熟女AVから児童ポルノまで
泥棒市のカオス
そうした西成ならではの“秩序”に従えない者が、「(生活)保護に日和る」(前出・路上生活者)のだという。そのため、このあいりん地区では生活保護受給者は侮蔑の対象となっているという。
労働者と路上生活者の街・西成の朝は早い。早朝4時頃、住民の間では“センター”と呼ばれる「あいりん労働福祉センター」脇の路上では露店商が所狭しと並んでいた。かつては、「もっと大勢の露天商がいた」(地域で暮らす路上生活者・60代)というが、今では行政や警察による取り締まりもあってか、その数はめっきり減ったという。
この露天商は、「昨日奪われた服を、今日売っている」という、冗談とも本気ともつかぬ戯言から、“泥棒市”と呼ばれている。ここでは労働者の街らしく作業着や作業用ヘルメット、安全靴といった建設道具各種のほか、洋服、靴、時計、CDにDVDなども売られていた。
地域住民によると中古車が売られていることもあるという。露天商の1人に写真撮影はいいかと尋ねると、真顔で「100万円出せ」と言う。もし隠し撮りがバレると「誰かにボコボコにされるで!」と忠告された。周囲の人たちも黙って頷く。
そんな泥棒市を廻っていると露天商の1人から声をかけられた。
「お兄ちゃん、DVDどうや?若いのは高いけど熟女やったら1000円でええで!」
手作り感溢れるそのDVDには、「綾乃・71歳」というタイトルが付けられている。「若い子のないの?」と記者が問うと、その露天商は心なしか困惑した表情を浮かべ、「ちょっと高いで…」と言いながら鞄の中からDVDを取り出す。「2500円や!」と露天商は言う。
そのタイトルは、「こころ・10歳」と書いてある。あきらかに10歳前後と思われる女児の全裸写真がDVDに貼り付けてあった。これは違法DVDではないか。記者がそう問うと、この露天商は記者に諭すような静かな口調でこう言った。
「ここに法律なんてあらへんわ。堅いことゆうたらあかん。ストレス溜まるで!」