新「防衛計画の大綱」が閣議決定された昨年十二月、「F35Aの取得数四十二機を百四十七機とし…」との閣議了解があった。
F35A戦闘機は老朽化したF4戦闘機の代替機として四十二機の導入が始まっている。この四十二機とは別に百五機を追加するというのだ。F15戦闘機のうち近代化改修できない九十九機と入れ替える。
航空自衛隊の戦闘機は、空中戦が専門で対地・対艦攻撃ができないF15が二百一機ある一方、対地・対艦攻撃もできるF2戦闘機などは百四十八機にとどまり、空自が空中戦に力を入れていることがわかる。
これは空自の主任務が、他国の軍用機に日本の領空を侵犯させない「対領空侵犯措置」にあるからだ。本来の空軍力においては、ミサイルや爆弾を投下して敵を制圧する打撃力が特に重要視されるが、自衛隊は守りに徹するため、「航空自衛隊というより空中自衛隊だ」とやゆする空自幹部もいた。
新大綱では、戦闘機に搭載する長射程の巡航ミサイルの導入も決まったからだ。防衛省は近代化改修するF15への搭載も計画しており、閣議了解と合わせれば、空自のすべての戦闘機は対地・対艦攻撃が可能になる。
政府は「自衛隊には敵基地攻撃能力はない」と答弁してきたが、間もなく、「ある」に方向転換することになる。 (半田滋)
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