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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第257話 引っかき回す


「ぐっ……」


翼の一部を切断された魔族が、速度を落とした。

魔族は加速しようとしているようだが、翼の魔力回路が不完全な状態では、魔族の機動力は生かせない。


そんな魔族に、俺は本命の攻撃魔法を撃ち込んだ。


――『魔力の槍』。

単純にして貫通力が高く、魔力の質がいいほど高威力が出る魔法だ。


「ぐあああああぁぁぁ!!」


『魔力の槍』が、魔族の体を貫通する。


失格紋は、距離の問題さえ解決すれば最強の紋章だ。

経験値稼ぎによって質の上がった魔力と、鍛錬によって強化された魔力回路。

この2つが合わされば、高位魔族の硬い体も貫くことができる。


……大体5本ほどで、1人を倒せそうだな。

そんなことを考えながら、俺は後ろへと飛び退いた。


その直後、魔族による高位攻撃魔法が俺のいた場所へと降り注いだ。


一箇所にとどまって攻撃を続ければ、敵に反撃の機会を許す。

純粋な魔法能力や身体能力では、相変わらず俺より魔族の方が上だ。


俺が敵に勝るのは、戦闘経験と技術。

その差を最大限に生かそうとすれば、常に戦況を引っかき回して、純粋な力勝負を挑ませない必要がある。


それに――戦況を混乱させられるのは、俺だけではないのだ。


「くそ、忌々しい!」


俺を追撃しようとした魔族が、苛立った様子で吐き捨てた。

俺の移動先に向かって攻撃魔法を放とうとしたところで、アルマによって放たれた魔力阻害の矢が刺さり、魔法の発動に失敗したのだ。


アルマとルリイが鍛えてきたのは、単純な付与や攻撃魔法だけではない。


戦況を瞬時に理解し、戦闘を最も有利に運べる攻撃の選択肢を選び取る。

そのために必要な判断力は、今までの魔族との戦闘経験で培われていた。


『次は、普通の攻撃系です!』


『分かった!』


今までは、それを十分に生かせるだけの力がなかっただけだ。

だが今は違う。


ルリイは必要な付与魔法をすぐに理解し、必要な魔法をすぐに付与する。

使う魔法陣は暗記しているものなので、その場で構築するのに比べれば柔軟性で劣るが……それでも戦況を変えるには十分だ。


アルマは付与する魔法の種類だけを聞いて、すぐにそれをどこに撃ち込めばいいかを判断し、正確に敵を射貫く。

目標や魔法の付与だけに集中せず、戦場全体を見回す余裕があって初めてできることだ。


「先に向こうをやるぞ!」


「おう!」


俺達をまとめて相手にするのは不利だと見たのだろう。

魔族の一人が俺を無視して、ルリイ達がいる部屋へと突撃しようとした。


そこで俺は、イリスに指示を出す。


イリスは今まで戦いに関与していなかったが、それは別に怠けていた訳ではない。

確実に自分の役目を完遂するため、持ち場を守っていただけだ。


「イリス!」


「はい!」


イリスが短く答えを返して、先ほど蹴破った扉の位置に立ち――右足を地面へと思い切り振り下ろした。

地面が砕け、イリスの右足が地面へとめり込む。

激突の衝撃で吹き飛ばされることがないよう、右足を杭代わりにして地面に固定したのだ。


――そしてイリスは、ルリイ達を狙いに行った魔族の肩に槍を突き込んだ。


「がっ……」


槍を受けた魔族が、空中で数メートルも後ろへと吹き飛んだ。

その肩は、完全に粉砕されていた。


「があああああああああぁぁぁ!」


「あの威力……本当に人間か?」


恐らく魔族は、たとえイリスの槍が当たったところで、人間と魔族の力の差があれば弾き飛ばせると思ったのだろう。

だが残念ながらイリスは、暗黒竜だ。


今は人間の姿になっているとはいえ、その力は圧倒的だった。


「ここは通しませんよ!」


イリスは魔族の質問に答えず、槍を構えて宣言する。

その手に持った巨大な槍は、扉を通るルート全てを射程に収めている。


イリスを扉の前からどけないことには、魔族はルリイ達へとたどり着けない。

だが、あのイリスを吹き飛ばすのは、魔族にとっても困難だろう。


――扉の番人。

それがこの戦いでの、イリスの役目だ。


そんなイリスの頭上を飛び越えて、アルマの矢が魔族へと突き刺さった。

イリスが扉を守っている限り、アルマは魔族へと一方的に攻撃できる。


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