今はオカルトが流行らなくなったのでテレビで見る機会もなくなりましたが、20年くらい前に世紀末のノストラダムスのと言っていた時には、キリストの墓が日本にあるといった話がテレビでも紹介されることがありました。

 

このキリストの墓は誰がいつ捏造したのかはっきりとしているものなのですが、テレビは昔からの伝承のように紹介していました。オカルトの話題に合うように、捏造された歴史であることを意図的に無視して報道していたのです。

 

キリストの墓の捏造したのは、竹内巨麿という人で天津教と称するインチキ宗教をやっていました。皇祖皇太神宮を作り天津教を創始して、信者獲得のために神宝なるものを公開するようになります、もちろんこの神宝は巨麿が偽造したものです。最初は「後醍醐天皇宸筆」「日蓮上人真筆」といったものでしたが、そのうち、「モーゼの形見石」や「十誡石」などが現れ、キリストもモーゼも釈迦も孔子もムハンマドも、みんな日本の天皇のところにやってきて修行をしたのだと言い出し、キリストは青森県の戸来村で死んだと言い出して、墓の作ってしまいます。

 

 ここまで由来が分かっているキリストの墓を、歴史ミステリーのようにして紹介する日本のテレビも酷いものです。

 

 1928年に「竹内文書」を公開します。神武天皇の前に日向に王朝があって数百万年続き、その前に富士に王朝があって数千万年続き、その時代の天皇は全世界の支配者で、天岩舟に乗って世界を巡行した。超古代の天皇の行き先として近代になってから成立した、アメリカやオーストラリアの都市の名が出てくるというデタラメ極まりない偽史でした。

 

内容的には巨麿の歴史偽造は木村鷹太郎と似ていますが、動機は金儲けでした。

 

巨麿1936年に不敬罪、詐欺罪で逮捕されます。記紀に書かれている神話は正しい嘘だが、竹内文書の嘘は間違った嘘だから怪しからん、というのが警察の立場でしたが、1944年に大審院で無罪判決が出ています。大審院は宗教の教義だから裁判の対象ではないとしています。記紀が正しい嘘なのか、竹内文書が間違った嘘なのかを法で決めることはできないという、司法としてはまともな判断でした。

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