いつの間にかネットの世界では朝鮮通信使は鶏泥棒であったというバカな説が定着してしまいました、今ではその説を信じて、朝鮮通信使に関する催し物を行う行政に対して、お前たちは朝鮮通信使が鶏泥棒だったことを知っているのか、などと自分が朝鮮通信使に対する正しい情報を教えてやるのだ、といった感覚で抗議の電話を入れるネトウヨが現れるような事態になってきています。
ネトウヨがその根拠にしている唯一の資料は下記の絵ですが、ネトウヨはこれを紹介する時には、食材などが用意されていた「下行所」をカットして、右の部分のみを、下のように拡大して示しています、資料の扱い方が恣意的なのです。
この絵は京都市歴史資料館蔵であり、資料館の見解としては、絵の一部を取り出すのは正しくない、下行所を含めて見ればそこから食材の鶏が逃げ出して騒ぎになり、使節の随員が取り押さえた場面になる、朝鮮人来聘記には鶏が逃げ出した記録はあるが窃盗の記録はない、としています。
まったくもって正しい見解であり、絵は全体を見る、文献資料と突き合わせて内容を考える、歴史資料の絵の扱い方はそうでなければなりません。
文献資料を無視して、絵の一部を拡大して、鶏を通信使が盗んでいると論ずるネトウヨのやり方は間違っていますが、ウィキペディアの朝鮮通信使を見ると、ネトウヨが常用する部分拡大の絵が載せられていて、その下に、「朝鮮聘礼使淀城着来図の一部『鶏を盗んで町人と喧嘩する朝鮮通信使』」といった記述が書かれています、盗んだと断定しているのです、絵を所有している京都市歴史資料館蔵の見解は無視されてます。公的な機関の見解を無視して、ネトウヨのデマを史実のように載せているのです。
ウィキペディアの日本語版は、南京大虐殺でも、韓国人慰安婦でも、ネトウヨの書き込みによって内容が著しく偏向したものになってしまっていますが、朝鮮通信使にも同じことがいえます。
最近の学生は基本的な文献に当たる事無く、、ウィキペディアを引用して平気で論文を書くので、ネトウヨが書き散らしたデマが史実と信じられていくことになります、日本はネトウヨに歪められた歴史が定着する社会になってきています。