2003年に閉店したピア。福井県内のショッピングセンターに大きな教訓を残した=福井県福井市二の宮2丁目

 福井県民の買い物場所の主役として親しまれているショッピングセンター(SC)。相次いで設立された昭和には好調に推移したが、平成に入って潮目は変わった。相次ぐ競合店の出店などで経営環境は厳しさを増し、2003年5月にはSCの成功例とされたピア(福井市)が閉店した。

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 ピアがオープンしたのは1977年11月。全国で次々とSC設立の動きが見られた時期で、県内でもピアの前後に大野市、勝山市などでオープンした。運営形態は、いずれも地元の中小商業者による協同組合だった。

 これには大きな理由があった。当時、ダイエーが破竹の勢いで全国展開を進めており、県内商業者は危機感を募らせていた。ダイエーの県内出店を阻止しようと各地で地元業者が協同組合を設立し、SCを立ち上げた。

 ピアはジャスコ(現イオン)との共同運営だったが、地元組合のフクイショッピングプラザが主導権を握った。ピアの敷地面積は約4万2千平方メートルで、鉄筋コンクリート造り3階建て。約60店が入り、当時としては県内最大規模だった。ベルの設立にも尽力した故岡晃一郎が初代理事長を務めた。ピアの開店時には周辺に大型商業施設がなく、石川県など広域から買い物客が訪れ、付近の道路は頻繁に渋滞した。

 「(ピアは)家族で来て食事や買い物を楽しんで帰るという、一種のレジャー機能を果たしていた」。87~98年に組合の2代目理事長を務めた末定直三(81)はこう振り返り、娯楽が今ほど充実していなかった時代の需要を取り込んでいたと説明する。88年には県内で初めてポイントカードを導入して売り上げを伸ばし、ピークとなった92年度の売上高は約150億円に達した。

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