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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第263話 最強賢者、探しに行く


「でも『戦技を極めし者』は、弱すぎる相手には手を出さないはずだよな?」


『戦技を極めし者』は、自分と比べて弱すぎる相手には戦いを挑まない。

それは慈悲が理由ではなく、単に戦ったところで戦闘経験にならないからだ。


今の時代に『戦技を極めし者』が戦う相手がいるとしたら、それこそ魔族か、迷宮深層の魔物くらいだろう。

勝手に魔族を殺してくれるのであれば、無害どころか有益ですらある。


「……問題はそこです。『戦技を極めし者』の10人が蘇ったことは確認済みですが――『戦技を極めし者』は、生前と比べて弱体化していました」


「弱体化?」


「はい。……上位の冒険者であれば、少しは相手をできてしまうほどに」


「……最悪だな」


もし『戦技を極めし者』が弱体化していなければ、今の時代では無害だった。

だが、上位冒険者を相手に戦いが成立してしまう程弱体化しているとなれば――上位の冒険者だけを狙う殺人鬼の完成である。

そのターゲットには、当然第二学園生も含まれるだろう。


「まさしく、最悪です。……あの制約がなければ、私が自分で手を下したところなのですが……今の時代だと、冒険者に強くなってもらうほかないと思っていました」


弱体化した『戦技を極めし者』が相手なら、グレヴィルでも勝てそうなものだが……グレヴィルは古代文明の王家に伝わる特殊な魔法の影響で、古代人や魔族を殺すことができない。

『壊星』の力で蘇った今も、その制約は解けていないのだろう。

だから無詠唱魔法を広めて……なんとか『戦技を極めし者』に勝てるようにしたかったということか。


そんなことを考えつつも、俺は単純な解決策を提示する。


「まあ要するに、弱体化した『戦技を極めし者』と戦って全滅させれば、解決って訳だな」


弱体化しているとはいえ、『戦技を極めし者』は油断できない相手だ。

『戦技を極めし者』は、全員が不老魔法を使って鍛錬を積み続けた人間。

完全な状態なら、グレヴィルとは比べものにならないほど強い。


だが、他のもっとヤバい連中が蘇生するのに比べれば『戦技を極めし者』でよかったと言うべきか。


「その通りです。……他にも蘇生者はいるかもしれませんが」


「他に厄介なのがいたら、その時に考えればいい。……それで、『戦技を極めし者』の所在は掴めているのか?」


「1人だけですが……冒険都市ハイギス付近です。敵も移動しているので、細かい場所までは分かりませんが……」


ハイギス……ここから数時間もあれば到着できる場所にある街だな。

確か、比較的強い魔物が多いため、強い冒険者が集まっている場所だ。

『戦技を極めし者』が獲物探しをするには、ちょうどいい土地という訳か。


国内なので、面倒な手続きとかが必要なくて助かる。


「1人でも見つかれば、それで十分だな」


「これ以上被害が出る前に、やっつけましょう!」


こうして俺達は、冒険都市ハイギス行きを決めた。

あまりのんびりしていると、第二学園生にまで被害が及ぶかもしれない。



それから数時間後。

俺達は無事に、冒険都市ハイギスへと辿り着いていた。


「ここがハイギスか……」


「噂通り、冒険者が多いみたいだね……」


そう言って俺達は、周囲を見回す。

確かに冒険者は多いが、別に雰囲気は悪くない。

とても『戦技を極めし者』による無差別殺人の舞台だとは思えない。


「ここから、どうやって探せばいいのかな?」


「受動探知に、それっぽい反応はありませんけど……マティ君はどうですか?」


「……見当たらないな。魔力探知で探すのはあきらめたほうがよさそうだ」


試しに『能動探知』を使ってみるという手も一応はあるが、恐らく意味はないだろう。


魔法戦闘に慣れた人間は、魔力探知対策を疎かにしない。

魔力探知を受けることは一方的に居場所を知られることであり、敵に不意打ちのチャンスを与えてしまうからだ。


「じゃあ、どうやって探すんですか?」


「そうだな……敵が獲物を探しているところに、自分から入ればいいんじゃないか?」


「獲物を探しているところ?」


「ああ。……『戦技を極めし者』が出した依頼だ」


俺の言葉を聞いて、ルリイが疑問げな顔になる。

それから、俺に尋ねた。


「連続殺人犯『戦技を極めし者』が、依頼を出すんですか?」


「確実とはいえないけどな。……向こうだって闇雲に強い奴を探すより、少しでも効率よく探したいと思うはずだろ?」


いくら弱体化したとはいえ『戦技を極めし者』のターゲットになるような冒険者は、今の時代には少ない。

そうでなければ、このハイギスで既に多数の死者が出て、パニックになっているはずだ。


依頼を使ってターゲットをおびき出すのは、『戦技を極めし者』が時々使う手だ。

前世の時代に『戦技を極めし者』は、強力な魔物が出たと偽って魔法戦闘師を集め、集まった魔法戦闘師に戦いを挑んだ。


似たようなことを、今回もやっているかもしれない。

このハイギスは、依頼を出すのに向いた場所だからな。


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