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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第251話 最強賢者、修理時間を稼ぐ


「修理……? そんなことができるのか?」


「第二学園の付与魔法使いでも扱えないなら、誰にも扱えないと思うが……」


「ここにいるルリイも、第二学園の付与魔法使いだ。……アーティファクトの修理に関しては、第二学園生のなかでも最高クラスの技術を持っている」


嘘は言っていない。

正確に言えば『最高クラスの技術』ではなく『最高の技術』だが。


「私より修理が得意な人もいますが、このエレベーターなら直せると思います!」


そう言ってルリイが、学生証を見せる。


「マジで第二学園生だ……」


「その年で、よくこんな深い階層まで潜るもんだと思ったが……第二学園生だったのか……」


第二学園の学生証、便利だな……。

無詠唱魔法とかで第二学園が有名になっているおかげで、これを見せるだけで色々と話が進んでしまう。


「……第二学園生の付与魔法士なら修理を任せても大丈夫だと思うが、どう思う?」


「私の権限では、昇降機の修理なんて依頼できません。……しかし、このまま『悪魔』に挑んで死ぬよりは、地上に上がって怒られた方がマシでしょう。……本当に直せるんですか?」


「もう原因の特定はできてますし、10分くらいあれば直せると思います」


問題の箇所は、すでにルリイに伝えてある。

このタイプの『迷宮エレベーター』は全て似たような構造なので、探す必要すらなかった。


直すべき場所さえ分かれば、ルリイの技術で失敗するわけがない。


「分かった。その10分の間に、悪魔が俺達を見つけないことを祈ろう」


「ってことだからルリイ、昇降機の修理を頼んだ」


「分かりました!」


こんな会話と共に、ルリイが『迷宮エレベータ』の修理を始めた。

ルリイにとっては簡単な作業だが、それでもルリイはちゃんと集中して修理をしているようだ。


『……でも、悪魔って何なんだろうね』


『よく分からないが、話を聞く限り精神系の状態異常を使う魔物だと思うぞ。……魔力操作をちゃんとできる奴に、9層の精神系状態異常なんて効かないから安心してくれ』


『精神系状態異常……そんなものあるんだね』


『あんまり見かけないが、たまにいるんだよな。……この階層にはウサギ型の魔物がいるから、そいつが状態異常持ちなのかもしれない』


そう言って俺は、周囲の魔力を探る。


この階層にいる魔物は、主にウサギ型とオオカミ型だ。

オオカミ型の魔物は単純な物理攻撃しかしてこないタイプがほとんどだが、ウサギ型の魔物は物理攻撃が弱い代わりに状態異常系を使ってくるタイプがいるかもしれない。


9層などの魔物が、パーティーが全滅するような状態異常を使ってくるとは考えにくいが……100%ないとは言い切れない。

そんなことを考えていると……魔物の魔力反応の一部――10匹ほどの群れが、こっちに向かってきた。


群れのリーダーは、どうやら階層主のようだ。

恐らく階層主が、階層主特有の高い探知能力で俺達を見つけたのだろう。

まあ9層の階層主なんて、探知能力以外は27層にいる雑魚と大して変わりは無いのだが。


「……見つかったみたいだな」


冒険者達に注意を促すため、俺は通信魔法ではなく声に出して魔物接近を知らせた。

アルマ達は、当然気付いているだろう。


「見つかった? 何にだ?」


「魔物にだ。……ちょっと倒してくる」


そう言って俺は、魔物の群れの方へと走り始めた。


「ボクも行くよ!」


「お、俺達も加勢するぜ!」


「いや、アルマは魔力を温存しておいてくれ! 雑魚しかいないから、一人で十分だ!」


アルマと冒険者達がついてこようとしたが、俺はそれを止めた。


俺の鍛錬に魔力量は必要ないが、アルマの鍛錬には魔力が必要なのだ。

こんな雑魚を倒すために、魔力を使う必要はない。


冒険者達を止めたのは、ただ純粋に足手まといだからだ。

というか魔法一発で終わるのに、加勢も何もない。


「よっと」


俺は群れの真ん中に、即興で作った炎の攻撃魔法を打ち込む。

すると鈍い音と共に炎が爆発して、階層主以外を全滅させた。


それとほぼ同時に、今度は槍の魔法を撃ち込んで階層主を倒す。


「……いい感じだな」


魔力の質が上がってから、はじめてまともに実戦で魔法を使った。


もしかしたら、少しは威力調整がずれるかもしれないと思っていたのだが、杞憂だったようだ。


威力がずれると、討ち漏らしが出たり、過剰な威力で魔力を無駄にしたりすることになる。

そうなるかどうかを確認するために、わざとギリギリの威力で魔法を作ったのだ。


だが、特に問題はなかった。

前世とは違う紋章なので、細かい魔力操作の感覚は調整が必要かと思ったが、どうやら必要ないようだ。

20年にも満たない期間とはいえ、転生してからこの紋章を使って戦ってきた経験が生きたのかもしれないな。


そんなことを考えながら俺は、階層主の素材を回収した。

9層の雑魚とはいえ、階層主の素材は特殊な性質を持っていることがある。

回収しておいて損はないだろう。


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