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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第248話 最強賢者、素材を売る


「何でそんなに時間がかかるのか、聞いていいか?」


「レベルの高すぎる素材の査定は、全て王都にあるギルドで査定することになったんです。今までは買い取れないことも多かったんですけど、第二学園関連の商会とかに聞くと大体何とかなるので……。最近は第一学園でも似たようなことをできるみたいですけど、王都に持っていかなきゃいけないのは同じですし」


……俺が第二学園に持ち込まなくても、結局第二学園での査定になるのか……。

今の世界で魔法材料を扱える場所などほとんどないので、仕方がないのだが。


だが、あと3年ほどすれば、その役目は第一学園になるだろうな。

第一学園にも第二学園と同じテキストを渡してあるし、第一学園は第二学園と違って、生徒の全員が付与向けの『栄光紋』だ。

大勢の付与魔法士を育成する土壌としては、第一学園の方が向いている。


恐らく未来の王都は『付与の第一学園』『戦闘の第二学園』といった感じになるのではないだろうか。

できれば王立学園以外でも無詠唱魔法が広まってほしいところだが、それには時間がかかりそうだし。


「それで、売る牙はこの1つで大丈夫ですか?」


売る数か……。

あまりたくさん売ると目立ってしまうが、10日もかかるなら、まとめて売った方がいい気がする。


いちいち王都へと運ぶのだから、ちまちま1個ずつ運んでもらっても、ギルドにとっても受け取る学園にとっても迷惑だろう。

王都にいる生徒達には、練習のためにたくさん材料を使ってもらいたい。


「いや、一つじゃない。ちょっと待ってくれ」


そう言って俺は収納魔法から、適当に牙を取り出す。

もし第二学園や第一学園で加工をするのなら、加工者が慣れるためにそれなりの数を用意したいところだ。


「……これくらいでいいか」


そう言って俺は、150個の牙をカウンターに置いた。

第一学園に100個、第二学園に50個くらいあればいいだろうと判断したのだが……実際にどういう配分になるかは、買い取った人次第だな。


ちなみに第一学園のほうが第二学園の2倍なのは、単純に栄光紋の人数が多い関係で、付与魔法師の人数が多いからだ。

単純な人数差なら2倍どころでは済まないが、第一学園は無詠唱魔法の導入が遅れた関係で、いまのところ『優秀な』付与魔法師の人数は第二学園の方が少し多いくらいなので、第一学園のほうを多めに見積もった。


「……こ、これ、いくつあるんですか!?」


「ちょうど150個だ。珍しい素材なら、ある程度は数がないと扱いにくいと思ってな」


普通のギルドのカウンターにこんな数の素材は置けないが、ここは『ギャンブル迷宮』から大量の素材を持ち帰る冒険者が多いため、大きいカウンターが用意されているようだ。

おかげで、大量の素材をまとめて売りやすい。


カウンターの小さいギルドだと何回かに分けて売るか、直接倉庫とかに行って売らなければいけないところだからな。


「ある程度は数があるって……そういう次元じゃありませんけど!? これ全部、27層の素材ですよね!? なんか強そうな感じが、素材からあふれ出てますよ!?」


「全部27層の素材だ。大体、これでモンスターハウス1個分ってとこだな」


「27層のモンスターハウス!?」


俺の言葉を聞いて、受付嬢が驚いて飛び上がった。

……ああ。買い取り手続きがちっとも進まない。


『この感じ、懐かしいね……』


『第二学園の近くのギルドでも、無詠唱魔法を覚えた生徒が迷宮に潜り始めた頃は毎日こんな感じでしたよね……』


『だんだんギルドの人たちも慣れていって、ちょっとやそっとのことじゃ驚かなくなったけどね』


『それでも、時々受付の人を驚かせる人はいたけどね。主にマティ君とか』


俺が受付嬢と話す様子を見て、ルリイとアルマがのんきに過去を懐かしんでいた。


……今度の買い取りは、この二人にやってもらおう。

普段扱われていない素材を売るのって、意外と大変なんだぞ。


そんなやりとりを経て、商品を売ることになったのだが……。

最後の最後で、思わぬ問題に当たることになった。


「では、ギルドカードを出してください」


「ああ」


そう言って俺は、第二学園の学生証を出した。


書類上はまだ学生のままなので、学生証付属のギルドカードを使っているのだ。

……俺の年齢だと普通はギルドには登録できないが、王立学園の生徒ならこれがギルドカードになる。

まあ、仮登録みたいなものなので、ランクはつかないんだけどな。


なるのだが……。


「あ、もしかしてこれ、第二学園のカードですか?」


「ああ。学生扱いでの仮登録だ。この年だと、普通に登録するのは無理だからな」


「……その決まり、少し前に変わりましたよ。王立学園に所属する生徒だけ、年齢制限に関係なくギルドに正式登録できるようになりました」


恐らく第二学園内には、話が回っていたのだろう。

普通なら、学生証付属のギルドカードを使っている者など学園内にしかいないので、それで問題ない。


だが……俺達は書類上だけの学園生だ。第二学園に行くことなど滅多にない。

この国内にさえいなかった時期もある。


……これでは、決まりが変わったことを知らなくても無理もないか。


「となると、この場で登録すればいいのか?」


「登録はもちろんできますが、新規登録だとFランクからになりますね……。Fランクの人がこのクラスの素材を売ったとなると、素材の出所が怪しいということで買取が可能かどうかを審査することになると思います。そうすると、ますます時間がかかることに……」


なるほど……。


確かに登録したばかりの冒険者が、そんな素材を売るのは怪しいよな。

盗品などを買い取ってしまったら問題になるので、そういうチェックが入るのだろう。


さて、どうするべきか。

そう考えていると、後ろからアルマが受付嬢に話しかけた。


「それなら、大丈夫!」


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