を処理するような機械があると思います。このように商品のカテゴリを増やしていくことによって、事業を拡大していきます。それともう一つは新しい分野の機械を開発して事業を拡大する方法です。今3本柱で事業を展開していますが、しっかり立つ4本目として新しい分野を模索中です。農業分野も当然考えられます。今、ゴムクローラ式のフォークリフトを展開しメガソーラーの敷設用機械として利用され、重量野菜の収穫にも活用されています。4本目の柱としては時々の時代背景に合わせた機械開発を行っていきます。また新しい商品の展開と同時に、部品・サービス事業にも注力し、ここ2年ぐらいその効果が現れ、部品の売上は15%の割合で増えています。
Q)創立60周年に対してどのようなご感想をお持ちでしょうか。
諸岡)60周年というのは単純に言うと通過点。ただ今迄のことを振り返る、良いタイミングとも思います。特に私どもはここ5、6年で急激に成長し、7年前から新卒学生の定期採用を始めていますので、そういう人たちに諸岡の過去の歴史などを再確認してもらい、それを土台にして、これからの会社のあり方を考えて貰う何らかのきっかけになる年にしたいと思っています。今は60周年プロジェクトチームを作り、様々なイベントの企画等を行っています。
Q)諸岡社長も来年に60歳を迎えられるとの事。感慨はございますか。
諸岡)30歳の時に社長になり、それから30年。最初の頃は小さな中小企業でしたから何でも自分でやっていましたが、40歳半ばあたりから、個人では限界があると感じ、任せることができるスタッフを育てなければと思い、そのような体制作りを進めました。そして50歳くらいからは、会社の体制を整えることに取り組み、60歳の還暦を迎えます。これからは次の世代をどうするのか。その準備を始めなければなりません。長くやっていると、今やっていることが普通だ、当たり前だということになります。だから最近思うのは、自分の敵は自分自身だということ。もちろん私達にも競争相手はいますが、まずは自分の会社が競争相手であるということです。そう思いながら、それに勝つにはどうすれば良いのか、これよりもっと良くするためにはどうすれば良いのか、そういうふうに思わないと前に進みません。しかし今までこういうふうにやってきたからと、同じ事の繰り返しになりがちです。これは経営者も同じ。長年の経験やこれまでやってきたことが頭の中に染み込んでいますから。なかなか核心的なことができなくなり、ついつい消極的になってしまいます。それではいけません。我が社の社是に“道なき未知を切り拓く”とありますが、そういうことを戒めています。それが創業の精神だと思います。
Q)60周年の先は、どのようにお考えですか。
諸岡)会社が60年間続いてきたのは、お客様を始め、働いている社員、家族、地域の皆様、協力会社様などのおかげ。そういう中で、我々は事業を継続し、さらに共に発展していきたいと思っています。創業者の言葉に“世の中の人に後れをとりぬべし、進まぬ時に進まざりせば”というものがあります。人よりも先にやるということで、要は一歩踏み出す勇気だと思います。もちろんリスクはあります。ただその精神は貫き、今後も大切にしていきたいと思います。
Q)飛躍を期待しています。

記者の視線
ここ数年急速な成長を果たし、売上が100億円を超え、従業員は約160名。話の中から身の丈にあった新しい衣を身に纏う時期に今差し掛かっているのだと感じた。来年は創立60周年。まさに節目の年となりそうだ。また一方で創業者の言葉を大切にしているのも印象的だった。本文で紹介した以外にも“欲深き人の心と降る雪は、積りにつけてその道を忘れる”などがあり、経営の指針になっている。実家は元々農家。老後は農業に取り組むとのこと。農業分野には意欲的だ。



田中産業株式会社 代表取締役社長 田中達也氏

お客様に選ばれ続けるメーカーに
 1954年、初代田中功氏が農・畜産用包装資材の製販を手がける会社として創業した田中産業。3代目社長として田中逸郎氏がこれまで指揮を取ってきたが、本年4月、長男の田中達也氏にバトンタッチ。新社長に経営方針、抱負などを聞いた。

 

