遂にTFC「BEACH QUEENS 境界線上のホライゾン」葵・喜美を受注開始させていただきました!
第1報は、昨年の『電撃20年祭』にて発表させていただいたので、楽しみにされていたお客様には、大変お待たせ致しました。
お待たせした分、表情やプロポーションなど、非常に賢姉らしい、とてもよいクオリティに仕上がったのではないかと思います。
それもそのはず、「浅間・智」・「ネイト・ミトツダイラ」でもお世話になりました、
原作者の川上稔氏・さとやす氏が、企画スタートのコンセプトイラストから、ご本人直々の監修チェック・修正指示、果ては付属になる「ショートストーリー・リーフレット」まで、全て書き下ろしてくださったのです!
浅間・ネイトでもそうでしたが、版権元様、まして作品の中心である原作者の方に、こんなに労力を割いていただけるなんて事は、普通はまずありません。
そのおかげでファンの皆様が想像される、まさに賢姉!という、イメージ通りの葵・喜美を完成させることが出来ました。
川上稔氏、さとやす氏、版権元様、お忙しい中ほんとうにありがとうございました!
そして、前回に引き続き、今回も開発過程の版権元様の監修・修正指示を公開させていただけることになりました!
それでは、商品開発の流れを貴重な資料と共に、順次ご紹介していきます。是非ご覧下さい。
川上稔氏・さとやす氏コンセプトイラスト
川上稔氏・さとやす氏による「BEACH QUEENS」葵・喜美のコンセプトイラスト。
既に、ノベル・アニメ共に水着イラストはありましたが、今回の「BEACH QUEENS」において、改めて設定画を書き起こしていただきました。
細かな点まで詳しく解説をいただき、製作側としては非常にありがたく、1ファンとしてはとてもワクワクするうれしいものです。
そして今回の葵・喜美は、原型製作をびーふるさんが手掛け、ホライゾンシリーズでは初の3Dデジタルでの原型になります。
川上稔氏・さとやす氏もデジタル原型での監修は初めてということで、大変ご興味がおありのようでした。
しかし、そこはデジタル造形で堅牢な実力をお持ちのびーふるさん、しかもご自身でWFに出展されたり、フィギュアシリーズの展開もされていて、柔らかな女の子の造形もバッチリです。
普段はまず目にする事の出来ない版元様の修正指示、しかも原作ご本人の川上稔氏・さとやす氏によるもの、そしてまだフィギュアファンの方には珍しいであろうデジタル原型ということで、非常に興味深いものになっているのではないでしょうか。
版元様監修~修正の流れ
監修の流れとして、まず原型の画像を版権元様へ監修依頼として提出し、その画像を元に修正指示を入れていただきます。これはデジタル造形になっても変わりはありません。3Dデジタルデータの多方面からのカットを画像として用意し提出、もしくはデジタルデータから立体出力した、実物である立体物を普段のフィギュア監修と同様に、実際に撮影して提出することになります。もちろん要所では実物監修として、原型となる立体出力品そのものも提出します。
今回もありがたいことに、ネイト・浅間でお世話になった時と同じく、原作者の川上稔氏・さとやす氏が直接、修正指示を入れて下さっています。データ監修は初ということで、普段よりも多く労力を取っていただき、本当にありがたいです。以下に監修の流れの、一例を公開させていただきます。
2013年2月18日 3D原型 監修用データ画像 > びーふるさんによる3D原型チェックの初発。データによる造形画像を、様々な角度・各箇所のアップなど、多岐に渡りチェックしていただいています。このあたりは、原型がデータになってもやることに変わりはありません。
2013年2月26日 修正前 > まずは横から見たカット。前後左右の基本4カットは、フィギュアのシルエットを大きく形付ける、重要な部分です。いくら細部がよくっても、全体のシルエットが駄目ではいけませんからね。
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2013年2月26日 修正指示 > 提出した画像を元に、川上稔氏ご本人が直々に多方面からチェック、実際に画像加工や修正ラインまで入れてくださっています。この画像ではシルエットをよりコンセプトイラストに近付けるべく、腰の位置に修正を入れていただいています。非常に的確で分かりやすく、本当にありがたいです。ファンとしてはこういった画稿だけでうれしくもあります。
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2013年3月5日 修正後 > そして、版元様からの修正指示に基づき原型データを修正した物。データ作業ということで、物を大きくする小さくする・配置を変えるなど、修正指示により柔軟に応えやすくなった事、いただいた修正指示にデジタル的により正確に応える事が出来るようになったのが、デジタル原型の強みでもあります。ただし、フィギュアを作っているのは人です。使うツール・材料が、スパチュラ・パテからデータに変わっただけです。便利にはなりましたが、結局は使う人の技術・センスなんですね。そこは流石びーふるさん。ここから再度、修正指示どおりに出来上がっているか、不自然や破堤のある部分は無いか等、更にチェックが入れられていくことになります。
版元様修正指示集ギャラリー
今回も版権元様のご好意で、川上稔氏・さとやす氏による修正指示集を特別公開!!
