<注意>
この記事はサークル活動歴20年の主宰が「悩めるサークルさん」に向けて書いている記事です。したがって一般参加中心の活動をしている人には理解しがたい話がある部分が多々あると思います。予めご了承ください。
こんにちは!「同人音楽戦略実験室(仮)」の主宰:小狐丸です。
最初に。前回「同人音楽界隈の規模の拡大率の割に盛り上がっていっていない」ということを書いたところ「それはあなたが思っているだけでは?」というツッコミを頂きました。
確かにこれは僕の主観が入っているところがあります。
ただ、ここ5~6年を振り返ってみて
- 同人音楽ファンのブロガーやツイッタラーの情報発信の減少
- 昨今の同人音楽に嘆く作り手、聴き手の声
- 問題提起している人を複数確認していること
- 生粋の同人音楽サークルが諸事情で解散・活動停止していること(事情を僕は知っていたり、サークルさんによっては相談を受けたりしている)
・・・という状況が起きている事実を踏まえると、僕の主観“だけ”で済ませるのはちょっと無理があるのでは? と思っています。
もし
「そうではない、イベント動員数に比例してサークルも一般参加者もめちゃくちゃ盛り上がっているぜ!」
「俺は年間で購入するCDが10年前と比べて2倍3倍と増えた!」
というような方がいるのでしたらぜひ詳しくお話をお伺いしたいのでご連絡を頂けると嬉しいです。
さて、前回2つの壁の話をしました。
横の壁 と 縦の壁 の存在です。
横の壁は効率化によって生まれた。
縦の壁は階層によって生まれた。
で、僕の個人的な考えを述べさせていただくと、同人音楽界隈というのはちょっと特殊なんですよね。創作同人誌の世界ではあまり聞いたことがないんですが、同人音楽ではこの壁が結構ある。
ただ、この壁っていうのは目に見えないものでして、非常に言語化しづらいのが困ったところ。
たぶん同人音楽活動を自ら長くやっている人ほど共感できるとは思うのですが…。
僕が見てきた限り、同人音楽サークルさんは基本的に以下の4種類のどれかに属していると思っています。
A 人とは積極的につながらないようにしている(事実そうしている)
B 人とは積極的につながるようにしている(事実そうしている)
C 人とは積極的につながらないようにしているように見せているが実は外部と強力な接点がある(その方がアーティスト感が増して見えるため)
D 人とは積極的につながろうとしているけど本質的にはつながることができていない
ちなみに、年々成長していっているサークルのほとんどがBとCです。
Aもいますが極少数です。
そしてDは同人音楽界隈に多いです。古参サークルで上昇志向が強いのに突き抜けきれてないところは大体これじゃないかな。ちなみに僕は A⇒Dという道を進んで苦しんできたタイプです。
で、ここでやっかいなのがCが結構いるってことです。
なぜならCが一番おトクで、ガンガン成長していけるためです。
だけど表向きには「孤高のサークル」に見えます。
するとここで問題が発生するのです。
そういうサークルの成功をモデルにしたりライバル視しようと奮闘するしたサークルが最悪消滅します。
要は同じ条件だと思って必死に作品作りや試行錯誤していたと思ったら実は条件が違いすぎて、対等に張り合えるわけがなかった…ってことです。
じゃあなぜこういう事態が発生するのか?
それが前回最後にチラっと書いた「Win-Lose」です。
もう使い古された言葉なんで笑っちゃう人もいると思います。
同人音楽界隈はこの「Win-Lose」思考で活動しているサークルさんが異常に多い。
たぶん、リスナーの中にはこの嫌~な空気を感じ取っている人は決して少なくないはず。
正直なところ、僕自身先輩サークル方や人気サークル方が “そういう立ち回り”をしているのを見て嫌な気持ちになったことがたくさんあります。
そして身を守るために難くなに壁を作るというスタンスで2012年位まで活動していました。
こういう話をするとサークルとサークルが共闘する「Win-Win」もあったと思う人も中にはいるかもしれません。
しかしここで忘れてはいけないのはサークルとリスナーとの関係性です。
「Win-Lose」は、サークル対サークルの関係に限らないのです。
例えば、サークルとサークルが手を取り合う体でやる企画にコンピレーションアルバムというのがあります。
別にコンピアルバムそのものはよいと思うのですが、一時期このコンピアルバムがやたら乱造された時期がありました。おそらく宣伝効果が高いためだと思われます。しかし僕は当時から疑問でした。これはリスナーに割を食わせてることが多くないか?と。
つまり、サークル-サークル-リスナーで見た場合に「Win-Win-Lose」になってやしないかって話です。
先日ツイッターで、僕が10年以上前に参加したコンピアルバム「少女幻想奇譚」が名盤だというコメント読みました。
あまり古い作品を持ち出すのは僕は嫌なのですが、あの作品は当時だけでなく発行後数年たってもとても評判が良い作品だったりします。本当にありがたいことです。
ちなみに、あの作品が評判が良い理由は至ってシンプルです。それは主催の六弦アリスさんが「Win-Win-Win」を作ることを前提にした企画だったから。
そもそも当時孤軍奮闘していたEther / Queen of Wand / Alieson の3サークルは六弦A助氏がいなければまとまることはなかったんですよ。
当時すでに人気サークルだった六弦アリスさんがもし自分が一人勝ちすることだけを考えていたら、僕らに声を掛けることなんてなかったんです。
さて話を戻します。
要は規模の大小は色々ありますが「Win-Lose」が蔓延していると僕は思っています。たぶん心当たりのあるサークルさんは少なくないと思います。
そして僕がサークル活動をしている当事者として感じていたことは、この壁が同人音楽ジャンルの成長にリミッターを掛けているのでは?
ということです。
「Win-Lose」が生み出すのは損得勘定です。基本的に誰かが負けるように立ち回ります。つまり弱肉強食、探り合いの政治の世界になります。
怖い世界なので壁はより強化されます。
壁の中は自分の安らげる場所なので立場が担保された人とだけつながろうとします。
僕は大手サークルさんが小手サークルさんと積極的に親しくしている場面をあまり見たことがありません。
僕が思うにこれを続けた結果が今になってるんじゃないかなーと。
ただ、今日書いた内容はあくまでも僕の憶測にすぎません。だから他のサークルさんに何かを強いるつもりは全くないです。
そうではなくて、もし僕がこういう主張をするならばまず僕が壁をとっぱらう必要があるでしょうよ、と。
実はそうやって作ったのがこのオンラインサロンなんです。(現在プレリリース期間中)
おかげさまで現在ガチ初心者サークルから中堅・ベテラン・ガチプロサークルさんまで幅広く参加していただいています。
そしてまずは僕が持っている情報を一方的に提供する、ということをしています。
ちなみに「繋がる」って言葉から、その参加サークルさんの作品自体が変化してしまうことを心配している人がいますが、「そういう繋がりを目的とした場ではない」ということは付け加えておきます。
何かを強制するような場ではないですし、付き合いたくないサークルさんと無理に仲良くする場でもないです。
何か今のサークル活動に何かもちゃ~っとしたものを感じている方は、よかったら今後もチェックしていただければ幸いです。