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【Penペン草紙】

ダイエットよりきつい? 体重増との闘い 大相撲 炎鵬

2019年4月15日 18時0分

大相撲春場所2日目、大奄美と対戦する炎鵬

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 目指すは体重増―。お腹周りが気になる記者には何ともうらやましい目標だが、春場所を8勝7敗と勝ち越し、新入幕を確実にした金沢市出身の小兵で西十両3枚目の炎鵬(24)=宮城野=にとっては、切実な課題だ。

 体重は100キロちょうど。身長は168センチしかない。関取としては一番軽く、誰よりも小さい。だが逃げない。相手のふところにもぐり込んで左で前まわしを引き、頭をつけて大銀杏(おおいちょう)を乱しながら勝機を探る。下手投げやひねり技で、相手を豪快に転がすこともしばしば。柔よく剛を制すそのものの取り口には、幕内後半にも負けない大歓声が注がれている。

 夏場所から挑むのが濃厚な幕内の平均体重は、過去最高の166・2キロ。新たなステージに向け、体格の充実は避けて通れないが「白米の湯気が苦手で…。ウッとなって食欲がなくなっちゃうんです」と、人気者は苦笑いで打ち明けた。

 「でかくなるには米を食え」が決まり文句の角界にあって、何とも困った食のこだわり。幼少期はアイスクリームが朝食代わりだったこともあるが、プロの世界ではそんなごまかしは通じない。

 春場所中は大阪らしく、夜に食い倒れにチャレンジして肉をほお張った。あとは精神論。15日間での体重減は気になったが「落ちてると焦っちゃうんで。気持ちはいつも100キロです」。体重計を無視し、勝ち越しまでたどり着いた。

 ちなみに千秋楽の取組後、炎鵬が「食の援軍」に熱望したのは、故郷石川の鍋料理に欠かせない「とり野菜みそ」。懐かしい味でエネルギーを蓄え、いざ晴れ舞台へ。小兵と体重とのせめぎ合いに、場所休みはない。  (志村拓)

大奄美(左)を押し出しで下す炎鵬

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