Q)就任に至る経緯は?
田中)田中逸郎前社長は2000年6月5日、社長に就任し、この3月まで務めてきたが、2001年に脳梗塞を患い、回復し責務を果たしてきたが、2回目の梗塞などにより体力・気力が低下し、今回の交替となった。
Q)就任に当たって抱負は?
田中)田中産業は、農家の皆様から長年のご愛顧を賜り、収穫資材、作業着など“安心安全”を重視した製品を農業市場に供給してきた。昨今の農業市場、農作業形態の変化には目を見張るものがあり、弊社も時代と共に進化し挑戦し続け、商品開発、営業活動に取り組みたいと考えている。そして、これからもお客様に選ばれ続ける農業資材メーカーとなることを目指して、全力を尽くす。
Q)初代、3代目社長からどんなことを学ばれたか?
田中)祖父、父からは、農家がほしいもの、助かるものを開発するという姿勢を教えてもらった。商品開発に当たっては、農家の立場に立って考えるということ。
Q)産学連携を行っておられるが。
田中)農業の現場はどんどん変化している。農業女子、農業アイドル、若い人達による法人化など新しい動きに対応すべく、神戸芸術工科大学や兵庫県とも連携し、現場の声を取り入れた新しい作業着を開発した。学生をはじめ農業関係以外の人々からの刺激を商品開発につなげたい。
Q)新しい取組は?
田中)営業体制をこれまで以上に広げたい。これまでの歴史の中で変化させてはいけないものと変化しなければいけないものがある。新しい分野への挑戦は必要と考えている。例えば、弊社が得意としている袋物を農業以外で活用してもらうといったこと。
Q)農業経営の規模が拡大傾向にある。
田中)法人化や大規模経営が増えている。当然、機械も大型化やICT化が進んでいる。つまり米関係でも運搬や乾燥のあり方も変わってきている。JAのカントリー、ライスセンターも、その状況に対応しつつある。こうしたことから今回「スタンドバッグ角スター」「スタンドバッグ角プロ」を新発売する。
Q)これまでの仕事で得たものは?
田中)入社して農業の現場を歩き、農業や農家の知識を得て、農産物は生き物だということ、生命や環境をこれまで以上に重要だと考えるようになった。農家と喜びを分かち合える会社でなければとの思いが強くなった。
Q)今後の方針は?
田中)着実な業績向上を目標としている。特に今年度は、スタンドバッグの施設、担い手への拡販、ゴアテックの拡大を重点に展開していく。
Q)座右の銘などあれば。
田中)“義を見てせざるは勇無きなり”。人としてなすべきと知りつつ、それを実行しないのは勇気がないということ。社内でも自由に意見が言える環境をつくりたいと考えている。

田中達也氏略歴
 1984年6月19日生まれ、32歳。LEC東京リーガルマインド大学院大学卒業。2011年2月田中産業入社、2013年4月関東営業所(この時期、神戸芸術工科大学と産学連携に取組)、2016年4月本社総務部を兼務、2016年6月取締役に就任、2016年9月常務取締役に就任、2017年4月代表取締役社長に就任。
 趣味は映画鑑賞、テニス

住友ゴム工業 産業タイヤ部長原田充博 

多様なニーズに応える
 1909年、我が国初のタイヤ工場として創業したのが住友ゴム工業。農機用タイヤの分野でも国産の魅力を発揮し現場のニーズに応えながら製品・サービスを展開している。産業タイヤ部の原田充博部長に、最近の状況、今後の方針などについて話を聞いた。

 

