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ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

ありふれたアフターストーリーⅢ

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ありふれたアフターⅢ トータス旅行記⑪



 どうにかこうにか荒ぶるバーサーカーシアを(しず)めた後。


 やっぱりライセン大迷宮の見学はやめようか、今ならクリスタルキーとか、ユエの魔力ゴリ押し転移で最奥まで行けるだろうし……


 というハジメの提案を香織、ティオ、雫、愛子、ミュウの五人が断固拒否した。ハジメとユエ、そしてシア三人だけの〝分かり合った感〟を、どうしても共有したいらしい。


「むしろ、私達も普通に攻略して重力魔法を取得しとこうかな?」

「そうじゃのぅ。今更感はあるが得ておくに越したことはない。ちょうど良いかもしれんな」

「そうね……お母さん達のことはハジメ達が守ってくれるし、やってみましょうか?」

「えっ? う、う~ん、私はちょっと無理そうな感じですけど……」

「ミュウもなの……」


 なんて話し合う香織達に、何故かハジメの目が泳いだ。少し思案する様子を見せ、「まぁ、大丈夫か……大丈夫だよな?」と珍しいことに自信なさげな、あるいは不安そうな表情になる。


「もう、ハジメくん心配しすぎだよ。私達、そんなに弱くないからね?」

「いや、うん、まぁ、そうだな」


 なんとも歯切れが悪い。いつでも大胆不敵で泰然自若なハジメであるから、誰もが目を丸くする。


 雫が表情を引き締めた。


「オルクスでもそんな顔しなかったのに……これは気を引き締めないとダメね。だからお爺ちゃん達! 準備運動しないの! 『え~、雫だけずる~い』じゃないでしょ! ほんと勝手なことしたらぶった切るわよ!」


 八重樫家の皆さんが大変不満そう。いい大人がリアルにぶ~ぶ~と娘にブーイングを飛ばしている。


 そんな血気盛んな八重樫家に苦笑いを浮かべつつ、今は正気のシアが口を開いた。


「う~ん、実力的には問題ないでしょうけど……でも、この迷宮って一定時間ごとに内部構造が変化するんですよね」

「え!? そうなの?」

「はいです。散々マッピングした後、意味がなかったと落ち込む挑戦者を見て笑い転げるための仕掛けです」

「タチ悪いね!」

「ミレディのどちくしょうですから!」


 さもありなん。


 そういうわけで私達も道は分かりませんよ~、というシアに続き、ハジメも苦笑い気味に指摘する。


「もともと、ある程度見学したら転移で移動するつもりだったからなぁ。普通に攻略したら最低でも一週間はかかると思うぞ」

「……ん。今は羅針盤があるから、上手くいけばすんなりゴールできるかも? それで攻略が認められるかは分からないけど」


 なるほど、と頷く香織達。ならば、羅針盤頼りで一先ず進み、攻略が認められない場合や時間がかかるようならまたの機会に、という心持ちで行こうと結論付ける。


 そんなわけで、ハジメが羅針盤で道順だけを指示し、香織、ティオ、雫の三人が先頭を行く形でライセン大迷宮の見学が始まった。愛子はミュウと揃って後方で見学だ。あんまり自信がないらしい。ミュウは「あいるびーばっくなの」と闘志を燃やしているが。


「ユエ、この辺りで過去再生頼めるか? 必要なら俺の魔力も持っていっていいからよ」

「……ん。大丈夫。ユエさんに任せるがよろし」


 今や、神と同等以上の魔力量を誇るユエであるから、魔力を霧散させるライセンであってもゴリ押しで魔法の行使が可能だ。


 とはいえ、オルクス大迷宮の時のように常時発動しながら過去の映像を追っていく……などというのは流石に無理がある。


 ただでさえ、〝過去再生〟の魔法は、遡る時間に比例して魔力を消費するのだ。一年以上前の光景ともなれば、たとえ今のユエでも看過できない消費量だ。なお、ハジメの魔力を持っていくとはカプチュ~のことである。


 ユエは気合いを入れて、舌舐めずりしながら積極的に過去再生を開始した。


 いつもよりやる気多目に見えるのは錯覚ではないだろう。カプチュ~できるからではない。それは日課的にしているから問題ない。理由は一つ。頼んだハジメだけでなく、ユエも見たかったのだ。懐かしの光景を。


――はわわわわっ


 壁から飛び出した回転刃にウサミミの先端のウサ毛をスパッといかれて、震えるシアがいた。


――うぅ~、なんだか嫌な予感がしますぅ~


 へっぴり腰で、忙しなく周囲へ視線を飛ばしているシアもいた。


――うきゃぁ!?


 階段が滑り台になり、ぬるぬるの液体まみれになりながら転倒。後頭部を強打して身悶えるシアちゃんプライスレス。


――てめぇ、ドジウサギ! 早くどけ!

――しゅみません~、でも身動きがぁ~


 M字開脚で滑落し、そのまま立派なお尻でハジメの顔面に騎乗しちゃうウサギさんのなんと残念なことか!


