作家様によるツイッターでの発言など一連の出来事に関しまして

Twitterでの一連の騒動により作家様及び読者様ら皆様に不快な思いをさせておりますこと、またお心を騒がせる事となっております事、心よりお詫び申し上げます。

今回の件に関しまして、あまりにも多くの方に多大なるご迷惑をおかけしておりますので、弊社としての見解と誤解がある部分や認識違いである部分等についてご説明させて戴きます。

この文章は弊社としての公式な発言となります。
なお、係争中、係争準備中のものもあるため一部詳細を話せない部分がございます事は大変申し訳ありませんがご了承いただきますようお願い申し上げます。

また、固有の作家様のお名前などは先方様へのご迷惑も考慮し、弊社のサイトでは控えさせていただき「当該の作家様」というような形でのお話になること、ご理解いただけますと幸いです。

まず、弊社として最初にお話するべきことですが、当該の作家様が「印税を支払わないといわれた」と発言されている点です。
この点につきましては、弊社は印税を支払わない、と当該作家様に対して(これはいかなる作家様に対してもですが)発言をしたことはございません。
当然ですが、「印税を支払わない」ということは出版社としてあり得ないことであり、もしそのような発言があるのであれば、弊社はしかるべき処分をとっくに受けていると思います。
まず、このことをはっきりと述べさせて戴きます。

当該作家様と弊社との間では、これまで長きに渡り話し合いが行われて参りましたが、その話合いの中で当該作家様が、弊社が原稿料をお支払いさせて戴いた原稿を引き上げたいとのご希望があったため、弊社からは引き上げに際してお支払いさせて戴いた原稿料の一部をお戻し戴きたいとのお話をさせて戴いておりました。そして、その中で、原稿料のお戻しについて御了解を戴くまでの間、印税のお支払いを一時止めさせていただく形になっていることは事実でありますが、上記の経緯でありますので、決して弊社として理由無く印税のお支払をしていないのではなく、お支払いをする意思がないものでもございません。
なお、現在、当該作家様との間においてこのような関係となってしまった理由については、後段でご説明をさせていただければと思います。

また、これまで弊社の「原稿料の未払い」について様々なTwitter上の発言がなされておりますが、miereの原稿料に関し、17年8月頃、徳間書店様と弊社の間に入っていた会社の弊社に対する未払いが原因で、作家様に対して半月ほどの支払いの遅れが生じてしまったことは事実でございます。また、同じく17年8月頃、一部の作家様の印税について、弊社の管理上のミスからお支払漏れが生じてしまい、ご迷惑をおかけしたことも事実でございますが、2018年1月に全て未払分のお支払いをさせて戴いております。作家様にご迷惑をおかけしたことは事実でございますが、同件につきましても、弊社が原稿料や印税のお支払いをしないと述べたような事実もなく、お支払いは完了していることを改めてお伝え致します。
出版社は創刊の最初の6か月は流通の関係で版元にお金が全部いきません。2017年7月に創刊したmiereはその半年をようやく越え、ようやくいろいろなものが安定し皆様に楽しく読んでもらえるとなった1月に休刊することとなってしまいました。
それはいまでも残念でなりません。

上記でお話をしました印税にからむ当該作家様の件を弊社なりにお話させていただければと思います。

まず、その前に当該作家様と弊社との関係を少しだけお話させていただきます。
当該作家様とお仕事でお付き合いが始まったのは今から13年ほど前になります。
どこの出版社よりも最初にカラーのお仕事をお渡しすることができ、喜んでいただけて、一緒に頑張りましょう、とお話をしたことを今でも覚えております。編集プロダクションという他社の仕事の中、締め切りがギリギリの時は東京にお呼びして、ホテルなどで作業をしていただくこともあり、版元さんが出せないホテル代など編集費から出して赤字になることもありましたが、いつか物凄く売れる作家さんになってもらいたい、と影になり応援しておりました。(これは該当作家様だけでなく弊社かかわるすべての作家様で同じようなことがあればそのように対応をさせていただいておりました。)

弊社ではいろいろな事業がありましたが、元々「BLが好きである」ということで会社を作った経緯があり、どんなに赤字部門な時があってもBL事業を辞めることはありませんでした。
一方的ではありますが、10年以上のお付き合いの中で当該作家様とは信頼関係が作られていたと思っておりました。

次に、当該作家様は、Twitterにおいて2017年頃に弊社に対して不審感を持たれたと発言されておりますが、この件に関して弊社としての見解をお話させていただきます。

