挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
257/275

第255話 最強賢者、挑戦者に選ばれる


「……いったいこいつ、何がしたいんだ?」


そう言って俺が橋を進もうとすると……目の前に結界が現れた。

どうやら、グレヴィルはまだ俺を先へと進ませたくないらしい。


「ちょっと待ってくれ。まだやらなきゃいけないことがあるんだ」


その言葉の直後。

キーンという耳障りな音とともに、今度は空へとグレヴィルの姿が映し出された。


「王都諸君! 聞こえるか! 我こそは世紀の大魔族、グレヴィルだ! これから我は、貴様ら人間を滅ぼす!」


「……は?」


突然始まった演説に、俺は困惑する。

コイツは何を言っているんだ。


「我には、貴様らを滅ぼす力がある! その証拠を見せてやろう!」


その言葉と共に――王都へと白い光線が放たれる。

あれは『破壊の光』と呼ばれる、戦略級魔道具から放たれたものだろう。

少しだけ遅れて、グレヴィルが映っている画面に、光線が『王都大結界』を一撃で破壊する様子が映し出された。


光線は『王都大結界』の天頂付近を突き破るように放たれたため、今のところ王都自体に被害は出ていない。

だが、もし光線が地上に向かって放たれていれば、数千人単位の死人が出ていただろう。

王都に被害がなかったのは、ただグレヴィルが地上を狙わなかったというだけの理由だ。


「だが我は寛大だ! 人間にチャンスをやろう。……もし人間に我を倒す力がある者がいれば、人間を滅ぼすのは中止させてもらう。……挑戦者については、こちらが勝手に人類最強だと思う4人を選ばせてもらった」


グレヴィルの言葉とともに、今度は俺達へと光魔法『スポットライト』が当てられる。

同時に『広域型通信魔法』が、俺達を映し出した。


「……挑戦者を見世物にする訳か。どこまでも悪趣味だな……」


『広域型通信魔法』に声が入らないように気をつけながら、俺はグレヴィルに聞く。

この演出の目的など、そのくらいしか思い浮かばない。


「悪趣味だとも。なにしろ我は、世界を滅ぼす大魔族だからな」


グレヴィルは、そう俺に答えた。

この声も『広域型通信魔法』からは聞こえないので、王都には伝わっていないはずだ。


「では諸君、健闘を祈る。……なお挑戦者が逃げた場合、挑戦放棄と見なし人類を滅ぼす。まず最初は王都だ」


一方的にそう言って『広域型通信魔法』からグレヴィルの姿が見えなくなった。

そして、代わりに『広域型通信魔法』へと映し出されたのは――城の中と思しき、レンガ造りの大部屋の様子だった。


「戦闘の様子を生中継って訳だな」


そこには、3人の魔族が俺達を待ち構えている様子が見える。

恐らく、魔族としての格はそこまで高くない。


魔力反応の位置から見て、この橋を渡った先の部屋で間違いないな。


「どうする?」


「結界を壊した魔道具――『破壊の光』は、30分程度の間隔を空けて連射が可能な魔道具だ。引き返せば、本当に王都に撃たれてもおかしくない」


「……ってことは、進むしかないか……」


そう言って俺達は、橋を進む。

橋の奥には、重厚な金属製の扉があった。


扉は閉まっているが……これをのんきに開けていたら、格好の隙を作ってしまうことになる。

待ち伏せ中の敵を襲撃するなら、扉は正直に開けずに破壊するのが鉄則だ。

向こうはかかってこいと言っているのだから、扉を壊したくらいで文句は言われないだろう。


「イリス、頼んだ」


「はい!」


そう言ってイリスが、扉に思い切り蹴りを入れた。

すると厚さ数センチもある金属製の扉が、大部屋の向こう側まで吹き飛んでいく。


それと同時に、俺は部屋の中へと飛び込んだ。

橋の上では、ルリイがアルマに矢を手渡す。


「死ね!」


部屋へと飛び込んだ俺に向かって、3人の魔族が飛びかかってきた。

――鍛錬の前ならともかく、この程度のレベルの魔族など、今の俺の敵ではない。


俺は瞬時に剣へと魔法をエンチャントして、2人まとめて切り伏せながら、3人目の魔族の攻撃を回避する。

首を切断された魔族は、断末魔の悲鳴を上げることさえ許されずに息絶える。


その直後、3人目の魔族の心臓へと、矢が突き立った。

――アルマの矢だ。


「命中! ……2本目の矢、いるかな?」


「もう死んでるから、2発目はいらないぞ。……まあ迷った時には、一応矢を放ってしまってもいいと思うけどな」


そう言って俺は、矢の刺さった魔族を見る。

アルマが放った矢は、正確に魔族の心臓を貫いていた。

即死状態だ。


新作です!!

新作『異世界転生で賢者になって冒険者生活 ~【魔法改良】で異世界最強~』連載始めました!

『転生賢者』と同じく、主人公が無双するタイプの話になっています!

よろしければ、こちらもよろしくお願いします!

下のリンクから、作品ページに飛べます!


★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

『異世界賢者の転生無双』書籍版出ます!!

拙作『異世界賢者の転生無双』の書籍版が、【4月14日】に発売します!!

書き下ろしもありますので、よろしくお願いします!

★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。