Q)世界情勢が不透明感を増す中、資源価格の値上がりも目立ってきました。また国内農機市場も芳しくありません。その状況下、最近の御社の業績は如何ですか。
原田)昨年の会社全体としての業績は国際会計基準で売上が7567億円(対前年比95%)。その内タイヤ事業が6484億円(同95%)。営業利益は733億円(同82%)。為替の影響があり減収減益となりました。農機用、建機用のタイヤを扱う産業タイヤ部も国内は厳しい状況で、前年割れでした。しかし産業タイヤ事業としては生産拠点のあるタイの事業が大きく伸び、トータルでは前年を上回りました。
Q)現在の生産・販売体制はどのようになっていますか。
原田)国内農機用のタイヤ製造は主に大阪府の泉大津工場で行われ、ファルケンブランドとして、トラクタ、コンバイン、田植機の他、草刈機、運搬車、除雪機など多くの農業機械にタイヤ、クローラが採用されています。またフォークリフトや建機用のホイールローダー、ミニショベル用のものも作っています。それらを新車に組み付けるライン用、交換需要に向けた市販用として販売しています。またタイでは、日系メーカ向けと、タイ・周辺国への市販市場に製品を供給し、大型畑作用のタイヤを日本にも輸出しています。
Q)国内の農機市場を見れば、需要減退が進んでいます。売上を確保するためにどのような取り組みを行っていますか。
原田)まずは市販用のタイヤ販売に力を入れています。全国には10のグループ販売会社があり、その営業活動を我々もサポートするという形で取り組み、昨年は2桁の伸びとなりました。市場には海外勢のものが入ってきていますが、国産メーカが作る純正部品として、高い品質と確実な供給、きめ細かいサービスで対応しました。私たちは1953年に日本で初めて耕うん機用のタイヤを発表して以来、長年農機用タイヤの製造に取り組み、例えばタイヤ交換におけるリム組みしやすいなどの高い作業性、優れた圧着性などといった技術を蓄積しています。そういったことも含めて昨年来、市販市場に対する私たちの取り組みを積極的にPRしてきましたので、農機販売店、ユーザーに対して信頼感を醸成できたのではないかと考えています。住友ゴムがファルケンブランド、ダンロップブランドで農機用タイヤ、クローラを展開していることの認知が広がってきたのではと思っています。
Q)商品展開ではどのような取り組みをされていますか。
原田)昨年より、タイで製造している農機用の大型タイヤをダンロップブランドとして輸入し、北海道などで畑作用に展開しています。それまでは、国内で作った60PS対応ぐらいまでのものを水田用のトラクタに展開していましたので新しいチャレンジです。また今シーズンから来シーズンにかけて、畑作に合ったローラグ仕様なども追加し、お客様の現場の声を聞いて技術にフィードバックしながらシリーズの充実を図っていきたいと思っています。大型タイヤの製造拠点はタイですが、国内メーカとして供給する訳ですから、海外勢に比べて価格競争力のあるものが提供できると思っています。
Q)タイヤメーカとして商品開発にはどのように取り組まれていますか。
原田)製品づくりで考えていることは“人にやさしく、環境にやさしく”ということです。その中で、作業性、燃費の向上などを図っています。例えば泥付低減タイヤは、圃場外への泥の持ち出しを少なくして省力化を実現し、軽量化では低燃費に繋がり、本機に負担をかけないことでメンテの手間も減らすことが出来ます。他にもタイヤが道を叩く音を低減するものや作業者の健康と本機への負担を減らすための振動を抑制するもの、セパレーションしないクローラで耐久性を向上するなど、人に優しく環境に優しいものを開発し、これをお客様に届けるという意識を部で共有しています。
Q)高い商品力は大きな魅力ですね。
原田)この思いを製品に反映させて来たことについて、取引先様からも評価いただいています。昨年は複数の農機メーカー様から表彰いただきました。現場の人の声を集め、それを何とか製品に活かしていこうとしていますので、その努力が認められたのだと思い、大変嬉しく思っています。
Q)今年度はどのような方針を立てられていますか。
原田)市販市場において弊社の存在感を上げていくことと、タイでのビジネスをもっと拡大していきたいと思っています。これが主な方針。それともう一つは、会社の方針でもありますが、“働き方改革”を進めていきます。最小のインプットで最大の利益を上げるために何をしていけば良いのかを常に考えて取り組んでいきます。それは業務の効率化を図るということでもあり、人を育てることも大切になります。そのために、心がけていることは、“気に掛ける、鍛える、期待する”の3つの“き”。部下が成長し個々が強くなることで組織が強くなり、実績を上げることに繋がっていくと考えています。
Q)業績目標についてお聞かせ下さい。
原田)目標を立てることは非常に大切だと考えています。それを先に立てておかないと、何をしたら良いのか分からない迷える子羊になってしまいます。まず夢を定め、そこに向かうために何をすれば良いのか考えることです。私たちの目標としては更なるシェアアップです。それを実現するために、商品の展開、販売ルートの構築、人の育成を行っていきます。
Q)本日は産業タイヤ部の若手、小山洋介氏が同席されていますが、人材育成について、どのような実感を持たれていますか。
小山)私は入社6年目で、最初の2年間は無我夢中でしたが、段々と仕事の進め方が分かり、一昨年去年と商売の実が結んできたのではないかと思っています。色々任せてもらいながら、一方で細かい所まで気に掛けていただき、困ればそれに応じたアドバイスがあります。それらが力になってきたと感じています。
Q)人の成長が業績目標の達成にとって欠かせないものとなっていますね。また“気に掛ける”ということは商売でも大切だと感じました。
原田)お客様の声を聞いて、それにどう応えていくかということに繋がります。手間はかかるかもしれませんが、これも農業と同じだと思っています。農業も一生懸命手を入れればそれに応じて目に見えた成果が現れます。それを基本として、効率化を図りながら何とか収穫を最大にしようと努力します。それと同じ事でお客様の声を聞くという手間暇を掛けながら、その上で最小のインプットで最大のアウトプットが出せるよう、効率化を図り、豊かな収穫を迎えることが出来る幸せな部になりたいと思っています。
Q)今後を期待しています。