 その後も、金ダライの直撃を食らったり正体不明の白濁液を顔面にぶっかけられたり、金ダライの連撃を食らったり、金ダライのおかわりを食らったりなどトラップの尽くに引っかかっていくダメダメなシアウサギ。泣きべそを掻いたり、ミレディ文章でキレたりもして……


「懐かしいなぁ~」

「……懐かしい~」


 ハジメとユエが、非常に満足そうな表情で頷き合っていた。まるで、長年会えていなかった古い友人と再会したかのような雰囲気だ。


 ちなみに、この〝シアちゃん懐かしの残念ショー〟は本日二回目である。一度目は言わずもがな。ライセン大峡谷で出会った時の過去映像だ。あのときはハジメの塩対応ぶりに誰もが反応していたので、気持ちよく残念さを受け止めることができなかった。


「残念シアちゃん、やっぱりかわいいわねぇ」

「もう、この頃のシアちゃんはいないんだな……」


 (すみれ)(しゅう)がほっこり笑顔になっている。同時に、もう会えない娘を想っているかのような寂しそうな雰囲気も醸し出している。


「うわぁ、本当に残念ウサギさんだったんだね」

「私達と初めて会った時は、もうバグってたものね」

「妾はギリかのぅ。ちょっぴり残念臭が残っておったぞ」

「あ、私の時もですね。ウルで会ったときは割と雑な扱いをされてましたよ」


 一拍。香織達は顔を見合わせ、にっこり。


「「「「残念ウサギいいね~」」」」


 ね~♪ と頷き合う。


 ミュウ達も、ダメダメで情けないシアを見て実に微笑ましそうな様子。「残念なの~」「あらあら、残念かわいいですね」「今からは考えられんほど残念だ」「だが、いい残念さだわ」「近年希に見る残念さ」「ここ十年で最高の残念さ」「バリエーションが豊かで、ほどよくキレがあり上質な残念さ」などと、どこかで聞いたことがあるような感想を交わす。


「あ、あのですね、皆さん。あんまり残念残念と連呼されるのはですね……」


 ウサミミをぶんぶんっと荒ぶらせつつ、シアはむすっとした表情で抗議の言葉を口にしかける。が、


「あ、すごい! 定番のトラップだね!」


 上からゴロゴロと転がってきた大岩を、「映画で見たことあるよ!」と、ややテンションの上がった香織がブンカイッした。


 直ぐに、今度は金属製で溶解液を撒き散らす球体も転がってきたのだが、やはりブンカイッには抗えない。


 過去の映像の中で、


――うわぁ~~んっ、死んだら化けて出てやるぅ!


 シアがやっぱり情けない悲鳴と泣き言を叫びながら駆け抜けていった。そして逃げ切った先で、ハジメにナイフで壁に磔にされる形で九死に一生を得ていた。


 なお、ユエはハジメに大事そうに抱えられている。泣きべそを掻きながら抗議の声を上げる当時の自分を見て、今のシアは、


「……残念ですね、私」


 遠い目になった。「あんな金属球くらい拳で粉砕できなくて何がウサギかっ」と歯がみもしている。


 そんなシアの様子を見て、菫がくすりと小さく笑った。


「それにしても――〝ぜぇ~たい、抱っこで助けたくなるくらい惚れさせてみせますからねっ〟だなんて。シアちゃん、めげないわねぇ」


 シアのウサミミがピンッ。視線を転じれば、菫が優しい眼差しをシアに向けている。なんだか無性に照れくさくて、シアはもじもじウサウサしつつ誤魔化しも兼ねて声を張り上げた。


「コウスケさんはこの辺りどうしたんですかね!」

「……そうだった。あいつの攻略も見たかったのに、いつの間にか忘れてたぜ。流石、シア。よく思い出せたな」

「死んでも忘れません。奴の記憶を飛ばすまでは」


 真顔のシアはとっても迫力がある。浩介の有する前代未聞の存在感の無さも、瞳孔が開いたバグウサギの執念には勝てないらしい。


「ハウリアの次期族長ですからね。無様な姿だったら承知しませんよ! さぁ、ユエさん! お願いします!」

「……んっ、ユエさんにお任せ!」


 時間軸を設定して~、過去再生GO!


「……ん? んん?」


 ユエが戸惑いの声を漏らす。浩介がいない。ハジメ達も周囲を見回すが見当たらない。


「……時間軸、間違えた?」


 そんなはずは……と思いつつ、ユエが過去再生をやり直そうとしたその瞬間、過去映像の中で大岩が転がり出してきた。


 すると、


――ぐすっ、ひっくっ……心が痛いよぉ。いっそ消えてしまいたいよぉ


「うおっ、いたのか遠藤!」


 いらっしゃった。通路の端っこで三角座りしていらっしゃった。黒装束だけど、既にあちこちボロボロになっている浩介くんが。


 というか、服装以上にメンタルがボロッボロな感じだった。普通に泣いている。目が死んでいる。どうやら既にやらかした後で、過去映像なのに目に入らないほど存在感がなかったらしい。言葉通り、今にも消えてしまいそうなくらい儚い。


「って、そんなことしてる場合じゃないよ! 立って遠藤くん! ゴロゴロ来てるよ!」


 香織が過去映像ということも忘れて焦ったように声を張り上げた。


 まるでそれに反応でもしたかのように顔を上げた浩介は、虚ろな目を大岩に向け、一拍。やべぇっ!? みたいな顔になって――


――来たれ! 我が分身達よ! その身を以て盾となれ!


