たつき オールフリーにすると、「もういいから!」ってお客さんもなっちゃうんですよね。「それは声優さん遊びすぎ。話もちゃんと追ってくれ」となる……。あくまでお話ベース、かつ、ギリギリのところをちょっとだけ採用するような。
台本の時点でわりと、遊び箇所がコントロールのパーセンテージとともに決まっている感覚は持っているんです。たとえばトキ(演:金田朋子)が登場すると決めた時点で、歌うところは絶対に面白くなるなと。なのであそこはなるべく自由にやってもらうつもりで構成しつつも、話のおさえどころとキーワードだけは外さないようにしないとと思っていました。
あの歌は歌詞も曲もなくその場で歌ってもらいましたが、その後の6、7話のことも踏まえて、トキが絶滅しているっていう匂いを必ず出してもらわなくてはいけない。ですから、「仲間を探している」っていうフレーズを入れてもらったんですが、あれがやっぱり「なんとなく見ている」という方たちにも残って、後の6、7話でギョッとしてもらえるという、いい感じのバランスになったのかなと。おもしろいですね。
■「たしかに脚好きですね。肉付きフェチでもあるんですけど」(たつき監督)
―― イベント会場の大きなスクリーンで第8話、PPPのダンスシーンを見ていて、たつき監督は女性キャラの脚がお好きなんだろうなと思ったんですが。
たつき あははは(笑)。
―― 太ももを舐めるようなカットも多かったし、しかもちゃんと脚を描きわけていますよね?
たつき たしかに脚好きですね。どっちかって言うと(笑)。
福原 あれ結構、モデルとかも見る人が見れば分かると思います。結構、普通の筋肉の付き方とかも……。
たつき ですね。去年頭ごろ“脚”ブームがきて(笑)。肉付きフェチもあるんですけど、筋肉のラインを一回全部覚えておこうかなってときに、ちょうどまぁあのへんの作業が重なったこともありまして、ああいう脚になりました。
(吉崎観音)先生にも同じようなこと言っていただいたんですけど、先生のデザインというのが、もともと「可愛い」と「肉付き」をわりと両取りできやすい頭身なんです。
―― たしかに吉崎先生の『ケロロ軍曹』の夏美ちゃんとかは……
たつき めっちゃ可愛いしエロいですよね。ただ先生はどっちかって言うと、上半身とむっちり感がお好きなんじゃないかと思いますね、なんとなく……。僕は多分筋肉寄りなのかも……(笑)。
福原 今だと結構ニーハイソックスのニーハイの上に肉を余らせる、少し乗っかっているという描写を、もう当然ファンも見てくるようになりましたよね。昔はそれをこだわってるだけでもすごい!って言われてたのに、もうやってないと怒られるレベルになってるじゃないですか。そして今はもうさらに上の話というか、みんなたぶん言語化はまだできないけど、グッと来る表現、リアルを感じる演出もあって……また、数年経つといろんなの作品でその表現を取り入れるだろうか、またそれがどんどん言語化されて、常識化していくんでしょうけど。
たつき 結構その言語化のところで、まだ世の中に出ていないパラメーターって結構ある気はするんですよね。見たことはあるけど、これをなんて言い表せばいいかっていう……そういうところをもっと出せるといいですよね。