霧の城の物語を 覚えている者は幸せである 心 豊かであろうから というわけで、『ICO』である。 PS2屈指の名作と言っていいこの作品をやってみて思うところをいろいろと。 全然まとまりそうもないので思いついたところからつらつらと書き散らしてみる予定。 まあ、考察やらレビューやらというものではなく、徒然というか雑記みたいなものです。 感想の方にいろいろ書いてるので重複する部分もあるかもしれないが、それはそれということで。 当然だがネタバレ話である。ネタバレ全開である。ご注意を。 なんかもう書くことが増える一方で、まとめ直した方がいいんだろうなと思いつつ追記…… ・ICOレビュー(風?) ICOをレビュー風に語ってみるテスト。シャレです。 ・手を取るという行為 思った以上に長くなったので別ページに。 ・小説『ICO-霧の城-』感想 ゲームじゃないけど。ICOでもなかったけど。 ・その他 追記分 『ICO』という作品に関して 雰囲気、世界が凄く良い。とにかく美しい。 良質の映画を見たようなと言っている人がいたが、多くの人が思ったことではないだろうか。 勿論、ハリウッド映画でなくヨーロッパ映画だ。 個人的には絵本とか童話のような雰囲気だと感じた。 童話というより御伽噺か。 あの終わり方は素晴らしい。 めでたしめでたし 『物語』とは、そうでなくちゃいけない。 奇跡的な完成度を持つ作品である。 スタッフがゲームを造るのが始めてという、それゆえのゲームの文法をハナから無視したつくり。 パラメータ表示だのコマンドだのが全く無い画面は一見あまりゲームっぽくないのだけれど、 ゲームであるということについて突き詰められた一つのカタチ。 それは偶然だったのかもしれない。 無駄を削ぎ落とし、研ぎ澄まされた結果、奇跡的といっていい完成度を持つに至った一つの結果。 そしてまた、それゆえにかどうかはわからないが、泥臭さみたいなものもある。
以下、いきなりだが、ちょこっとマイナス要因。 別に叩くつもりは全然無いので構えなくてもいいです。むしろ要望とか願望かな。 まず、ジャンプのタイミングがむやみやたらとシビアなところが数箇所だけある。 特に水車とか、水車とか、水車とかっ!! 風車に飛び移るところや上下する台に乗ってジャンプするところなどもそうだが、これらは一度 適正なタイミングさえわかればそれほどでもない。 ただ、上下する台のところは例の隠し部屋がある為に、そちらの謎を解いていないから進めない のではないかと勘違いする可能性もあってやっかいだ。 自分のアクションゲームに対するヘッポコぶりを考慮すれば、これは難癖に近いかもしれない。 しかし、『ICO』はアクションゲームに特化したゲームではないし、なによりこんなところで 挫折してしまう人がいたら、あまりにももったいないだろう。 というわけで批判や文句というほどのことではないが、あえて挙げておきたい点である。 次は、指摘している人を見かけないが、エンディング。 ああ、物を投げないでください。 『You were there』が名曲なのは勿論異論の余地もありません。 使われ方、あの感動的なまでの曲への入り方に対しても文句無し。 完璧と言ってもいいかもしれない。 そう、曲への入り方はいいのだ。 なのにあの中途半端な曲の終わり方はなんだろう? スタッフロールが入りきらなかったせいか、そのまま『Castle in the Mist』に繋がるし。 この作品の内容にたいして唯一文句をつけるとすればそこか。 その後のエピローグに繋がることなども考えるともう少し余韻を残すような綺麗な終わり方とか、 なんとかならなかったのだろうか。 まあ、1回目はぶっちゃけ放心状態だったので、気にする余裕も無かったような気もするし、 エピローグまでにあれだけの間があったのはマイナスとばかりもいえないのかもしれないが、 2回目以降、このシーンを見るに、やはり冗長でなんとももったいない。 曲への入り方が絶賛ものなだけによけいに惜しい。 内容ではなく、商品としてのパッケージングについても1点。 何が言いたいかというと、 クリア後の音楽鑑賞モードとかMOVIE鑑賞モードとか入れてくれ! いや、頼むから!! エンディング曲を聞くためにひたすらラストセーブからの長い道を何度繰り返したことか。 せめて剣を手に入れたところでセーブできればなあ。 女王を倒したところからエンディングまでまるまる何度でも見たいシーンだし。 このへんのモードが無いというのはスタッフがゲーム(造り)慣れしてないせいなのか、 他に理由があるのかはわからないが、是非とも入れておいて欲しかった。 これについては賛同者が多いと予想するがどうだろう。 以上、この程度のことしか無いのだけどね。