 一瞬で決めポーズ。通路のド真ん中に立ち、腕を組む形で右手だけ顔の前に。もちろんサングラスのクイック装着も忘れない! もう目の前まで大岩が来ているのにターンッだって忘れない!


 ポポポンッと出現した三人の分身体が一瞬だけ大岩を食い止める。ライセンの分解作用で直ぐに霧散する分身体だったが、稼いだ時間で一気に身を翻す。


「……ポーズ取る間があるなら逃げればいいのに」

「ユエ、言ってやるな。深淵卿には必要なんだ」


 深淵卿には必要なのだ!


 どうやら先程の〝落ち込む浩介〟は休憩中にふと顔を覗かせただけらしい。既に深淵卿の業の深さレベルⅤ状態。時間経過で上がっていくスペックと共に、言動の痛さも増大していく!


――ミレディ・ライセンよ! いにしえの守護者よ! 我が深淵は全てを呑み込むと知れ!


「お、ぉ……ぁ゛~」


 唸り声を上げたのは愁だった。両手で顔を押さえ膝を突いている。首筋から耳まで真っ赤だ。


「お、おい、南雲愁! どうしたんだ!」


 智一がギョッとした様子で声をかけるが、愁パパは答えない。それどころではないらしい。菫ママが実にいやらしい顔で夫を見ている! ものすっごくニヤニヤして楽しそうだ!


――ククッ、大岩如き他愛ない。むっ、金属球だと!? フッ、一筋縄ではいかんか……


「ぬぁあああああっ」

「大丈夫か!?」


――よかろうっ、かかってくるがいい! 修羅場は我の大好物だっ


「もうやめてくれぇええええっ」

「ハジメ君! 君の父親が変だ! いや、元から変だが……もっと変だ!」

「あ~、大丈夫ですよ、智一さん。俺も内心はそんな感じなんで」

「親子揃って変すぎないかい!?」


 仕方のないことだ。愁もハジメも、心の奥に厳重な封印箱を持っている人種なのだから。深淵卿は、その封印箱の封をいとも容易くこじ開けてくるのである。


 愁の中で、黒歴史Tシャツを来た若き日の自分が「呼んだ?」と顔を覗かせている。ハジメは本物の深淵卿とやり合った経験者なので、「呼んだよね? また呼んだよね?」と這い出てこようとしている厨二Tシャツ武装した心の中の自分を、まだ辛うじて叩き返すことに成功している。


 封印が解けないギリギリの範囲で、深淵卿の冒険を楽しむ……これはこれでスリルがある、と言えなくもない。


「ねぇ、あなた。今、どんな気持ちなの? 昔、『フッ』て笑うのがマイブームだったあなた! 休日に出かけましょうって誘ったら『俺には……やらなきゃならないことがあるんだ……』って意味ありげなことを言ったものの実は何もなくて、後で何かと理由をつけて私を誘ってきたあなた♪」

「やめろぉおおおっ、息子の前で付き合い始めた頃の話をするのはやめろぉおおおっ!!」


 腹を抱えて笑う菫。両手で顔を覆ったままぷるぷると震えるダメージが深そうな愁。


「なぁ、母さん。付き合い始めた頃って……」

「もちろん、とっくに中学は卒業済みよ。高校二年の頃ね。この人、()()()()()()

「そ、そうか。でも母さん。これ以上はやめてやってくれよ」

「ふふっ、自分では私に格好いい姿を見せてるつもりだったのよねぇ~。かわいかったわ~」

「マジでやめてやれよ! 父さんの精神が死にかけてるから!」


 遂に三角座りで膝に顔を埋め始めた愁お父さん。智一がなんとも言えない表情で慰めにかかり、虎一が悟ったような表情で理解を示すが、愁は心の固い殻の中に閉じこもってしまた。


 BGMのように深淵卿の香ばしいセリフが木霊する……


「なんていうか、義父様(とうさま)義母様(かあさま)って本当に仲が良いですよね~」

「じゃなぁ。夫婦というより親友のように見えてしまう辺り、実に不思議じゃが」

「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは見ているだけで楽しいの!」

「いつも見ていてほっこりしますね、うふふ」


 シア、ティオ、ミュウ、レミアの言葉に香織達も頷く。まったくもって、この夫婦はいつも楽しそうである。


 精神が死んで動かない夫を、ツンツンと指先で突いて遊んでいる菫を見ながら、薫子(かおるこ)霧乃(きりの)、そして昭子(あきこ)も口を開いた。


「……香織達がいなくなって、捜索のために立ち上げた『家族会』で顔を合わせていた時は、二人とも凄く〝できる人〟っていう印象だったのだけど。ふふ、確かに今は見ていて楽しいわよね」