両氏のこだわりを是非感じてください。まだ珍しい、びーふるさんによるデジタル造形での再現力も興味深い所です。
以下、修正前画像にマウスオーバーで修正指示画像が表示。
クリックで修正指示画像が拡大されます。
2013年2月26日 腰部修正 > 腰・足の付け根位置を修正して、正面からお尻がちらり見えるように。このスキマ感が大事です。
2013年3月12日 胸・股間修正 > 食い込み・肉感、造形が単調にならずメリハリが付くように。鼻筋にも忘れずチェックが入っています。
2013年3月12日 腰布修正 > 腰布の位置を調整して、お尻が隠れないように。とてもうれしい配慮。
2013年3月12日 腰布・ハードポイント修正 > ハードポイントについて設定・図面を書いていただき、正しい形状へ。腰布の取り付けも設定どおりに。お尻が隠れないように、とてもうれしい配慮。
2013年3月19日 胸の形状修正 > 胸の形状に付いて、食い込み方・タイプの違いを、浅間と比較して詳しく解説。非常に分かりやすく、とても可愛い浅間と喜美の川上氏による画稿は必見。
2013年3月19日 胸の水着修正 > 胸の、水着の位置・大きさを修正。装着した時の、胸の形状変化をこだわって。
2013年3月19日 腰・お尻、ハードポイント修正 > ハードポイントの形状を設定どおりに。身に着けている水着もホライゾンでの設定どおりへ。
2013年3月19日 胸食い込み修正 > 水着が胸に食い込んだ時のイメージを基に修正。ハリがあり、吊り上げられた感じを。下から食い込むんだ。
修正途中経過報告
2013年4月2日 修正後データ画像 > いただいた様々な修正指示を基に、びーふるさんにより一通り修正が施された3Dデータ画像。ここから各部モールド等の調整を行った後に、今回は3Dプリンタにより出力を行い、実際の立体物として、データと実物とのギャップ・破綻が無いかチェックしていただくことになります。
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2013年4月21日 立体出力品画像 > データの各部調整を終え、実際に立体出力を行い組み上げたもの。ここまでくると普段のフィギュア監修と変わりません。もちろん出力して終了ではなく、出力後、表面をキレイにする等、普通のフィギュアと同じ仕上げの手間がかかっています。
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2013年5月24日 監修用塗装品画像 > そして、レジン複製を行い、塗装を施したもの。ここも普段のデコマス作製と何ら変わりはありません。ここから版権元様に塗装・形状両方含めてチェックしていただきます。
2013年6月3日 形状・スミ入れ修正 > 実際に立体になった時に現れた違和感を修正。まだ、画像データだけでは感覚的に把握しづらい部分があります。頭の形状は立体としての不自然さを消し、胸の形状はよりイメージどおりに。喜美らしくなるように前髪のかかり方など、細かいところも忘れずに。
2013年6月3日 形状・スミ入れ修正(ゴーグル無し) > 頭部形状をゴーグル無しでも再確認。ゴーグルを外したことで、形状の変化がより分かりやすく。
2013年6月3日 腹筋など体各部・髪の毛修正 > 腹筋・腋・股間…体の肉付き・形状にメリハリをつけ平坦にならないように調整。このあたりもデータから実際に出力してみて、立体物として見た事で分かった部分です。髪の毛の分割方式も、立体にして初めて分かった問題点。川上稔氏・さとやす氏には的確にご指示いただいて大変ありがたかったです。ウェーブも、データ上と実際の出力物とのギャップについて、より精度を高めていかないと。
2013年6月3日 ウズィ修正 > 劇中に近付けてより可愛らしく。小さなウズィも川上稔氏・さとやす氏の監修で表情豊かにより愛らしくなりました。