記者の視線
 国産タイヤメーカとして長年に亘って事業を展開してきた同社の魅力はなんと言っても高い品質。それを支えているのはこれまで培ってきた技術力だが、今回お訪ねして、部門トップ自らが現場の声を聞こうとする姿勢にもあるのではないかと感じた。それこそが、求められる価値を提供する方法でもある。原田部長は昇進の時一番嬉しかったのは「奥さんが喜んでくれたこと」という。他者の喜びを自分の喜びとする。それはユーザーの満足を実現しようとする商売にも通じるに違いない。

マルマス機械 代表取締役社長 平野泰孝

己を生かし、他を生かす
 昭和25年6月に設立されたマルマス機械。創業者は故平野泰治氏、2代目は現会長の平野治親氏で、平成27年8月に3代目として平野泰孝氏(41歳)が就任。精米機を中心に業界をリードする同社の今後の進む道を語ってもらった。

 

 大学を卒業して、すぐに入社して技術部に所属。管理部長を経て平成19年8月から専務として仕事をしてきたので、社長になっても、それほど仕事の内容が変わった訳ではない。ただ気持ちの面で、これまでの歴史と今後の我が社に対する責任があると強く考えるようになった。
 子どもの時から代理店会議などにも参加させていただいていた。祖父、父の働く姿も間近で見ていたので、自然に自分もマルマスの3代目になるんだとの思いになっていた。
 祖父、父から学んだのは、まず、お客様、代理店への感謝と製品の品質に対する厳しさだった。基本となる国内の市場では、お客様が求める製品の品質にこだわり提供していく。そして海外については、私が中心となり開拓していく。米を食べる国、地域は中国や東南アジアを中心に数多くあり、ビジネスチャンスはあると考えている。そして、地場での事業も裾野を広げていきたい。
 とは言え、TPPや米消費の減少など、変えられない流れもある。その中で、農業も大型化、企業化していく。我々もその需要に応じた製品を提供していかねばならない。精米機は稲作作業の最後の所。米の品質にも大きな影響を与える。消費者の求める米と生産者が提供する米の要となる製品だけに、研究・開発にも力を入れていく。
 しかし、国内市場が縮小する中で、メーカー間の協力も必要になってくる。足らざるを補い合う、得意分野を伸ばし、協力し合うことは必要。我々もいくつかのメーカーと協議を進めており、共同開発や技術の交換といったことで近いうちに方向が決まってくる。
 製造部門が本社工場(富山県中新川郡上市町)と新潟工場(新潟県燕市)に分かれており、コミュニケーションがとりにくくなっているが、努めて新潟工場へも足を運び、社員と直接会話するようにしている。もちろん、営業部門との対話も大切にしている。
 現在のような厳しい時に一番求められるのはスピード。こうした時こそ社員も真剣に考え真価を発揮できる。もちろん、経営者にもスピーディーな行動が求められるが、もう一つ大切なのは、“ブレ”ないこと。
 そして、一日一日を大事にして、実践あるのみを徹底していきたい。人は頭で分かっているのと実際に行動して分かることには違いがある。日々の実践を通じて反省点を洗い出し、次につなげていくことが大切だ。
 平成14年12月1日に現会長と相談して社是を変更した。世の中で一番大切なのは人の心。ここがしっかりしておけば、何があろうと対応できる。
 社是は、1)人には常に愛の心を忘れてはいけない、1)人を裁く心を持ってはいけない、1)人には平等にせよ、1)人の上に自分を置いてはいけない、1)人の足を洗わせて頂く心を持て。これらを心に研究開発、製造、販売を行い、代理店、ユーザーにも接していく。
 これを基本に、自分の目標は「己を生かし、他を生かす」としている。今の世の中、自分さえ良ければという人が多い。自分が明るくないと周りも暗くなる。自分を大切にし、他人も大切にする。これを目標に人生を歩みたい。
 趣味は体育会系。学生時代からボウリングをやっている。妻と息子7才・4才。会長と同居している