「まったくだわ。リーダーシップを取っていたのは美耶ちゃん達だったけれど、他の細かいところに本当によく気が付いてくれて……」

「まさに家族会の縁の下の力持ちみたいだったわね。二人のおかげで凄く活動しやすかったもの」


 目立たないけれど、やるときはやる。必要なことをさりげなくこなしてしまう。そんな当時の南雲夫妻を思い出し、懐かしそうに言葉を交わす母親達に、香織達は「へぇ~」と興味深そうに目を丸くした。


「でも、当時の〝真面目なできる二人〟より、今の二人の方が私は好きよ」


 霧乃が、なんだかんだで構われて回復したらしい愁と、その頭をペシペシしている菫を見て微笑む。薫子も微笑ましそうな表情になりながら続いた。


「そうね。見ていてこっちの方が照れてしまうのは困ったものだけど」


 ようやく周囲の微笑ましい雰囲気に気が付いたのか、菫と未だ目が死んでいる愁がキョトンとした。ある意味、二人っきりの世界に入っていたというべきか。


「……ん。私もハジメと、お二人のような夫婦になりたいものです」

「母さんみたいな奥さんは勘弁だぞ? ユエはそのままでいい」

「! ハジメ……」

「ユエ……」

「はいはい、二人共! 二人っきりの世界に入らないでね! でね!」


 手を取り合い甘ったるい雰囲気を醸し出すハジメとユエの間に、大剣がぶんっと割り込んだ。まるで、二人を包むハートを縦にかち割ってやるぅ! と言いたげに。


「ハジメくんもユエも、TPOを弁えてね! まったくっ」


 やさぐれた様子の娘に合わせて、智一もケッとやさぐれた。


「この親にして、この息子ありというわけか。まったくっ」


 すると、タイミングよく現れる壁の文字が……


――ねぇねぇ、今どんな気持ち? どんな気持ちなの? プークスクスッ


「「うるさいよ!!」」


 白崎父娘が綺麗にハモる。


――フハハハハハッ!! いいぞ、解放者! この深淵に深手を負わせるとはっ。たぎってきたぞっ。フハッ、フハハハハハッ!!


「「うっせぇっよっ!!」」


 南雲父息子も綺麗にハモった。


「……ねぇ、そろそろ進まない?」


 雫の溜息交じりの声音に、一行はようやく先へ進んだのだった。


 その後、香織と雫、ティオがゴーレム騎士と戦う様子を見学し、案の定というべきか、最初の部屋へ、部屋ごとぶん回されながら戻され(重力魔法で浮遊状態なのでノーダメージ)、再びタチの悪いブービートラップの山と、人の神経をヤスリで逆撫でするようなミレディ文章の猛攻を受けつつ進むことしばし。


 流石の三人というべきか。体自体はノーダメージなのだが……


――今、絶対ビクッてなったよね!? よね!? めっちゃびびってるぅ~♪

――トラップの攻略おめでとう! まったく意味ないけどね! プギャーーッ

――あれれぇ? どうしたの、そんなくら~い雰囲気で! もうお歳ですかぁ? ププッ


「「「チッ」」」


 香織だけでなく、雫やティオまでまさかの舌打ち。


「雫が舌打ちとか新鮮だな」

「見てくださいよ。雫さんの目。辻斬りみたいな目になってますよ」


 誰でもいいから斬りたい……みたいな雫さんは見たくなかった! とシアが震える。その隣では、愛子がティオを見て震えた。


「ティ、ティオさんのあんな顔、初めて見ました……」

「……ティ、ティオ~? 目が竜眼になってる。落ち着いて――」

「ア゛? なんじゃ? なんぞ文句でもあるのかえ?」

「……なんでもないです」

「ユエお姉ちゃんが黙らされたの!? ティオお姉ちゃんに!?」


 なにはともあれ、共感が得られてよかったね! とハジメ、シア、ユエは頷き合った。


 そして、


――もう……いいかな……


 深淵卿モードの限界か。正気に戻ってしまったらしい浩介は目が死んでいた。地面に横倒しになったままピクリとも動かない。


 ちょうど、過去のハジメ達が寄り添って休憩していたところの直ぐ横だ。ハジメが両隣にとびっきり可憐な花を抱えて、どこか穏やかな雰囲気なのと比較すると、もうなんとも言えない。


 浩介の精神は既に満身創痍らしい。気力の泉は既に枯れ果てた様子。ついでに、トラップのせいで肉体もボロぞうきんのようだ。体力も限界らしい。諦めの言葉が漏れ出るのも仕方ないだろう。


――そうだ、もう帰ろう……いや、帰るのも無理かな? 出口もわかんねぇや


 ブツブツ、ブツブツと独り言を呟き続ける浩介の様子は尋常ではない。正気に戻っても既に正気ではないとはこれ如何に。どことなく奈落で震えていたハジメに似ていなくもない。


