―― ああ、人数が少ないから、わざわざ資料を作って共有する必要がないと。
福原 そうなんですよ! ご家庭で「爪きりはここにしまってあります」と、わざわざ書き出したりはしないじゃないですか。
細谷 ああ、それはしないですよね(笑)。
福原 大人数で1本の作品を作るときには絶対必要なんですけど、少人数なのでわざわざ作る必要がないんですよね。……いや、各放送局さんや他の製作委員会の方々、取材してくれるプレスの方のためにも、あったほうがいいとは思いますし、当初は肩身狭かったですけど(笑)。
細谷 そうそう、最初は自分も相当言いましたから(笑)。
福原 謝りながら数カ月を過ごすうちに放送が始まって……放送されるたびに段々と理解してもらえるようになった、という感じでした。
細谷 また僕がいい加減だからよかったのかもしれないですね、「ないならしょうがないか」って(笑)。いつか出てくるだろうと。そうじゃないと大変だったと思いますよ。
■「『♯考察』を見るのが大好きでした」(細谷P)
―― そんな視聴者と目線が近い細谷さんからして、「これはヒットするかも」と考えるようになったのはいつ頃でした?
細谷 そこは割と世の中と連動していますね。1話の段階で「これ、超おもしろい!」と思ったわけではないのは事実です。「何かがあるんだろうな」というのはわかりましたけど、実際何が、どこまであるかを読み取る力が僕には無くて。
それが2話目あたりで世の中がざわめきだして、僕も「あれ?」と思って。そこからSNS上などの皆さんの考察を見て、僕が読めなかったところをファンに教わって。
一回そうやって教わると全体がそうなんだろうと想像がつく。そこで「これは怖いなぁ」と思ったんですよ、いい意味で。よくぞここまであちこちで引っかかりを作って、そこに色んな方が乗っかってくれた。それに感服しましたね。
―― その引っかかりを見逃さないというか、『けものフレンズ』ファンは本編をよく見ていましたよね。
福原 さっきの「つづく」の文字じゃないですけど、スタッフが見逃していることでも拾ってくれた『けものフレンズ』ファンは、本当に凄かったです。
また、たつき監督が「ここ、こうしましたけどどうですか?」と聞いてくるタイプじゃないんです。僕らが見逃していると、そのまま放送されて、そしてファンが気づいて書き込んだりすることで、僕らが気づくなんてこともありましたから。