2013年7月1日 腹筋・胸・腕修正 > 再度、立体出力を行い、浅間とも比較してより違和感が無いように修正。腹筋の形状・胸の大きさ等、同シリーズの浅間やネイトと並べても不自然にならないように。腕の角度など、立体物としてより見映えがよくなるように調整。ちなみに、上記の写真は川上稔氏・さとやす氏が直接撮影・比較をしてくださっています。原作者の方にここまでしていただけるとは…非常にありがたいです。
修正最終調整
2013年7月10日 データ比較調整 > 浅間もデジタルに落としこみ、データ上で喜美と比較。腹筋・胸・水着の面積など、並べて違和感が無いように調整します。
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2013年7月22日 立体出力品比較調整 > 再度立体出力し、前回の出力品から正しく修正内容が反映されているかチェックします。そして今回、最終調整後に原型監修OKをいただけました!ここから出力し仕上げた原型を再度レジン複製し、修正指示に基づき塗装を行い、デコマスを作製していきます。
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> 2013年9月18日 形状・塗装修正完了、デコマス完成
塗装監修もOK!デコマスの完成です!ここから各社様プレス用・注文書用・WEBページ用など幅広く使う宣材写真を撮影し、テキスト・レイアウトなどWEB商品ページの監修をしていただき、受注開始がOKとなりました。川上稔氏・さとやす氏はじめ、版権元様、原型びーふるさん、フィニッシャー佐野さん、関わられた全てのスタッフ様、ありがとうございました!
ということで、BEACH QUEENS 葵・喜美の、版元様からいただいた監修・修正指示をご覧いただきましたが、どうでしたでしょうか?
ファンの方には、川上稔氏・さとやす氏からの直々の手書きご指示ということで、ここでしか見れないレアな画稿は非常に興味深かったのではないでしょうか?その指示内容からは、両氏のキャラメイキングへのこだわり部分やフェチ感、熱意が感じ取れたかと思います。
また、昨今は3Dプリンターがメディアで取り上げられる機会が非常に多かったこともあり、3Dデジタル原型というまだ珍しく感じるマテリアルに、模型・フィギュア好きの方は心ときめかれたと思います。
川上稔氏・さとやす氏、サンライズ様からは、この他メール文章等でも詳しくコメント・ご指示をいただいています。修正内容の詳しい補足でしたり、ウェーブや原型びーふるさんへの励ましでしたり、とても心強い物でした。
間違いの無い確かなご指示に、お気遣いまでいただき、境界線上のホライゾンという作品では本当に版権元様に助けられた部分が大きいです。
ものづくりにご理解があり、そこに取り組む熱意も…本当にありがとうございました。
今回もブログの上で恐縮ですが、川上稔氏・さとやす氏、サンライズ様、版権元の皆様…この場を借りてお礼申し上げます。
そして、楽しみにされているお客様には実際の発売までもうしばらくお待ちいただいてしまいますが、今回公開させていただいた修正指示集でもお分かりの通り、BEACH QUEENS 葵・喜美はお客様を喜ばせようという、川上稔氏・さとやす氏の情熱が詰まった素晴らしいものになっています。
もちろん、原型びーふるさんによる細かな確かなモデリングも素晴らしく、お待ちいただいた価値はあると、ウェーブとして自信をもってお送りできます。
是非、「BEACH QUEENS」葵・喜美をお求めいただければと思います。
では長文になってしまいましたが、皆様ありがとうございました。<(_ _)>
NAGAMI (ウェーブ開発部)
©川上稔/アスキー・メディアワークス/境界線上のホライゾン製作委員会