――せっかく生き残ったのに……ここで死ぬのかぁ。俺、馬鹿だなぁ


「遠藤……」


 ハジメが困ったような表情で心が折れた様子の浩介を見やった。


――や~いっや~いっ、このへたれ~!! ふひゃひゃひゃひゃっ


「ミレディイイイイイイッ!!」


 容赦ない追い打ち文章に、つい声を荒げちゃうハジメ。


 というか、今の浩介にぴったしな文章なのだが……


 よくよく考えると、香織達に対するミレディ文章もそうだった。ミレディはもういないのに、なぜリアルタイムで見ているかのような文章が浮かび上がるのか。


 あるいは、挑戦者の状態を魂魄魔法か何かで感知して、なんパターンもある文章を自動選択で浮かび上がらせているのかもしれない。作ったのはオスカーに違いない。恐るべき古代の錬成師。


――そうだよ、どうせ俺はへたれ。誰にも気が付いてもらえないマダオ……。きっと、地球に帰る時だって、俺がいないことにみんな気が付かないんだ……


「え、えんどぉ~、お前ってやつぁ」

「点呼するとき時々忘れてごめんなさいっ、遠藤君っ」


 あまりに哀れな独り言に、ハジメ達の目の端に涙がたまる。愛子が懺悔するように声を張り上げる。


――へへっ、こんな漫画みたいな人生なのに……きっと、漫画になっても主人公は南雲で、俺は顔すら出ないんだ……


「リアルにありそうだからっ、そんな悲しいこと言うなっ」


 思わず言っちゃうハジメ。菫が、珍しくもやりきれない様子の息子に「落ち着きなさいよ。過去映像でしょ」とツッコミを入れる。


 実は数年後、リリアーナが描いた自伝的漫画(ところどころ美化&脚色バージョン)に浩介も出てくるのだが……出てくるのに、なぜか顔だけ前髪で隠れたりして分からなかったりする。別に、リリアーナがいざ描こうとして、まったく顔を思い出せなかったから……というわけではない。きっと。


――普通に、気が付いてもらいたいだけの人生だった……


「遠藤ぉ~~~っ!!」

「……ん~~~っ、頑張れエンドウォ!」

「こうすけお兄ちゃんファイトなの!」

「遠藤くんっ、立って! 立ち上がって!」

「遠藤君っ、あなたはできる人よ!」

「浩介よっ、ラナを諦める気かっ。男を見せるのじゃ!」

「もう二度とっ、点呼を忘れたりはしませんっ……たぶん!」

「ハウリアの次期族長でしょう! 根性を見せてください!」


 親達のなんとも言えない雰囲気とは裏腹に、イナバさんの成り上がりストーリー並に盛り上がるハジメ達。


 すると、そんな声が届いたわけではないのだろうが……浩介の目にほんのり光が灯った。


――ん? 南雲が主人公? ……よく考えると、俺がここで死ぬとラナさんも南雲に持っていかれる可能性がある?


「いや、それはねぇよ」

「今は違いますけど、当時のラナさんはいつでもウェルカム状態でしたからねぇ。というかハウリアの女性は全員が」


 隙を見て、シアに集団戦をしかけてくる程度には、ボスの寵愛を賜りたいハウリア女性陣。


――ラナさんが……俺のラナさんが魔王の毒牙にっ


「人聞きわりぃこと言ってんじゃねぇよ」


――ダメだダメだダメだっ。こんなところで寝てる場合じゃねぇっ。今、この瞬間も、ラナさんが襲われるかもしれねぇのにっ


「……一度、遠藤とは俺への認識について話し合いが必要だな」


 ハジメの目が魔王になってきている。襲われるのはラナではなく浩介の可能性が高し!


 未だ虚ろではあるものの、光が灯った瞳を携え四つん這いに起き上がる浩介。


 根性を見せた浩介だが、おや? 様子が……


――!? っ、なんだ脳内に直接声が……

――ふっ、我が半身よ。力が欲しいか?

――お、お前はっ、まさかっ

――そうとも。我が名は深淵卿〝コウスケ・E・アビスゲート〟である!

――しんえん、きょう……

――今一度、問おう。我が半身よ! 力が欲しいかっ

――ああ……ああっ。力が欲しい! ラナさんに認められるだけの力がっ。魔王からラナさんを守り抜く力がっ

――ククッ。ようやく我を受け入れたな。よかろう! 共に行こうぞ! 深淵に果てはない!