筑水キャニコム 代表取締役会長 包行 均

遊ばざる者、働くべからず
 自身の名刺にその年の経営方針を記している筑水キャニコム会長の包行均氏。今年の名刺には、“女の花盛り、男の働き盛り”と記し、①経営はマーケティング、②経営はコストアップ、③経営は目的の共有化とある。方針、戦略、戦術を明確にすることで、事業展開のあるべき姿を示している。

 今年の名刺を見て皆さんが驚かれたのは、経営はコストアップの点だった。何も考えなく、足し算だけで商品を値上げすればいいという事ではない。もちろん円高や材料、人件費等は上がっているが、お客様の要望に答えて性能・機能を向上させ、安定性をアップさせた商品であれば、多少価格が上がっても買っていただけるという意味だ。そうした商品であれば、トータルで見ればお客様のコストダウンにつながる

 また、経営はマーケティングについては、農業の変化が大きく速い現在、特にプロ農家の現状をマーケティングしなければ良い商品開発ができないということ。さらに海外に出す商品については、その地域に合った商品づくりが大切になる。

 そして経営は目的の共有化について。情報は様々なツールによって共有化されているが、それだけではダメだ。筑水キャニコムという会社の目的は何かを全社員が理解しその目的を共有化しなければならない。自分で考える力を養い、お客様と一体となって商品をつくることが重要だと考えている。


 3月9日には前会長・包行良人のお別れ会を開催したところ、700人を超える方々に出席頂いた。いかに故人が人々に好かれていたかを改めて思い知った。また別会場にて新社長・包行良光を紹介させていただいた。これだけの関係者の皆さんとお会いできる機会はないので、良かったと思う。新社長には、特に海外対応に期待している。


 海外については、現在43ヵ国との取引を行っているが、100ヵ国を目指すに当たり、アフリカにも注目している。そうしたことから今年の新入社員の中にセネガル出身で身長2mのムハメド・サンブ君を迎えた。同郷で2011年に入社した先輩ン・ジャイ君(2人をツインタワーと呼んでいる)と共に活躍してくれるのを期待している。わが社には現在240人の社員が在籍しているが、その約1割が外国人であり、海外事業の拡大を図っている。


 昨年度の実績は49億4700万円の売上。今年度は60億円を目標にしている。工場の限界は55億円なので、外注も増やす事になりそうだ。ただ残業は減らしたいと考えている。遊ばざる者働くべからず、が私の信条。時間内に仕事を終わらせるには集中力が必要で緊張を持って仕事に当たれば、かえって生産性は向上すると思う。


 現在、九州大学等と協力してロボットの研究を進めている。急傾斜の草刈などの研究を行っている。また9年連続でネーミング大賞を受賞した。これが開発にとってはプレッシャーであり、より良い商品開発への力ともなっている。商品に特長があるからネーミングが生きてくるのであって、わが社のイメージアップにもつながっている。


 世界の食生活が変化している。途上国も肉を食べるようになったり、ワインが不足するなどが起きている。こうした場面でもわが社の製品は活用されるものと考えている。

 世界に通用する製品づくりと事業展開にこれからも全力で取り組んでいく。