生贄の少年。 角のある少年。 角があるせいで生贄に選ばれた。 角がある者は普通の人より身体能力に優れる。 そもそも角が生えるとはどういうことか。 古城にある像にも角があることと合わせて考えるべきだろう。 正門にて、クィーン登場時のイコ この時点で、なんだかかなり雲行き怪しくなってきたのはイコにもわかったろう。 それでも手を差し延べるイコ。 これは非常に重要な意味を持つ行為だったように思います。 ここからヨルダの意識が変わり始めたのかもしれない。 ちなみにこの時手を差し延べたイコの心境はどうだったんだろう? 1.ヨルダって名前なんだ!(<バカ) 2.怪しい…、けどこの娘いないと封印ひらけないし…(打算) 3.なんだあのオバサン言いたいことだけ言ってかってに消えんなよだいたい出て行けってんなら 扉開けていきやがれそもそもかわいいヨルダとか言っときながら鳥篭に閉じ込めてんのどーゆー わけだこーなったら意地でも2人で脱出してやるからのこの○×△◇!!… 4.扉閉まっちゃったなー。しょうがない、別の道さがそうか(<何も考えて無い) まあ、この時点でイコにはヨルダに手をさしのべる以外の選択肢など無い。 |
・このページはこの項目の為にあるといっても過言ではない…かもしれない。 捕らわれの少女。 白い少女。 意外と好奇心旺盛? ・行動からみるヨルダ 気が付くといろいろと勝手な行動を取っている。 そこから、好奇心旺盛なのではないかと推測できる。 そうでなければイコに付いていったりしないだろう。 ・白い鳥を追いかける。 たいへん微笑ましい情景である。 ヨルダが生きている存在なのだと実感させられるシーン。 最初にイコに近寄っていったのも似たような感覚だったのかもしれないとも思える。 籠の鳥状態だったヨルダが、外で自由な鳥に興味を示すのは象徴的でもある。 ・肘を見る インタビュー等で明らかにされたが、元々肘に刺青があってそれを見ていたのだが、 刺青がなくなって動作だけ残ったものとのこと。 初めて見た時はぶつけたか擦りむいたかなんかしてそこを見てるのかと思ったよ! 結構荒っぽく引っぱり上げたりとかしてたから。 ・影が出た時、イコの方によってくる。後ろにまわろうとする。 少なくとも影に捕まりたくはないらしい。 ・ヒントを教えてくれる。 ほとんど意思表示をしない彼女だが、一応は協力的である模様。 ・高い所から落ちたイコに走りよってくる。 ひょっとして心配されてる? ・高い所を伝っているイコを下から見上げながらうろうろとしている。 心配してくれてる? 嬉しくなって思わず手をぶんぶん振って落ちかけて慌ててしがみつき、 ヨルダをかえって心配させ「ひっ」とかいって身をすくめる一連の情景が 即座に脳内に展開したりしたのは私だけではあるまい。(<おまえだけだ) ・行動の積み重ねが生む何か。 こういったささいなことに意味を見出すのはあくまでプレイヤーだ。 そしてこういった本当に細かい点に意味を見出せてしまうのがこの作品の凄いところ。 おそらく製作者もそこまで計算していたわけではないと思う。 例えばヒントを出すヨルダ。 このヒントというのは、先行して発売されたアメリカ版には無かったらしい。 ゲームシステム的にはほんの些細なこのシステムの追加は、しかし他の些細な部分と積み重なって あまり自発的には動かない少女が、それでも一応は協力的なのだと印象付けるのだ。 重要な点だが、自分で試行錯誤すること自体が意味を持ってくる。 逆に言えば、最初から攻略情報を見ながらプレイするなど問題外。 面白さ半減以下だ。 パズルゲーム的な意味からだけでない。(むしろそれは二の次だ) 自分の意思と行動の積み重ねがこの世界への没入感を煽り、その結果が物語を紡ぐのだ。 だからこそ少女を助けたくなるのだし、少女を一人にしておくことに不安を感じるのだ。 苦労したゲームの方が思い入れが強くなるというのは一般的な傾向かもしれないが、 その度合いが極端に大きいといえるかも。 「共に苦難を乗り越えた者どうしはより絆が深くなる」という、よくあるお話のパターンを 実際にプレイヤーに体験させてしまうのがこの『ICO』という作品なのかもしれない。 だいぶ話がそれた。 ・セリフからみるヨルダ
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古城の城主。 黒い女。 ヨルダの母? ・生贄を要求しているのは彼女なのか? ・何故クィーンはイコ達をほっておいたのか? どうせ何もできないと思っていたのか? 何かを期待していたのか? ・ヨルダも城に居たらいずれは黒くなるんだろうか? 女王のセリフはどこまで参考にしてよいか(信じてよいか)微妙だ。 私の印象では嘘は言っていないと思う。 但し、嘘は言ってないが本当のことも言ってないという感じ。 「あの子もそれを望んでいたぞ。」 これについては微妙だ。女王が嘘を付いたともとれるが、逆の見方も可能だ。 少なくともヨルダは、イコがこの城から無事に出られることを望んでいた。 そういう意味にとるなら嘘ではない。 あえて誤解をまねき易い言い方をしたというようにも見える。 |