 ちなみに、脳内会話ではない。普通に、浩介が一人二役でしゃべっている。一人芸人みたいに。誰もいない大迷宮の中で。


 全員が「うわぁ……」と見てはいけないものを見たような表情になった。というか、とても見ていられなかった。浩介くんの追い詰められ具合が半端ない。


 異常なストレスにより人格が別に作られることがあるらしいが、今、まさにその光景を目の当たりにしているかのようだ。


 一応、今の浩介は二重人格とかではないので、きちんと正気を取り戻したのだろうけども、ハジメ達をして言葉を失わせるには十分に痛々しい光景だ。


「ハジメ。帰ったら家に浩介くんを呼んで、男だけで語り合おう」

「そうだな、父さん。少し、優しくしてやろう」


 南雲父息子は、かつてないほど優しい表情で過去の浩介を見つめるのだった。


 そうして、再び深淵卿となって立ち上がった浩介が自分で自分にダメージを入れながらも突き進むに合わせて、香織達も順調に攻略していき、ついでに過去のシアの情けない感じも十分に堪能すること二時間ほど。


 やはり内部構造が変わり続ける特性のせいで、数時間でクリアというわけにはいかず、結局、クリスタルキーにより最後のボス戦空間へと転移することになった。


「割ときちんと攻略したのだし、ボスを倒して認められるといいわね……」

「そうだね、雫ちゃん。他の大迷宮でもショートカットしたことはあるから、可能性はゼロじゃないよ」

「ふむ……確か、最後は巨大なゴーレムとの戦いじゃったな」


 ゲートを展開しながら、何故かハジメが全力で視線を逸らした。


「ミレディ・ゴーレムですね。強かったですよ。直接重力魔法を使ってこない点、今思えばかなり手加減してくれていたのだと思いますけど……」

「……ん。あるいは、最期の時のために力を使えなかっただけかもしれないけど。でも、天井を丸ごと落としてきたり、騎士ゴーレムを操ったり……強かった」


 と、ユエ&シアが感想を口にする。シアが「そういえば」と、今更気が付いたように手をポンッとした。


「ミレディがいなくなったので、半自律型ゴーレムになったんでしたっけ? 確か、ハジメさんが改めて配置してあげたんですよね?」

「ま、まぁな。遠藤が攻略した後だが……当時は遠藤がここまで追い込まれているとは知らなかったからな。ポンポンと攻略者が現れるのは問題だろうと思って……」

「……思って? どうしたの、ハジメ。さっきからなんだか様子がおかしい」

「いや、なんでもない。そう思って、ちょっとだけ手を加えた。ああ、ちょっとだけ、な」


 やっぱり、全力で視線を逸らしたまま誰とも視線を合わせようとしないハジメさん。


 訝しみつつも、霧散させられ続けるゲートを維持するのも大変なので疑問は後回しにし、全員で飛び込む。


 もっとも、改めて疑問を口にする必要はなかった。目の前に、答えが現れたために。


「「「……」」」


 香織、雫、ティオが固まった。


 広大な空間に、無数の浮遊するブロック……それはいい。聞いていた通りだ。


 だが、だがしかし。


 これは聞いていない。


 ゴゴゴゴゴッと背面の機械的な三対の翼から光を噴出し、兵器を満載した……そう、地球の代表的なロボットアニメで見たことがあるモビ○スーツみたいな巨大ゴーレムの存在は!


 ハジメが、自然な動作で三重の八点結界を張ったと同時に、腕を組んだ香ばしいポーズを取る新ゴーレムさんのギミックが、ジャコッ!!と軽快に作動した。


 背面から伸びたアームが、両肩の上に砲塔をドッキング。


――88mmレールキャノン・二門。ステンバ~~~イ


 両腰の巨大ドリルがキィイイイインッと回転を始め、同時に四つに分割されて中から六砲身が姿を見せる。。


――可変式30mmガトリングレールガン・二門。ステンバ~~イ


 胸部装甲がスライドし、中からはちの巣のような武装が姿を見せる。


――熱源追尾式ミサイル・百二十発。ステンバ~~イ


 こんな姿に誰がした。


 もちろん、犯人は一人しかいない。


 香織達が、ギギギッと油を差し忘れた機械の如きぎこちなさで肩越しに振り返った。


 顔に書いてある。「うそでしょ?」と。


 ハジメは、頑なに視線を合わせないまま、ただ必要なことを、端的に言った。


「前を見ろ。――死ぬぞ?」


 その瞬間、暴虐の音色が大反響した。


 同時に、


「いやぁあああああああっ」

「ハジメの馬鹿ぁあああああっ」

「りゅ、竜化ぁっ!!」


 悲鳴と罵倒と焦りまくった声も響き渡った。


 閃光と爆炎と衝撃波が空間を蹂躙する。香織が雫ごと分解の翼で防御姿勢を取り、ティオは黒鱗でガードしながらあはんあはんっする。


「……ハ、ハジメさん? あれなんです? 私達が戦った時と全然違うんですけど。ちょっと手を加えたレベルじゃないんですけど!」

「スーパーミレディ(ゴーレム)だ」

「なるほど。分かりません」


 言っている間に、ティオが吹き飛んだ。あは~~んっと悶えるような声を上げながら、黒竜の巨体が壁に叩き付けられる。自慢の鱗がボロボロだ。


 一方、香織の方は流石の分解防御というべきか。見事に弾幕を防いでいるのだが、動くことはできない模様。


 すると、スーパーミレディーGが業を煮やしたのか新たな動きを見せた。香ばしいポージングをしながら右腕を振り払えば、腕がガションッと変形して電磁加速式パイルバンカーに。


