大学を卒業して、すぐに入社して技術部に所属。管理部長を経て平成19年8月から専務として仕事をしてきたので、社長になっても、それほど仕事の内容が変わった訳ではない。ただ気持ちの面で、これまでの歴史と今後の我が社に対する責任があると強く考えるようになった。
子どもの時から代理店会議などにも参加させていただいていた。祖父、父の働く姿も間近で見ていたので、自然に自分もマルマスの3代目になるんだとの思いになっていた。
祖父、父から学んだのは、まず、お客様、代理店への感謝と製品の品質に対する厳しさだった。基本となる国内の市場では、お客様が求める製品の品質にこだわり提供していく。そして海外については、私が中心となり開拓していく。米を食べる国、地域は中国や東南アジアを中心に数多くあり、ビジネスチャンスはあると考えている。そして、地場での事業も裾野を広げていきたい。
とは言え、TPPや米消費の減少など、変えられない流れもある。その中で、農業も大型化、企業化していく。我々もその需要に応じた製品を提供していかねばならない。精米機は稲作作業の最後の所。米の品質にも大きな影響を与える。消費者の求める米と生産者が提供する米の要となる製品だけに、研究・開発にも力を入れていく。
しかし、国内市場が縮小する中で、メーカー間の協力も必要になってくる。足らざるを補い合う、得意分野を伸ばし、協力し合うことは必要。我々もいくつかのメーカーと協議を進めており、共同開発や技術の交換といったことで近いうちに方向が決まってくる。
製造部門が本社工場(富山県中新川郡上市町)と新潟工場(新潟県燕市)に分かれており、コミュニケーションがとりにくくなっているが、努めて新潟工場へも足を運び、社員と直接会話するようにしている。もちろん、営業部門との対話も大切にしている。
現在のような厳しい時に一番求められるのはスピード。こうした時こそ社員も真剣に考え真価を発揮できる。もちろん、経営者にもスピーディーな行動が求められるが、もう一つ大切なのは、“ブレ”ないこと。
そして、一日一日を大事にして、実践あるのみを徹底していきたい。人は頭で分かっているのと実際に行動して分かることには違いがある。日々の実践を通じて反省点を洗い出し、次につなげていくことが大切だ。
平成14年12月1日に現会長と相談して社是を変更した。世の中で一番大切なのは人の心。ここがしっかりしておけば、何があろうと対応できる。
社是は、1)人には常に愛の心を忘れてはいけない、1)人を裁く心を持ってはいけない、1)人には平等にせよ、1)人の上に自分を置いてはいけない、1)人の足を洗わせて頂く心を持て。これらを心に研究開発、製造、販売を行い、代理店、ユーザーにも接していく。
これを基本に、自分の目標は「己を生かし、他を生かす」としている。今の世の中、自分さえ良ければという人が多い。自分が明るくないと周りも暗くなる。自分を大切にし、他人も大切にする。これを目標に人生を歩みたい。
趣味は体育会系。学生時代からボウリングをやっている。妻と息子7才・4才。会長と同居している。
また、経営はマーケティングについては、農業の変化が大きく速い現在、特にプロ農家の現状をマーケティングしなければ良い商品開発ができないということ。さらに海外に出す商品については、その地域に合った商品づくりが大切になる。
そして経営は目的の共有化について。情報は様々なツールによって共有化されているが、それだけではダメだ。筑水キャニコムという会社の目的は何かを全社員が理解しその目的を共有化しなければならない。自分で考える力を養い、お客様と一体となって商品をつくることが重要だと考えている。
3月9日には前会長・包行良人のお別れ会を開催したところ、700人を超える方々に出席頂いた。いかに故人が人々に好かれていたかを改めて思い知った。また別会場にて新社長・包行良光を紹介させていただいた。これだけの関係者の皆さんとお会いできる機会はないので、良かったと思う。新社長には、特に海外対応に期待している。
海外については、現在43ヵ国との取引を行っているが、100ヵ国を目指すに当たり、アフリカにも注目している。そうしたことから今年の新入社員の中にセネガル出身で身長2mのムハメド・サンブ君を迎えた。同郷で2011年に入社した先輩ン・ジャイ君(2人をツインタワーと呼んでいる)と共に活躍してくれるのを期待している。わが社には現在240人の社員が在籍しているが、その約1割が外国人であり、海外事業の拡大を図っている。
昨年度の実績は49億4700万円の売上。今年度は60億円を目標にしている。工場の限界は55億円なので、外注も増やす事になりそうだ。ただ残業は減らしたいと考えている。遊ばざる者働くべからず、が私の信条。時間内に仕事を終わらせるには集中力が必要で緊張を持って仕事に当たれば、かえって生産性は向上すると思う。
現在、九州大学等と協力してロボットの研究を進めている。急傾斜の草刈などの研究を行っている。また9年連続でネーミング大賞を受賞した。これが開発にとってはプレッシャーであり、より良い商品開発への力ともなっている。商品に特長があるからネーミングが生きてくるのであって、わが社のイメージアップにもつながっている。
世界の食生活が変化している。途上国も肉を食べるようになったり、ワインが不足するなどが起きている。こうした場面でもわが社の製品は活用されるものと考えている。
世界に通用する製品づくりと事業展開にこれからも全力で取り組んでいく。