■「『もうこの人たちは信じても大丈夫』『もう乗っかるしかない』と」(細谷P)
―― 最終回放送前後の展開について。うすーく「つづく」の文字がラストの映像に仕込まれたり、放送後に新規映像制作のニュースが公式サイトで伝えられたりしましたが、この辺はやっぱり事前の予定どおりのアクションだったんですか?
福原 まず、あれにすぐに気づく人がいるなんて思いもしなかったですよ。
細谷 自分は見えなかったもん。
福原 「ある」と知っていたのに、見ても気づかなかったですからね。だから皆、何で気づいたんだろう、「つづく」の文字があると心の目で見てたのかな……。
細谷 心の目で見ていたら、そこに本当にたまたまあったとか(笑)
―― たつき監督も先日のインタビューで「当初から物語はブレていない」と仰っていましたが、12話の熱い物語展開も、予定どおりのゴールだったんでしょうか?
福原 そうですね、制作スタッフについてはそうだったんですが、細谷さんのような放送局側から見ると、そう見えなかったかもしれません。何せ、事前の資料が少なかったので。
細谷 たしかに、情報がなかったんですよ(笑)。普通であれば本読み(脚本会議)があり、コンテが起きて、そして色がついていない動画ができて……という順番になると思います。ですが、『けものフレンズ』の場合は、僕が初めてお話の中身を知るのが台本、各話のアフレコの前日とか2日前とかでしたから。
―― 声優さんがたと同じタイミングですね?
細谷 そうそう、そうなんですよ。テレビ局、放送側のプロデューサーとして、エロ、グロ、差別といった表現がないかというチェックするのが、仕事の根幹の根幹なんですよ。もちろん他の部分……お話を見て、アイデアを出したりということもしなくはないんですけど、基本はそこさえなければ、僕個人は制作のプロに中身は任せたほうがいいと立場なので。そこは信用して、最悪何かあっても、それは直してもらえるだろうと思いまして。
とはいえ、最初はいろいろ言っていたんですけど、途中からは「もうこの人たちは信じても大丈夫」「もう乗っかるしかない」と考えました(笑)。だからファンの目線に近かったと思います――本音の本音をいえば、怖かったですよ、そりゃ。
―― ブーイングがくるかもしれないし。
細谷 ブーイングなら全然いいんです。作ったものが受け入れられるか否かという話なので、ブーイングは構わないんですけど、それよりも誰かを傷つける内容になってしまわないかという部分ですよね。
でもお話的にエロ・グロが出てくるようなお話じゃないですからね、『けものフレンズ』は。そこはもう制作陣を信頼して「よろしく頼む」という感じでした。
福原 ただ付け加えておくと、うちは非常にコンパクトな所帯で制作しているからこそ、資料がないんですよ。