 背中の演出的な光の噴出を流星のようになびかせながら突進する。


「か、香織ぃ! 逃げなさぁああああいっ」

「ハ、ハジメくん! 大丈夫なのよね!?」


 白崎夫妻が大慌て。ハジメは力強く頷いた。


「大丈夫です。かつて、俺は同じ方法で奴の分解防御を突破しました。いくら香織でも、俺自慢のスーパーミレディG必殺のパイルショットには勝てません」

「そういう意味じゃない!」


 珍しくも薫子お母さん全力のツッコミが入った。心優しいミュウから「逃げてぇ! 香織お姉ちゃん! 超逃げてぇ~~なの!」と警告が飛ぶ。


 スパークする巨大パイルバンカーの気配を香織も感じ取ったのか。慌てた様子で雫を伴い銀翼のまゆの背後から脱出し、そのまま神速離脱。


 直後、轟音と共に全てを分解する凶悪な防壁は、あっさりド真ん中をぶち抜かれた。


「南雲ぉハジメぇっ、きさま香織をぉおおおっ」


 智一お父さんがハジメに飛びかかってくる。薫子お母さんも「香織ぃ! 雫ちゃぁんっ。戻ってきなさぁ~~いっ」と呼びかけている。だが、親友コンビは諦めなかった。


「やられっぱなしじゃあねぇっ」

「いくよっ、雫ちゃん!」


 いつの間にかスーパーミレディGの背後に現れた香織と雫。それぞれ、分解の斬撃と、空間断裂の斬撃を以て、スーパーミレディGの両腕を奪いにかかる。


 おぉ!! と歓声が上がるが……


「フッ、甘い。巨体故に生まれる死角の多さを、俺が見過ごすと思ったか?」

「……ハジメ、どっちの味方なの?」


 スーパーミレディGの翼らしき三対の突起部分がパージされた。三角柱のような形のそれらは、直後、宙に浮きながらくるりっと反転して背後に先端を向けた。銃口を覗かせる先端を。オールレンジ兵器はロマンだ!


「ちょっ!!?」

「うそでしょ!?」


 チョドドドドドッと放たれるライフル弾の嵐。香織は神速で回避。雫は黒刀の刀群を召喚して花びらのように束ねると同時に、全黒刀にて空間断裂〝閃華〟を発動。


『ええいっ、ご主人様よ! やりすぎじゃろ!』


 そんな文句を垂れながらもティオが復帰。スーパーミレディGの動きを封じようと、黒竜の巨体で飛びかかるが……


「なっ、ビー○サーベルだと!?」


 叫んだのは愁。その言葉通り、スーパーミレディGは大腿部に収納されていた二本の棒を掴み取り、これまた格好良く薙ぎ払うと同時にビー○サーベルを展開したのだ。


「最上級の炎を昇華魔法で更に高熱化させて、重力魔法で圧縮してあるんだ。再現するのに苦労したぜ」

「……ハジメに手伝わされたあれって、これだったんだ」


 今まさに鱗を剥ぎ取られ、慌てて距離を取ろうとして、二本のビー○サーベルの柄をドッキングさせて槍にするという香ばしい武器変更を行ったスーパーミレディGに追い詰められているティオを見ながら、ユエが遠い目になった。


「ハジメの悪い癖が出たわね」


 菫の引き攣った表情が物語る。すなわち、物作りに関してはどこまでも突っ走ってしまうハジメの性質を。というか、南雲家の業を。


 その後も、ビット兵器による空間跳躍攻撃をしたり……


 逆に可変式円月輪によるゲートで香織達の攻撃を空間跳躍させてカウンターしたり……


 斬られそうになった場所をパージし、直ぐにドッキングするというとんでも回避をしたり……


 いくつかの浮遊ブロックから外部武装が飛び出してドッキングし、武装強化して嵐のような弾幕を張ったり……


 右手が真っ赤に燃えたり……


 変形して戦闘機モードになったり……


 ドリルしたり……


「さ、流石にまずいんじゃないかしら?」

「気のせいか? 雫が半泣きになっている気がするんだが……」


 霧乃がレアな狼狽(うろた)える姿を見せ、鷲三(しゅうぞう)が冷や汗を流している。


 とはいえ、伊達に神話決戦で生き残った三人ではない。あれから更に実力を上げているともなれば、いつまでもやられっぱなしを許したりしない。


 スーパーミレディGの動きに慣れてきて、動揺も治まってきた三人が阿吽の呼吸で連携を見せ始めた。


 神速で香織が翻弄(ほんろう)し、ティオが大規模攻撃で注意を引きつけ、雫が一瞬の隙を突いて踏み込み少しずつ武装を斬り取っていく。被弾しても直ぐに香織が回復する。


 あの三人相手にまともにやり合っているスーパーミレディGが凄いのか。それとも、自重しないハジメのパッションの塊を相手取っている三人が凄いのか。


 非常に微妙なところ。少なくとも、深淵卿の挑戦が、スーパーミレディGの配備前だったのは幸運である。その深淵卿の攻略が原因で配備されたという点からすると、今香織達が悲鳴を上げているのは彼のせいと言えなくもないが。


 それはそれとして、、まるでRPGのボス戦のように、少しずつ削り取ることに成功している香織達のボス攻略戦は中々の見応えだ。


 シアやミュウ、そして八重樫家を筆頭に次第に歓声が大きくなっていく。何故か、ハジメさんの不敵な笑みも深くなり、ユエの呆れた眼差しも強くなっていく!