最後にでてくる影の数は53体。 よく見ると角があり、何故かここでは攻撃してこない。 柩の数は54個。そのうちの一つがイコの入っていたものだ。 だとしたらそれまでにでてきた影はなんなのか? できそこない? あるいは残りカス? |
各エリアの出入りを塞ぐ封印の扉。 ヨルダが近づくだけで勝手に開く。 その際、影達を消滅させてしまうが、これはヨルダの力なのか石像の力なのかは不明。 おそらく石像の方の力だと思われるが。 最後の剣にも同じく扉を開く効果あり。 これも影と同じなのかしらんとか思ったり。 なかに角の生えた像があるし。 |
霧の中の城。 古い城。 わけのわかない設備が多々ある。 ぼろぼろであちこち朽ちている。 あまりに古いので、魔力で強化されてるのかも。 イコの台座が崩れたのは結界の綻びとか。 だってこわれそうだもの。 逆に魔力がなかったら一斉に崩れそうなほど古い。 だから女王倒したら城が崩壊したのか? |
ところで、ちょっと気になった点いくつか 主に人の文を読んで ・印象に残った言葉 「プレイする童話」ってのはまさにそんな感じ。 「隙をつかれた」 感覚的にすぎてわかりにくいと思うが、妙に納得。 いや、この人が実際にどういう意味合いで使ったのかはわからないが。 心に入り込まれたというか、魂つかまれたというか。 「静謐」という言葉がこれほど似合う作品もそうあるまい。 美しいと恐ろしいは似てる。<どこがっ? 綺麗と怖いは…… 「郷愁」というのもなんとなくしっくりくるな。なぜかどこかノスタルジック。 そういえば製作者は「原体験」という言葉を使ったそうな。 ・イコが棺から偶然出られたこと 地震だと思っている人も多いようだが、これはおそらく違う。 揺れたこと自体は地震ではないし、偶然でもない。 昇降機が降下するのと同時に仕掛けが動いて部屋の床が動いたからだ。 これはムービーシーンを見直してみればすぐにわかる。 この時、床が上昇して昇降機の入り口が隠されることになる。 おそらく昇降機の上昇と同時にまた床が下がり、昇降機の入り口が露出するのだろう。 最初にイコが棺からほおり出された時と、最後にたどり着いた時とで 部屋の様相が変わっていたのはその為だ。 こういった辻褄合わせが徹底的に行われているのは凄い。 偶然なのはイコが最後の生贄だったこと。 そして、もともと棺の基部にひびが入っていたらしいこと。 揺れに驚いてイコが暴れた(単に揺れに振られた?)為、中と外から棺が揺さぶられて ひびの入っていた基部が耐え切れなくなった。 あちこち朽ちかけていた城だから、そういうこともあるだろうが、たまたま最後の、 イコが入った棺にそれがあったというのは偶然だろうか。棺がどういう順番で 埋められていくのかはわからないが、最後があの位置というのはかなり謎だ。 ひょっとすると生贄の取り込み(魂の抽出とかそういう作業)に失敗して空いていた 場所だったのかもしれない。本来54周期で代替わりが行われるはずが、 取りこぼしがあってそれ以上に期間が空いてしまい、 だから城があちこち朽ち始めていたとかいないとか… 以上、途中からオレ設定でした。 ・ヨルダは弱いのか よく目に付く表現。イコが強いのは確かだがヨルダは別に弱くない。 というか普通の女性と比べてみよう。 鎖をよじ登れる女性なんてそうそういない。男性だってあやしいものだ。 壁やパイプにぶら下がって腕の力だけで伝っていったりだってそう。 高い段差をよじ登ったり、落ちたらまず間違いなく死ぬだろう場所を飛び越えたり。 そんなことを普通の女性に強要してみたまえ。 首振って嫌がる程度じゃすまないから。 ヨルダは充分以上に強い。 ・ラストについて 賛美両論あるようだがとんでもない。 絵本のような、童話のような、このやさしい御伽噺。 こうした物語の最後は「めでたしめでたし」でなければならない。 ましてやゲームならなおさらだろう。 エンディング後の不安を上げる人もいますが、もう会えないと思っていた人と再会できたのです。 これ以上のハッピーエンドは無いでしょう。 もちろんこの先に不安や困難は数多くあるでしょう。が、それがなんだというのです。 手を取り合ってあの困難を乗り越えてきた2人なのです。 出会った時は生贄と器でしかなかった。 でもこれからは人として生きていくことができる。少なくとも、希望はあるのですから。 めでたし めでたし ページTOPへ |