挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
266/275

第264話 最強賢者、不自然さに気付く


「じゃあ、高ランク向けの依頼を受ければ、『戦技を極めし者』が出てくるってこと?」


「簡単に言うと、そういうことだ」


そう言って俺は、ギルドに向かおうとする。

だが……そんな俺に、イリスが声をかけた。


「でもワタシ達って、Eランクですよね? 高ランクの依頼を受けられるんですか?」


……確かにそうだ。

俺達がAランクを持っているのは、ラジニア共和国内での話だ。


このエイス王国のギルドだと、俺達のランクはE。

登録時のFに比べたら上がったが、まだ高ランクの依頼を受けられるというほどではない。


国王あたりに連絡をとればランクを上げてもらえるかもしれないが……まず、国王に話を通すのに時間がかかる。

校長経由でも、3日はかかるだろう。

それに比べれば、普通にランクを上げた方が早いかもしれない。


「……よし。まずは、それっぽい依頼が出ているかどうかを見てみよう」


「もし受けられない依頼だったら、どうするの?」


「その時には、受注した奴の後をつけるだけだ。『戦技を極めし者』が出てきたところで、横から戦闘に割り込めばいい」


そんなことを話しつつ、俺達はギルドの中へと入った。

そして依頼掲示板に目をやる。


「うーん……どれがどれだか分からない……」


「高ランクの依頼が多すぎて、どれが怪しいか分かりませんね……」


掲示板には、山ほどの依頼があった。

ギルドの壁のほとんどは、大量の依頼書で埋め尽くされている。


AランクやBランクになると、流石に依頼の数は少なくなってくるが……それでも、合計で30枚ほどの依頼があるようだ。

流石は冒険都市ハイギアといったところか。


「この中から、怪しい依頼を探すんですか?」


「ああ。……というか、もう見つけた」


俺はルリイにそう言いながら、1枚の依頼書を指す。

依頼の掲載日は、2日前の日付になっている。

冒険者をおびき出すための依頼があるとしたら、これ以外にありえない。


――――――――――――――――――――

種別   :一般依頼

依頼ランク:A

要求ランク:A

報酬   :12万エルミ

依頼地  :セニシエ平原

内容   :魔物『ギガ・イージス』10体の討伐。魔物の所在地は、依頼受注後に連絡する。

依頼者  :ピーカス

――――――――――――――――――――


「えっと、普通の依頼に見えるんだけど……」


「確か『ギガ・イージス』って、Bランクの魔物ですよね? 10体も倒す依頼なら、Aランクになるんじゃ……?」


「ああ。ランクや依頼内容におかしい点はない。……おかしいのは、依頼者だ」


それを聞いて、アルマとルリイは依頼者の欄に目をやり、それから言った。


「えっと……ピーカス?」


「聞いたことがない名前ですけど……何でおかしいんですか?」


「名字のない平民が、12万エルミも使って討伐依頼を出すと思うか?」


「……あっ!」


討伐依頼は基本的に、魔物を駆除するために出される。

目的は治安維持、領地の安全確保などだが……そういった依頼はギルドか領地持ちの貴族が出すようなものであって、一般人が出すような依頼ではない。


そしてこの依頼は、貴族でもギルドでもない人間が出したものだ。

貴族が出した依頼なら、依頼者には名字があるはずだからな。


まれに、魔物に対する個人的な恨みなどが理由で討伐依頼を出す人間もいるようだが……12万エルミとなると、その可能性は低いだろう。

下手をすれば、この依頼だけで家が建つような金額だからな。


「すみません、ちょっと通りますね」


依頼書を前にそんなことを話していると、ギルドの受付嬢がやってきて、依頼掲示板の前に立った。

そして、例の怪しい依頼書を掲示板から剥がして、どこかに持っていこうとする。


「その依頼、どこに持っていくんだ?」


「依頼主から報酬の増額指示があったので、修正するんです。……報酬を増やしたからって、受ける人がいるとも思えないんですが……」


……たった2日間受注者がいなかっただけで、報酬増額か。

ますます怪しいな。


受付嬢は理由を知っていそうだが……ちょっと聞いてみるか。


「誰も受けないのか?」


「受けないと思います。あんなことがあった後ですからね……」


「あんなこと……?」


「セニシエ平原で、有名冒険者のレリーズさんが行方不明になった件です。その依頼と同じ人の依頼ですし……」


……最初の犠牲者という訳か。

ピーカスが『戦技を極めし者』なのは、ほぼ間違いなさそうだな。

やたらと高い報酬は、犠牲者から奪ったものかもしれない。


『敵の拠点は、セニシエ平原で間違いなさそうだな』


『じゃあ、セニシエ平原に行けばいいってこと!?』


『でもセニシエ平原って、すっごく広いですよね?』


ルリイの言う通り、セニシエ平原は凄まじく広い。

セニシエ平原の周囲だけでも数十もの街があるし、平原の中にも数多くの街があるくらいだ。


ただ通り抜けるだけでも、下手をすれば1日かかってしまうだろう。

だから『敵はセニシエ平原にいる』などと言われても、ほとんど情報がないのと同じだ。


ギルドが依頼主の情報を教えてくれれば楽なのだが、残念ながら冒険者ギルドの守秘義務は硬い。

もし情報を引き出そうと思えば、それこそ国王命令が必要になってくるだろう。


誰かが依頼をうけてくれるのも期待できそうにないし――やはり、自分で依頼を受けるしかないか。


新刊出ます!

『失格紋』原作8巻、漫画版が、今月15日に発売します!

もちろん両方とも、私の書き下ろしがついています!

書籍版も、よろしくお願いします!



★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

『異世界賢者の転生無双』書籍版出ます!!

拙作『異世界賢者の転生無双』の書籍版が、【4月14日】に発売します!!

書き下ろしもありますので、よろしくお願いします!

★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。