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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第249話 最強賢者、書類を書く


「大丈夫って、何がだ?」


「ランクの件! ……素材の確認をするのは、第二学園の関係者とかなんだよね?」


「第二学園関係者だけという訳ではありませんが……間違いなく第二学園関係者も参加します。残念ながらギルド職員だけでは、そこまで高ランクの素材を査定しきれませんし、出所の真偽も判定できませんから……」


アルマの質問に、受付嬢が答える。

その答えを聞いて、アルマが自信ありげに頷いた。


「じゃあ、素材の出所についての審査は問題なく通るはず! ……売った人の名前のところに『マティアス』って書いてあれば、27層くらいじゃ誰も怪しまないよ!」

「……言われてみればそうですね。何か疑われるようなことがあれば、第二学園の人とかに素材提供者の名前を見せればすぐ疑いは晴れると思います」


……俺の名前を、そういう風に使うのか……。


まあ、確かに第二学園関係者に俺の名前を知らない奴はいないだろうし、それで問題ないな。

俺は入学した頃に対抗戦で第一学園と戦った関係で、学園内では有名だったりする。

対抗戦は、学園を挙げての一大行事の一つなのだ。


『対抗戦に出て知名度を稼いでおいたのが、こんなとこで役に立つとはな』


『……マティ君が有名なのは、対抗戦だけのせいじゃないけどね』


『ボク達も一緒に対抗戦に出たけど、マティ君ほど有名じゃないし!』


うーん。

ルリイ達だって学園生全員に知られているはずなので、引き分けのはずなのだが。


そんなことを考えつつ、俺は受付嬢に答える。


「まあ、そういうことみたいだ。だからFランクのまま売っても、盗品として弾かれることはないと思うぞ」


「な、なるほど……。第二学園ともなると、色々あるんですね……」


そう言って受付嬢は『査定依頼書』と書かれた紙に俺の名前を書いて、素材の入った箱に貼った。

普通なら、今の会話だけでは疑われそうなものだが……どうやら第二学園は、ギルドからかなり特殊な場所だと思われているようだ。

確かに、今の世界の中では特殊な場所で間違いはないのだが。


……こうして俺達は無事に素材を売る手続きを終え、宿へと戻ったのだった。

しばらくは、今日と同じように鍛錬だな。



それから数日後。

俺達はいつものように、昇降機利用所へと来ていた。


『魔力消費は、けっこう削れてきたな』


『はい! ……まだ削れる気がしますけど、前よりは大分少なくなりました!』


『ボクはルリイより、魔力消費が多いかな……。でも、最初よりはマシになったよ!』


鍛錬を始めてからはそんなに経っていないが、2人もかなり少ない魔力で魔法を使えるようになってきた。

魔力消費を少なくできるということはつまり、質のいい魔力をしっかり扱えるようになってきたということだ。


ここまで来れば、後は学んだ魔力操作の方法を他の魔法に使えば、どんな魔法でも魔力消費を減らすことができる。

それができるようになれば、魔法の威力を上げるのも簡単だ。


……そろそろ、単純な魔法で魔力消費を減らす基礎練習以外にも、応用の練習をするか。


そんなことを考えていると、『迷宮エレベータ』が来た。


「いつもの階層で頼む」


「分かりました」


そんな会話とともに、俺は『迷宮エレベータ』へと乗り込む。

何度か乗っている間に、行く階層を覚えられてしまったのだ。


……もっとも、行く階層を覚えられているのは俺達だけではない。

他の冒険者のうち、半分くらいは『いつもの階層で』と指定するのだ。


ここの『迷宮エレベータ』操作係は、冒険者の顔と行き先の階層をほとんど覚えているらしい。


俺達も最初は一々『27階層で』と指定していたが、そのことを知ってからは『いつもの階層で』と言うようになった。

階層を言うと、他の冒険者が驚いたりして面倒だからな……。


『相変わらず、この昇降機は調子悪そうだね……』


『急に壊れて落ちたりしないか、心配になってきますよね……』


『壊れても次の階層で止まるようになってるから、落ちる心配はないけどな』


そんな会話をしながら、俺達は調子の悪い『迷宮エレベータ』が止まってしまわないことを祈る。


いまこの『迷宮エレベータ』には、俺達を含めて8人乗っている。

俺達4人と、3人組の冒険者パーティーと、操作係だ。


同乗の冒険者パーティーは、けっこうベテランって雰囲気だな。


この『迷宮エレベータ』は10人乗りとして使われているため、別に許容オーバーというわけではないのだが……今日の『迷宮エレベータ』は、いつにもまして調子が悪かった。

スピードも、普段の半分ほどしか出ていない。


「おい、なんか昇降機の調子がおかしくないか?」


「やたら遅くて、しかも揺れが大きい……」


同乗している冒険者達(降りる階層は言っていなかったが、装備などを見る限り13層あたりだろう)も、昇降機の調子を見て困惑し始めた。

魔道具に詳しくなくても、乗っていれば気付くよな……。


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