「はぁはぁっ、もうちょっとだよ!」

「し、死ぬかと思ったけど……なんとかなりそうね」

『ハァハァ。ご、ご主人様めっ。こんなものっ、今後誰も攻略できんぞ!』


 ライセンの特性故に消耗が激しく、既に限界が近い香織達。しかし、スーパーミレディGも武装のほとんどを雫に斬り取られ、分解砲撃やブレスも食らい満身創痍状態だ。


「雫ちゃん! ティオ! 一気に決めるよ!」

「ええ!」

『承知じゃ!』


 これで最後だと、気合いを入れる三人だったが……


 切り札の量産こそがハジメクオリティー。


「甘いっ、甘いぞお前達! コカ○ーラに砂糖をしこたまぶち込んで煮詰めたくらい甘い!」

「……だから、誰の味方なの、ハジメ」


 ハジメさんはロマンの味方だ。


 創造主に応えるように、スーパーミレディGが輝きを噴出した。キラキラと光る真紅の魔力がスーパーミレディGを包み込む。装甲がバシュンッバシュンッとパージされていき、その巨体がスリムになっていく。


 二回りは小さくなったスーパーミレディG。腕を組み、莫大な真紅の粒子を撒き散らし、全身を赤熱化でもさせているかのように輝いている。


「ま、まさかハジメ。お前……」


 愁が、妥協なき息子の所業に、畏敬まじりの目を向けた。ハジメは、まるでどこかの卿みたいに香ばしく「フッ」をした。ユエさんの眼差しが生温かい。まるで、かつて菫が愁に向けていた「かわいいわぁ」みたいな表情だ。


「HPがレッドゾーンに突入したらボスは強くなる。常識だ!」

「そんな常識はいらなぁあああああいっ」


 香織の叫びが木霊したと同時に、スーパーミレディGの姿がぶれた。一種の〝限界突破〟状態らしい。凄まじい機動性を発揮し、一瞬で香織達に迫る! 二重三重にぶれる姿は、かつてのノイントの如く。両手両足の先端からアサシンブレードのようにビー○サーベルが飛び出す! 香ばしい!


「トラン○ムモード発動! いけっ、スーパーミレディG! お前の力っ、見せつけてやれ!」

「ハジメっ、あなたどっちの味方なのよ!」

『ご主人様よっ、あとで家族会議しようぞっ。逃がさんからな!』


 再び、ライセンの地下深くに激震が(ほとば)った。怒号と悲鳴も迸った。


 その後、香織達の攻略結果がどうなったかは……


「ねぇ、ハジメくん。反省してる?」

「ハジメ、誰が正座を解いていいって言ったのかしら」

「ご主人様よ、作り直せ。元のミレディ・ゴーレムのレベルに。よいな?」

「……うっす。すんませんした」


 正座して項垂れるハジメと、その近くで自爆させられてガラクタとなったスーパーミレディGと、ミレディの隠れ家にある光らない魔法陣から推して知るべし。


 香織達の重力魔法の取得は、まだ少し先になりそうだった。




いつもお読みいただきありがとうございます。

感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。


ありふれた公式HPにも出てますが、6月に10巻ドラマCD付きが出る予定です。

つまり、白米はまた作業に入らねばなりません(汗

また不定期になります。1ヶ月も空けないようにしたいところですが、もしそうなったらすみません。どうか、今後も本作品をよろしくお願い致します。 


※ネタ紹介

・あいるびーばっくなの 

 言わずもがな、ターミネー○ーより。素晴らしいサムズアップでした…

・皆の残念評価 

 日常より逆輸入。ボージョ○ーの評価より。

・スーパーミレディG 

 コミックス4巻おまけ漫画より。流石RoGa先生というべきか。デザインが秀逸でしたw 諸々の機能は某ロボットアニメのいろいろな機体から。紹介し出すと止まらなくなりそうなので、申し訳ないけど略で!最後の紅いのだけ。トラン○ムです。超好きです。他のもいろいろ入ってます。


※ガルド更新してます!

・本編 31話 ティオやべぇ。強ぇ、そして格好いいっ

・日常 35話 香織がw 特に燃やされる香織で吹きましたw

・零  12話 ナイズの過去が明らかに。ついでに、真面目多目のミレディも。

以上です。無料配信中です。是非見にいってみてください!


※書籍 零 3巻 発売中です。

挿絵(By みてみん)

こちらもよろしくお願いします!





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