■「ハッピーエンドでも鬱でも、全然それはもうどっちになってもいい」(たつき監督)
―― 11話でとうとう追いつきましたが、それまでは毎話のラストで、アライグマとフェネックが2話前のゲストキャラと出会うという構成になっていました。たった2週間前なのに懐かしく感じられて楽しかったです。あの構成はどういうところから生まれたアイディアだったんでしょうか?
たつき やっぱり今仰っていたそのものを見たかったというところですね、旅の再確認というか。加えて物語の構成上、「アライグマとフェネックたちを定期的に出す」必要性もありまして。ではどうするか、ミニコーナーで完全に分けちゃうっていうアイデアもありましたけど、追跡者の形にすると、『けもの』は1話ごとに舞台も全部変わりますし、ゲストキャラも変わるので、結構豪華な使い方をしているんですけど、それらをもう一回見ることができる。そうなると自分でもうれしいのと、ちょうど忘れた頃の感じは、その後も描けていいかなとうのもあったんですよね。
―― いろんなロードムービーがあって、もちろん重要キャラが再登場する作品も多いですけど、登場したキャラクターが定期的に出てきてくれるっていうのは、今までありそうでなかったので、すごくおもしろいと思いました。
たつき あ、そうですか、それはうれしいです! 実は映画などをあまり数見るほうではないんですけど、『けものフレンズ』とかでたまに今言っていただけたようなこと、「ここ今まであまりなかった」とか、「やり口として新しい」とか言っていただけることがちょこちょこあって、それはすごいうれしいですね。
―― あんまりこってり見る人だと、どっかで見たようなお話になってしまうのかもしれませんね。
たつき よく福原も言っているんですが、ガラパゴス感というか(笑)。ほどよく鎖国している感じが、「なんでこうなったん!?」というコモドドラゴン的なところがあるかもしれませんね。外敵からほどよくほっとかれた結果、わけわからん進化をしているのは、珍獣としては、外から見ごたえがあるかもしれませんね(笑)。
―― 天然が生んだアイディアだったんですね。
たつき はい、全くもってそうですね、変に捻ろうとしたわけではなく。あまり悪意で転がしてやろうというのはなくて、「こうするとおいしいはず!」という感じでやっているんで、そこからそういうのが出てくるとうれしいですね。
―― 最後に、お話が進むにつれて、“人”“島であるということ”“セルリアン”などの秘密が明るみになっていって。鬱エンドか、ディストピア作品だったのかと身構えているファンも多いようですが、最終話の見どころを紹介していただけますか?
たつき これはイベントでも触れましたが、放送開始前のどこかで「ほんわか」って言っちゃってるんでみんな大丈夫やと思っているかもしれませんけど、あれちょっと意図と違う伝わり方してるかもでして。僕自身は、ハッピーエンドでも鬱でも、お話やキャラクターが旅した素直な結果であれば、全然それはもうどっちになっても良いと思っていますから。
ただ、予想を超える反響、好評をいただいたからといって、当初予定していた物語を揺らがすようなことは全くありません。どっちに転んだとしても、それは最初にキャラが決めた通りのシーンになっておりますから、そこを楽しんでもらえればと思います。
■TVアニメ『けものフレンズ』
・公式サイト http://kemono-friends.jp/
・最終第12話「ゆうえんち」が明日3月28日 深夜25時35分より放送!
・テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、AT-X、dアニメストアほかにて放送、配信中
(C)けものフレンズプロジェクト/KFPA