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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第254話 最強賢者、決戦場に辿り着く


「これって……王都のすぐ近くじゃないですか! いったいどうやってこんな場所に隠れてたんですか!? 普通気付かれますよね!?」


「グレヴィルなら、そのくらいは簡単に隠しおおせるだろうな。『王都大結界』の中に忍び込まれても不思議ではなかった。結界の外なだけ、まだマシなほうだぞ」


しかし、グレヴィルがあそこを選んだ理由が分からない。

前世の時代、あそこは何もないただの湖だった。


地理的にも、魔法的にも、別に特筆するような意味がある場所ではない。

本当に、ただ見晴らしが綺麗な湖というだけだ。


なぜあんなところに、グレヴィルは陣取ったのだろう。

……まあ、殴り込んでみれば分かることか。


「明日一日はゆっくり休もう。それで、あさってに襲撃だ」


「了解!」


「わかりました!」



翌々日。

俺達はイーリアスを出て、レイシアート湖へと向かっていた。


レイシアート湖は特に用途がある湖ではないので、道などはつながっていないが……周囲は森ではなく草原なので、移動はとても楽だ。


「もう結構近いかな?」


「ああ。そろそろ見えてくる頃だな」


「……こんなところに魔族とかがいるなんて、ちょっと信じられないですよね……」


出発してからさほど時間がかからないうちに、俺達はレイシアート湖の近くへと辿り着いた。

だが、魔族の巣窟といった感じの様子はないし、そういった魔力は感じられない。


しかし……どうにも、周囲の魔力に不自然な感じがある。

恐らくこれは、グレヴィルが結界を張った影響だ。


俺達が来る前に一般人に見つかってしまわないように、魔力を遮断するような結界を使ったのだろうな。

魔法に慣れた者なら結界由来の不自然さに気付くだろうが、そのレベルに達している者は今の世界にはほとんどいない。

だから、魔力を遮断する結界を張れば、王都からこれだけ近い場所にでも隠れられたという訳だ。


「あれが、レイシアート湖……! きれいな景色だね!」


「でも、何もない……と言いたいところですけど、結界がありますね」


「ああ。わざとらしい破れ目まである」


そう言って俺は、湖畔にわざとらしく立てられた旗を見る。

その旗の横には結界が破れた部分があり、結界内部の様子が見えた。


旗に描いてあるのは、魔族のいた場所にも置かれていた『汎用魔法教本』だ。

……なぜあの本が、何度も出てくるのかは分からないが。


そして結界内部には、大きな橋がかかっているようだ。

結界の破れ目は、その橋へとつながっている。


橋はずいぶん新しい……というか、つい1、2ヶ月くらい前に作られた雰囲気だ。

恐らく俺達に宣戦布告をしてから、急いで橋を作ったのだろう。


「これ、どうしますか? 竜の姿で結界ごと壊しちゃいますか?」


「恐らくグレヴィルは、イリスがドラゴンなことにも気付いている。『竜の息吹』を使っても、あいつは生き延びるだろうな」


グレヴィルは『橋から入れ』と言いたいのだろう。

結界を壊して入るというのも手だが……相手が大量殺戮兵器を握っている以上、あまり相手の意思に背く真似はやめておいたほうがよさそうだ。

ここに大量破壊兵器がなくとも、起動用の魔法信号を送るくらいは簡単だからな。


「ここはおとなしく、橋から入っておこう」


「マティアスさんが敵の誘いに乗るなんて、珍しいですね」


「相手が何を考えているか分からないからな。機嫌を損ねると、大量殺戮兵器を使われかねない」


そう言って俺は、結界の破れ目の向こう側をのぞく。

どうやら橋の向こうには、悪趣味な装飾が施された城のようなものがあるようだ。


国王をやっていた頃のグレヴィルは、このような装飾を好まなかったはずだが……俺が転生するまでの間に、いったい何があったのだろう。

そんなことを考えながら、俺は3人に確認する。


「3人とも、準備はいいか?」


「いけるよ!」


「大丈夫です!」


「いつでもいけます!」


その声を聞いて、俺は橋へと踏み出した。

すると……。


なにやら派手な効果音と共に、俺達の目の前にグレヴィルの顔が映し出された。

どうやら、映像を出力する魔道具が仕込まれていたようだ。


「悪趣味な仕掛けだな……」


「そう言わないでくれよ。私にも、やらなければならないことがあるんだ」


そう言ってグレヴィルが、なにやら魔法を発動した。

すると……。


「変装か?」


画面に映るグレヴィルには角と翼が生え、いかにも魔族といった感じの外見になっていた。

何がしたいのか全く分からないが、魔族のふりをしたいことは分かる。


「その通りだ。私は今から、大魔族になる。人類を滅ぼそうとする大魔族にな」


そう言って画面の中のグレヴィルは、またも魔法を発動した。


『マティ君、防御を――』


『いや、あれは攻撃魔法じゃない。防御は不要だ』


ルリイはグレヴィルが攻撃魔法を発動すると思ったらしく、警戒しているが……グレヴィルが発動したのは攻撃魔法ではなく、通信系の魔法。

それも秘密通信ではなく、その全く逆――王都にいる人間全てに、グレヴィルの姿と声を伝えるタイプの『広域型通信魔法』だ。


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