小笠原一樹
筋肉が徐々に縮み力がなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う43歳の男性が16日、重度訪問介護の支給を決める調査に訪れた埼玉県吉川市障がい福祉課の職員から、文字盤を用いて話すことに「時間稼ぎですか」などと言われ、精神的苦痛を受けたと、県庁で開いた会見で明らかにした。男性は市に対して抗議し、代理人弁護士は「人格毀損(きそん)だ」と批判。市は「男性に対しては言っていないが、誤解を与えたのは申し訳ない」としている。
ALSを患う男性は吉川市の高田泰洋さん。代理人弁護士によると、1カ月50時間の重度訪問介護の支給を受けるが、介護時間数を増やそうと昨年5月から市に要望。今月12日に初めて、同課職員3人が自宅へ調査に来たという。
レコーダーの記録などによると、職員が「寝返りは自分で出来ますか」と尋ねた際、声が出せず手足も動かない高田さんは、目の動きで会話する文字盤で回答しようとした。すると職員の1人が「時間稼ぎですか」と発言した。その場にいた代理人弁護士が抗議したが、謝罪は無かったという。高田さんは会見で文字盤を使って「ただただ悔しかった」と述べた。
同課の加藤利明課長は発言を認めた上で、「本人ではなく代理人弁護士に対する発言。文字盤で話すことではなく、調査に至るまでの経緯など全体に対して述べたが、言葉自体が不適切だった」と説明。抗議声明に対し「今後の対応を協議し、男性に回答を早急に差し上げる」としている。(小笠原一樹)
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