まず、3年ほど当該作家様の担当をしておりました弊社社員が2017年7月に弊社を退職し際し契約違反が発覚したことから始まります。
当該作家様は、退職した当該社員と仲が良く、信頼関係も築いていたようで、他のお仕事などのマネージメントも当該社員に任せていたようです。
弊社としては、上記のとおり当該社員は、当該作家様と信頼関係を築いていた事実はあるものの、当該社員による弊社との契約違反の事実は重く捉える必要がありますので、当該社員に対し、そのような契約違反行為は認められない旨を伝えたところ、当該社員と話をした当該作家様が、弊社の上記対応が「理由が無いのに当該社員を排斥しようとした」ものであると誤解されたことにより、当該作家様が弊社に不信感を持つことになりました(当該作家様には、契約違反の事実についてご説明をさせて戴きましたが、ご理解をしていただけませんでした。)。
その後、当該作家様は、上記の弊社の当該社員への対応へのご不満から、2017年12月には、弊社での仕事を当該社員と弊社の話し合いを理由に一方的に拒否し、その後原稿の引き揚げを要求されるようになりました。

作家様にもご理解頂けているものかと存じますが、出版社は、雑誌の掲載については赤字が基本でありまして、その後単行本を発刊しないと利益がほとんど無い状況です。(単行本を発刊しても赤字になるものも多いです。)
当該作家様を含め、弊社にとって作家様が大切な存在であることは言うまでもありませんが、契約違反を行う担当編集(当該社員)に対して、弊社が然るべき対応をしたにも拘わらず、当該社員に対する対応に不満があるとの理由だけで原稿を引き揚げられてしまう事は簡単に容認すべきものではありません(その後当該作家様は、雑誌の廃刊や弊社印税の遅滞等が原稿を引き揚げる理由であるとご主張を頂いておりますが、これらは12月の段階で弊社元社員への弊社の対応にご不満を理由にお仕事の保留の連絡を受けた「後」の事象であり、雑誌が廃刊になったのは当該作家様を含む複数の作家様が雑誌への掲載を一方的に拒否したことが大きな理由です。)
弊社は、上記の当該作家様の作品を待つ読者様のためにと、当該作家様と協議交渉を続けて参りましたが、条件において折り合いがついておらず、現在も解決に至っていないことは誠に残念でなりません。

最後に、これだけはお話させていただければと思います。
10年以上お付き合いのある当該作家様は弊社が知る限り決して物事を荒立てる方ではなく、読者のことを考え、作品やお話を作るのにとても真摯であり、そのために締め切りがギリギリになることもありますが妥協せず、面白い漫画を描かれる方でした。
ご自分の行動で他人に迷惑をかける方ではもちろんなく、今回の印税のお話のように他の作家様の売上にも影響するようなそんな発言を短慮になさる方ではないと今でも思っています。

弊社スタッフも代表である私もいまでも当該作家様の作品のファンです。続きをお届けできないこと、読者様をお待たせしていることに関しても本当に申し訳なく思っております。

今でもまだ、一緒にお仕事をしたい気持ちがあります。初めてカラーを差し上げたとき喜んでいただけたこと、いろいろな単行本でご一緒させていただいたとき、今後も頑張りましょうと言っていた関係が、たった一人の弊社社員、しかも弊社との契約に違反するような者を原因として崩れるような関係だったと思いたくない気持ちでいっぱいです。
もちろん、このようなことになってしまったことは、弊社及びに代表である自分の未熟さが原因であると思いますが、それでも許されるなら、作家様といまでも本を作りたいと思っています。

ですが会社である以上、契約違反をした社員が関わっていることであり、また業界とし「担当が辞めたら原稿をもって他社に行ってよい」などというよくない例を作るわけにいかないので、読者様のことを考えると本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、きちんとした解決をこの件に関しては求めたいと思っております。

弊社と致しましては、当該社員の問題については、私の社員教育不足であり、弊社での問題かつ、自分の未熟さの所為でもありますので、本来であれば社内で解決するものであり、外部には話をするつもりはありませんでした。
ですが、該当作家様のツイートを鑑みて、きちんと説明をしなければ弊社に原稿を預けてくださっている他の作家様にもご迷惑が掛かると思い、このような形でご説明させていただいた次第です。

繰り返しになりますが、miereレーベル他、弊社が出版するものに関しては作家様にはきちんと印税売り上げが行きます。
「印税が支払われない」
ということはありません。
当該作家様の発言が公表された後、
「作家さんに売り上げが行かないなら買わない」
といったTwitter上での発言を幾つか拝見いたしましたが、事実ではありません。
それにより売れなくなることは弊社ではなく作家様にとって多くの損失である、そう思い今回このような形でお話をさせていただきました。

素敵なお話を描いている作家様の作品が皆様に楽しんで読んでいただけることを願います。

BLはエンターテイメントです。
本来は出版社がどうの作家がどうのなど作品を作る裏側を見せるべきではないと思っています。
そんなもの関係なく「面白い」「楽しい」と純粋にお話を読んで楽しんでもらうのが本来の姿です。
このようなお話は本来読者の皆様に見せるべきではありません。
皆様の純粋に楽しむお気持ちをこのような形で邪魔してしまったこと、深くお詫び申し上げます。

株式会社創作工房
代表取締役 中村あずみ