提督の憂鬱   作:sognathus
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昔話の続きです。
相変わらず男ばっかです。


第18話 「始まり」(中編)

准将「意思がない?」

 

少将「そうだ」

 

大佐「それじゃあ本当にただの人形じゃないか」

 

少将「だからこそ我々が指示を出すんだ。少なくとも彼女はそれを理解して実行する力がある」

 

大佐「実行って、なぁ。どうやってこんな子が戦うってんだ?」

 

少将「それを説明しようと思っていたところだ」

 

准将「......頼む」

 

少将「まず彼女、この生物兵器の正式な名称だが艦隊娘、略して艦娘になる予定だ」

 

大佐「かんむす......腹が減るな」

 

准将「お前は常に腹が減っているのか? というか何を想像した」

 

少将「次にこの艦娘の開発方法だが、八咫烏によると魂を宿らせる為に対象となる軍艦に縁のある物が必要だそうだ」

 

大佐「縁? 残骸とかか」

 

少将「ああ。それと設計図や開発に携わった人間の所有物や遺品でもいいらしい」

 

准将「......随分応用が効くんだな」

 

少将「ああ、それについてもちょっとした理由がある」

 

大佐「ほう?」

 

少将「艦娘の開発だが、基本的に一体しか創れないらしい」

 

准将「なに。一体だけだと? いや、兵器としてはまだ全く信用していないが、それでも一体だけと言うのは......」

 

少将「まだ続きがある。確かに艦娘自体は一体しか創れないが、それは素体のみに限るのだそうだ」

 

大佐「素体......とういことは量産型なら複数可能だと?」

 

少将「そうだ。まだ開発中だが素体が一体でもいれば、以降は特殊な製造機を使うことでその最初の一体から同型を量産できるらしい」

 

准将「......量産型と素体との違いはあるのか?」

 

少将「素体は量産型と比べて複製が効かない分、性能面では全体的に量産型をかなり上回るらしい。そして」

 

大佐「そして?」

 

少将「さっき説明した内容と重複するが、量産型を作るには基本、素体が必ず必要だ。つまり......」

 

准将「素体が何らかの理由でいなくなれば、量産が不可能になる?」

 

少将「そうだ」

 

大佐「その場合今まで作った量産型はどうなる? 霧散したりするのか?」

 

少将「いや、それ以上造れなくなるだけだ」

 

准将「素体の再開発は?」

 

少将「可能だ。媒体さえあればな」

 

大佐「......ふむ」

 

准将「大佐、何を考えている?」

 

大佐「お前と同じだと思うが?」ニヤ

 

准将「ふむ。その艦娘とやら確かに兵器として有用なのであれば、これほど運用に魅力的なものはないな。しかも意思がないというのであれば、兵器としては当たり前だが、理想的であり合格だ」

 

大佐「......ふん」

 

准将(ま、こいつはそういうのは好きそうじゃないからな)

 

准将「それで、まだ続きがあるんだろう?」

 

少将「ああ。次にこの艦娘の性能についてだが。この兵器は今のような見た目が人間にしか見えない人型と艦本来の姿である原型の二つの姿を自由にとる事が出来る」

 

准将「ほう」

 

大佐「人型では戦闘はしないんだな?」

 

少将「いや、可能だ。人型の場合は艦装と呼ばれる艦娘専用の装備を駆使して戦闘ができる。扶桑、艦装を装備せよ」

 

扶桑「了解しました。......転送」

 

ブン

 

大佐「おおうっ」

 

准将「!」

 

扶桑「艦装、装備完了しました」ジャキン

 

少将「よろしい。こんな具合だ」

 

准将(見ただけでも重そうに見える装備を平然と.....)

 

大佐「こいつ力ありそうだな」

 

少将「力だけじゃない。艦娘の身体能力は基本的に人間のそれより遥かに上だ」

 

准将「......意思がなくてよかったな」

 

大佐「む......反乱の想定か? まぁそうだが......」

 

少将「あとこの状態だと水上に浮かぶことができる」

 

大佐「ほう。ボート見たいに波を割くのか?」

 

少将「直接水面には着かない。すれすれで浮遊する感じだ。その状態のまま艦と同じ速度で移動も可能だ」

 

准将「走るのか?」

 

少将「いや、進みたい方向に上体を傾けた姿勢でそのまま移動する感じだ」

 

大佐「やれやれ......まるで、どころか完全に未来の兵器じゃないか」

 

准将「確かに。これは兵器として申し分ない。軍艦用の電探や砲の換装も可能なのか?」

 

少将「今のところ関連する装備だったら開発も装備も可能だとしてる。新兵器も勿論可能性は有望だそうだ」

 

大佐「へぇ......。あ、そうだ一番大事なことを聞き忘れてた!」

 

准将「......なんだ?」(嫌な予感しかしない)

 

少将「何かな?」

 

大佐「こいつ飯は食うのか?」

 

准将「......」

 

大佐「なんだよ? 大事な事だろ?」

 

少将「いや、准将。大佐の質問は結構的を射ている」

 

大佐「ほらな」

 

准将「うるさい。というと?」

 

少将「まず艦娘を実際に運用する上で欠かせないのは物資の補給と整備だ。つまり運用そのものは軍艦と変わらない」

 

准将「まさかこの姿のまま油を飲んだり弾薬を食ったりするのではあるまいな?」

 

少将「ははは。それは私も怖いな。だが安心してくれ。物資の補給は今のところ原型でしかできない」

 

大佐「整備も原型でやらないといけないのか?」

 

少将「いや、そこがこの艦娘の優れている点の一つでな。なんと風呂に入れば治るらしい」

 

大佐・准将「は?」




昔の話と言うよりこの作品での艦娘の仕組みの説明ですね。
楽しいから続けますよ!


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